現場
トレスは空が段々赤くなっていくのをボーっと眺めながらコーヒーを飲んでいた。
周りでは大量の人がトレスのいる喫茶店を眺めている。喫茶店のレジではナイフを店員に突きつけて何か叫んでいる優男、店員は怯えながらもその優男が持っている袋にお金を入れている。誰かが行動を起こしたらすぐに店員を刺しそうなくらいその優男は興奮していた。ふと人ごみの方へ目をやるとレイとコーディが目に入る。2人は何か合図をしてくるがさっぱり意味がわからない。
あれだな、とりあえず寝よう
そしてトレスが次に目を覚ましたときにまず目に入ったものは真っ赤に染まった空と、口だけで笑いながらコーヒーに延々砂糖を入れ続けるコーディと遠い目をして薄ら笑いを浮かべながらパスタを延々まき続けているレイだった。
その光景にトレスは心が2人から10キロくらいドン引きしたのを感じたが、さすがにほおっておく事は出来なかった。
「・・・どうした?」
その言葉でトレスが起きた事に気がついたのか2人はトレスに目を向けた。そしてまた同じ事をやりだす。
その行動にトレスは2人に対して初めて恐怖を覚えた。
「・・・・・・どうした?」
「ふふっ、どうしただって?私はあなたを尊敬したわ」
「そ、そうか」
「確かに。俺もお前を見直したよ。まさか強盗に襲われている最中の喫茶店で熟睡できるなんて、すごい精神だね」
「お、おう」
「ふふふ・・・」
「ははは・・・」
また遠い目をしながら笑い出した2人にトレスはここにいるのは危険だと判断してそっと抜け出して路地に入った。
「とりあえず、寮で寝直すか」
そう言って寮への道を歩き始める。
あの2人はちゃんと寮に帰ってくるだろう。多分。だから心配しなくて良いし、まああんな風になってみるのも良いのかも知れない。理由はさっぱりだったが。
そんな事を考えながら歩いていると自分と反対方向から人が歩いてきた。その人物が誰かわかるとトレスは何のためらいもなく来た道を引き返す。
「ちょっと待ってください!」
トレスの行動にその人物は慌てて声をかける。が、トレスは止まらなかった。
「声をかけられたのは俺じゃない。きっと別の誰かだ。こんなに厄介ごとが続けてくるはずないじゃないか。そうだぞ。これは何かの冗談だ。そうであれ」
「ちょっと、待ってくださいってば!そこの赤毛の人!肩までの赤毛で整えもせず、尚且つ強盗現場で熟睡していたそこのあなた!」
その言葉にトレスはあの場で熟睡した事を始めて後悔した。だってあの場で熟睡してたのって多分きっと恐らく俺だけだ。
トレスはあきらめて振り返る。後ろに立っていたのはトレスが振り返った事で安心した顔をしている喫茶店強盗犯だった。




