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【第十一話(前半) 遊園地万歳!】

「じゃんけんポン!」

「あいこでしょっ!しょっ!」

「じゃんけんポン!」

事務所では、パーチョキグーの四人の手があった。

「よっしゃ、あたしの勝ちー!じゃあこの2枚だけ別日の奴はあたしがもらうわね!」

ポムが嬉しそうに叫ぶ。そう、カヌレ探偵事務所では、この前の依頼の報酬としていただいた遊園地のチケットを巡ってじゃんけんをしていた。結果はポムが勝ち抜き。2番目と3番目はカヌレとフィナンシェ、そして最初に負けたのがマドレーヌということだった。

「キャバクラに1番通ってる俺がァーーッ!1番もらう権利あるだろ!あのとき俺が敵を殲滅したんだぞ!」

「でも奴らの本拠地を暴いたのは僕らですよ。」

「ぐうの音も出ねェじゃねーか。」

フィナンシェの冷静な言葉に、マドレーヌが悲鳴をあげてのたうち回る。

「タタンのチケットは今日だったからね。彼のを貰おうとしたって無駄よ。」

ポムの発言にマドレーヌがさらにのたうち回る。フィナンシェがため息を吐きながら、すっと一枚差し出した。

「仕方ないですね。このチケット二人分ですので、あなたにあげますよ。」

「本当か?!ありがとう!」

マドレーヌがニコニコ顔で、差し出された一枚のチケットを受け取る。しかしもう一枚が一向に渡されず首を傾げた。フィナンシェが静かに微笑む。

「ええ。ただし、キャバ嬢とではなく僕との二人で行く遊園地ですが。」

再びのたうち回るマドレーヌを尻目に、カヌレがどうしようかな…とつぶやく。

「フィナンシェと同じ日だけど…二人だからなこれ。ポム一緒に行く?」

困った顔でポムの方を見ると、ポムも良いわよ、あでも…となにか思いついた顔をした。カヌレにこっそり耳打ちする。

「フィナンシェも探偵でしょ?これから共同捜査するって言ったって、手柄横取りする可能性も否めないわ。マドレーヌもやばい男だし。サバランを追うのに、あいつのが知名度高くなったら、肩身狭くなっちゃうでしょ?」

「んー…確かに?」

こそこそと言葉を返すカヌレに、ポムがだから…と不敵に微笑みつつ、耳打ちする。

「今のうちに、フィナンシェとの差を見せつけてやりましょ!うちの探偵は、民衆とも接しやすい風通しのいい探偵だってね!」


「カヌレさんが僕に?!良いんですか?!ありがとうございます!絶対行きます!」

カフェロイヤルではホワイトショコラがニッコニコの笑顔でいた。カヌレが困りつつも少し照れつつ、う、うん…よろしくね…と頷く。一方彼の周囲では相変わらずの声が飛び交っていた。店主バウムがコーヒーを作りつつ叫ぶ。

「推しに遊園地誘われるとか羨ましすぎる!果てろ!コーヒーに溺れろ!フィナンシェ様、なんであたしを誘ってくれないのぉ〜?♡あらやだわ、あたし店主だったから?!もぉ〜お店休みにしてでも行くのに〜優しいんだから…♡」

クレールが皿を洗いながら唸る。

「豪運野郎が!あたしもノクターン様に言われたい!夜の遊園地で、あたしの手を取って…はぁ、やばいうっとりしちゃう!そんな目で見られたら目を背けられないっ♡」

妄想に惚気る二人を傍目にホワイトショコラはチケットの日付を確認すると、数回小さく頷いた。

「明後日ですね!わかりました。集合場所は遊園地の入り口でも大丈夫ですか?」

「うん、構わないよ。入園時間が10時くらいだから、集合時間は10時ぴったりでどうかな?」

「良いですね!カヌレさんと遊園地…僕、もう今死んでもなんの悔いもないです!幸せすぎる…。一生分の幸せがここに篭ってる気がするっ。本当にありがとうございます!現地で必ず会いましょうね!」

ニッコニコの眩しすぎる笑顔にカヌレはタジタジしつつも、うん!と頷いた。


さて、当日である。季節は梅雨だが、幸運にもその日は晴れていた。

遊園地の入り口でカヌレは腕時計を見ていた。事務所はフィナンシェもいないので休みにしてきたが…。どうも落ち着かない。そりゃそうである。25歳、休日、遊園地。しかも異性と。

(…なんか側からみたら、デートみたいなんだが…?)

入り口付近で一人ズーンと落ち込みつつ、立つカヌレ。そう、今回はいつもの探偵服ではない。ちゃんとオフの格好をしてきた。

(いや本当なら地味めな服を…と思ったが、流石に遊園地。そして相手はカフェ店員。多分それなりにオシャレしてきそうだし…いや付き合ってないし彼氏でもないし、ただの探偵とファンだが、流石に状況が悪い…それなりの服を着るしかなかった…。)

黒ズボンに、ピンク色の長袖。白く長い上着に、後ろでまとめたポニーテール。なんかブーツっぽく見えて実は運動靴というなんかよくわからん黒靴に、鞄だが…。遊園地の入り口で、家族連れやカップルとか人が多い中、他の人の視線を感じずにはいられなかった。

(新聞で見た探偵と思われてるのか…誰か待ちと思われてるのか…どっちだ?!いやまじで、彼氏とかじゃないんですよ、待ってるの一人のファンなんですよ。)

心の中で弁明していたが、もはやこうなっては視線がものすごく気になる。彼女が少しだけ離れた場所に行こうとしたときだった。

「君も待ち…か。僕もだよ。」

「フィナンシェ?!」

横から飛んできた方向に顔を向けると、私服のフィナンシェがいた。流石フィナンシェ、ピシッとした服かつ、よく見るとブランドもののロゴが見える。カヌレがポカンとしていると、彼はニコニコと微笑んだ。

「待っているのはあのカフェの店員だね。君の助手あたりが、僕と差をつけるために催促したあたりだろう。多分あの男ならさっき駅で飲み物を買っていたから、もう直ぐ来ると思うよ。マドレーヌはおそらく…来るのはもっと後だろうね。キャバクラに行ってから来るに違いない。」

相変わらず困った助手だよ、と首を横に振った。カヌレがあー…お疲れ様です…と察したように言った。

「全く…どうにかキャバクラ狂いを治せないものかと思ってるけど、バカだからなのか、僕の思い通りにいかなくてね。あの依存症さえどうにかなればと思うんだが。」

フィナンシェがそうため息をついたときだった。

「…あ、すみません遅れてー!カヌレさん、待ちましたー?」

そう言って遠くから走ってくる男が一人いた。完璧にオフの格好をしたホワイトショコラである。ピシッとしつつも抜けるところは抜いた、オシャレな私服だが…思わぬところにカヌレがびっくりする。

「メガネは?!」

「あ、今日はコンタクトなんですよ!やばいめちゃくちゃカヌレさん、可愛い、ポニーテールも似合うっ!眼福っ。もう僕は遊園地に入らず、このまま眺めてるだけでも幸せすぎて大満足です…。」

ホワイトショコラがいつも通りの叫び声を上げる。その様子を見つつ、カヌレがコンタクトなんだ…と呆けた様子でいると、フィナンシェが彼も気合入ってるね…と頷いた。その言葉に即座にホワイトショコラが反応する。

「もちろん、せっかくの遊園地ですから、気合入れてきましたっ!まぁ…カヌレさんと一緒にここで待っていたのが、本当にムカつくんですけどね、鍾乳洞に突き刺してやりたいとは思ってますが。」

ニッコニコでドス黒いオーラを放つ。相変わらずの雰囲気に二人は黙りこくった。

「まぁムカつきますけど、気を取り直して、カヌレさん一緒に回りましょう!アトラクション、どこから行きます?僕、遊園地なんて子供の頃以来ですよ。」

そう言いながら道すがら手に入れたパンフレットを開き、カヌレと共に覗き込む。二人があーだこーだ言いながら、話し合っていると丁度マドレーヌが来た。

「フィナンシェ〜。聞いてくれよ俺、キャバ嬢に惚れられちゃって〜…ってああ?!」

ホワイトショコラの横にいるカヌレに目が留まる。いつもと違うそのオフの格好に目をキラキラと輝かせた。

「なに俺待ち?!お酒注いでくれるの?!」

「なんですかこの人は?またカヌレさんの周りにハエが一匹増えるなんて…僕が守りますカヌレさん!迷惑な時はいつでも言ってくださいね!」

ホワイトショコラがカヌレの方を庇うように立ちつつ、クソ迷惑そうな目でフィナンシェの方を見る。

「ごめんね、僕の助手だよ。気にしないでくれ。お互い遊園地を楽しもうじゃないか。」

フィナンシェが爽やかな笑みを浮かべて、ホワイトショコラの方を見る。マドレーヌに肩を回しながら君は僕とだよと言って、そのまま他のアトラクションの方向へと行ってしまった。二人を見送りつつ、ホワイトショコラがニコッとカヌレに微笑んだ。

「僕たちも行きましょう!ああ…カヌレさんと遊園地。もう全部のアトラクション乗りましょう!今日という日は最高です!」

「…ちょっと待って。なんか違和感あるんだけど…?」

カヌレが彼に向かって一旦ストップをかける。きょとんとした彼に、カヌレが恐る恐る声をかける。

「……いや別にいいけども…いやそれにしては舞い上がってるにしたっておかしいよな…?なんか…距離近くない?あとなんかメガネないせいか、なんかいつもと違う感じが…?」

カヌレがホワイトショコラをじっと見る。彼はしばらくきょとんとした目をしてたが、直ぐに不敵な視線になった。少し声のトーンが低くなる。

「…バレたか。」

聞き覚えのある声に思わずカヌレが身構える。

「ご本人は?」

「安心しろ。近くのホテルで眠っている。」

彼はフッと微笑むと、ばっと両手を上げた。何も所持をしていないのを現しているようだ。が…カヌレは身構えたままだった。

「何も持ってないと示したいんだろうけど、流石に信用は出来ないね。どこに何を隠し持っててもおかしくないでしょ。…目的は?」

カヌレが冷静に言う。その時、遊園地でアナウンスが流れた。

「本日hあご来場頂きありがとうございます。ドーナツ遊園地は大人も子供も楽しめる、まさに夢のような遊園地でございます。アトラクションの種類は豊富!さらに、午後二時からはヒーローショーも楽しめます。子供と一緒に参加されてはいかがでしょうか。今日のヒーローショーは、なんとあの怪盗ノクターンも出演!」

その言葉にカヌレがびくっと反応する。アナウンスの方へ一瞬目をやる。そして再び目の前の彼を見る。ホワイトショコラがにこーっとしていた。

「いやおま…ご本人…ここに…。」

カヌレが小さく呟くと、ホワイトショコラが両手を広げたまま、そのまま構えているカヌレにぱっと抱き着いた。カヌレが抵抗しようとする。

「おい、ちょなに…。」

「周囲を見ろ。そんなにお前が構えていたら、他の人らが疑うだろう。」

カヌレがすっと周囲に目を走らせる。確かに構えてたから訝し気に思われてたが…。まあ、カップルだと思われたのかすぐに見られなくなった。だがそういうことじゃない。

「いや別に訝し気に思われていいだろ。怪盗ここにいるんだから。」

カヌレがぼそぼそと呟くと、ホワイトショコラが察しろと静かに言った。

「俺がわざわざ日中に、しかもこの男に変装してきたんだ。理由なんて推理できるだろ。」

「…サバラン関係か?」

その言葉を聞くと、彼はその通りだと頷きながら、彼女の頭を撫でた。優しい手つきだが…彼女がすぐに不服そうに言う。じたばたしながらどうにか離れようとする。

「おい、なにここぞとばかりに頭撫でてんだ。てか、私と別にいる必要ないだろ。ホワイトショコラ君が可哀想だろ、ホテルで寝させられてよぉ。つか、いい加減離れろ!セクハラ怪盗が!私は恋愛に興味ねえんだよっ。」

カヌレの罵倒に、ははっと軽く笑いながらぱっと離れる。不機嫌そうな顔のカヌレに、彼はパンフレットを広げると、一か所を示した。

「ここだ。カップル向けのスイーツ販売店だが…何やら怪しい動きがある。特にサバラン関係の奴らが出入りしているのを見たんでな。それで日中に堂々と出て来たというわけだ。」

「なるほどね…。」

「ところでお前、さっき少し顔赤かったが?どうした?この男が好みか?」

ニマニマして尋ねてくるホワイトショコラに、カヌレがくそ面倒くさい顔で答える。

「別に好みじゃねえ。」

でもまあ…としげしげとホワイトショコラを見つつ、向かって言う。

「眼鏡取った方が、かっこいい感じはするよね。うん、まぁ…眼鏡無い方が私的にはうん、好みだし…モテそうだよな。こうなんつーの?眼鏡あっても良いんだけど…うねうねとした黒髪で、ちゃんと額を全部覆うような前髪があるだろ?それがあるから、黒メガネしてるのも良いんだけど…無い方が目元がすっきり見えるというか…。」

カヌレが悪くないよねそれも…と頷いた時だった。

「きゃあああああーーーーーーーっ!」

遊園地内に女性の悲鳴が響き渡った。


読んでいただきありがとうございます。

作者です!こんばんは。昨日は活動報告書を書き忘れ、Xのツイートも忘れてすみませんでした。めちゃくちゃ忙しかったので…(;'∀')

そんな作者のXはこちらから→https://x.com/Ameme_H_Novel

ちなみに今回は前半です!いつもより字数が少ない?いやあのですねえ…まあ…そのうちいつもの一万字に戻りますよええ。今日は午前疲れ切って寝てただけでぇ…汗)ちなみに、敷布団とベットって悩みますよね。どっちのが湿気とかでカビないんですかね、やっぱベットのが下に隙間あってカビにくいんですかね。ところで怪盗、お前ホワイトショコラになに変装しとんねん。書いてて本当に紛らわしいぞっ!お前作者を振り回しやがってぇ!以上の理由で今回と明日は前半後半に分けられてるので文字数少ないです。

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