囚われた少女
森はすっかり夜の帳に包まれていた。
アジトの裏手、星明かりも届かないほどの木立の中を、ユノ・カティア・フェリシアは必死に捜索していた。
「……ミア、どこにいるの?」
フェリシアは静かに立ち止まり、胸に手を当てて目を閉じた。
(ミアちゃん、聞こえる?わたしだよ……どこにいるの?)
心の中で呼びかける。星霊族の子どもなら誰でも使えた“念話”――
今もこうして、思いを直接伝えられるはずだった。
……だけど。
(返事がない……なんで……?)
不安そうに顔を上げるフェリシアを、ユノが優しく見守る。
「大丈夫、フェリシア。きっとミアもどこかで無事だよ。もう少し、周りを探そう」
「わたしも……もっと呼んでみる」
カティアは剣の柄に手を当て、周囲を警戒しながら進む。
「みんな、気をつけて。何かおかしい……空気が張りつめてる」
そのとき――
遠くの森の奥から、あの機械特有の高い警告音が連なって響いてきた。
「……ドローンの音だ!」
カティアがすぐに走り出す。
「まさか、ミアが……!」
ユノも後に続く。
木々をかき分け、息を切らしてたどり着いたその先――
そこには、信じられない光景が広がっていた。
無数の赤い光点――10機以上のAIドローンが円を描くように森の空間を囲んでいる。
中央には、青白い電磁の檻のようなフィールドが輝き、その中でミアがうずくまっていた。
「ミア!!」
フェリシアが叫ぶ。
ミアは顔を上げ、わずかに手を振ったが、その声は檻の中まで届かない。
カティアは剣を抜き、周囲のドローンを睨みつける。
「くそっ……数が多すぎる。どうやって……」
ユノも必死に檻の仕組みを見極めようと、魔力を集中させた。
森の中、警告音と微かな電磁ノイズだけが響いている。
星霊族の少女たちの新たな戦いが、静かに始まろうとしていた。