神鳴り
森に響き渡る警告音。
3体目のAIドローンが、赤い光をギラリと放ちながら一気に距離を詰めてきた。
「やばっ、トラップの仕込みが間に合わない!」
ミアが道具袋を抱えたまま、木の影に身を隠す。目の前の現実に、思わず舌打ちする。
「フェリシア、下がって!」
カティアが大剣を掲げ、ドローンの前に立ちはだかる。
「ひゃああ、怖いよ~!」
フェリシアは両手で耳を押さえながら、カティアの背中に必死で隠れる。
「ちょっと!逃げてばっかじゃダメだって!」
ミアも叫ぶが、いつもの自信は少し影を潜めていた。
ドローンは、目にも止まらぬ速さで森を滑るように接近してくる。
カティアが歯を食いしばり、大剣を大きく振りかぶる。
「わたしが引き付けるから、みんなは安全な場所へ!」
だが、ドローンは鋭く空中を旋回し、カティアめがけて閃光を放った。
カティアは剣で受け止めるものの、衝撃で地面に膝をつく。
「くっ……!」
「ユノお姉ちゃん……どうしよう……」
フェリシアが泣きそうな声を漏らす。
ユノは、必死で仲間の姿を見つめた。
胸元のペンダントを強く握り、心の底から星に祈る。
(お願い……みんなを、守って……)
その瞬間、頭上の空が轟音と共に輝く。
漆黒の雲が渦巻き、眩い稲妻が森を裂いた。
雷光がドローンを直撃。
轟音と共に、機械の身体は一瞬で焼き尽くされ、森の空気が静まり返る。
「……やった……?」
ミアが呆然と口を開く。
「今の……ユノお姉ちゃんの魔法……?」
フェリシアがぽかんとユノを見つめる。
カティアはゆっくりと立ち上がり、剣を地面に突いて深く息を吐いた。
「……助かった。ユノ、すごい力ね」
ユノは驚きと安堵で、少し震える手でペンダントを握りしめた。
「……ありがとう、星の加護……」
静寂の森に、仲間たちの息づかいだけが残っていた。