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レストラン改善計画(二日目)

なんて。なんて悔しいのかしら。


わたしはロミリア。高級レストラン"ポイズン"の一人娘。金のある母親に甘やかされて育った。なんの苦労もせずにここまで生きてきた。


わたしにとって世界は常にバラ色だった。すべてが楽勝のイージーモード。従業員を奴隷のようにアゴで使って、皿よりも重いものを持ったことがない。


それが一転した。


あの女だ。いきなり店に来るなり、わたしを叱った。母親にさえ叱られたことがないのに。さらに片手で頭を万力のように強い力で締め付けられた。


痛い。苦しい。怖い。


あまりの衝撃に漏らしてしまった。濡れた下着のまま腰にバスタオルを巻き、自分の漏らしたものを泣きながら拭き掃除した。


あの女はわたしのライバルのエミリアの店からきた。この店を指導改善する神人かみとこよりと名乗った。


栗色の髪の毛に黒いメイド服がとてもよく似合う美少女。しかも強い。


母親のルミリアが誰かを「様」と呼んでいるのをはじめて聞いた。


どうやら三日間、こよりはこの店に来るらしい。明日からもこんな地獄が続くことを考えると気が重い。


あの女のことを考えると胸が苦しくなる。おなかの奥がウズウズする。漏らしてもいないのに下着が濡れてくる。


なんて。なんて悔しいのかしら。でも感じちゃう。なぜかしら。


ビクンビクン。

「いらっしゃいませ!」

「ありがとうございます!」

「かしこまりました!」

「少々お待ち下さい!」

「申し訳ありません!」

「ありがとうございました!」

「またお越しください!」


店内に声が響く。ここはレストラン"まんぷく食堂"の店内。ボクは神人こより。レストラン"バイキング"から派遣された改善役だ。


前の店名は変えさせた。食い物屋で毒なんて冗談ではない。名は体を表す。お客様が店名を聞いて、何を売ってるところかわからない店名に価値はない。


アナタも見たことがあるだろう。外観はおしゃれだけど、看板は英語(しかも筆記体)で書かれていて何屋かわからない店を。


たいていはレストランか美容院かブティックだ。そんなのは都会か、金のある人間が道楽でやればいい。


おっと脱線した。


店は昨日から臨時休業とした。どうせ営業しても客は一人も来ない。


二日目の改善は従業員の教育だ。挨拶や受け答えを一通り覚えさせる。


そして従業員の把握だ。収納庫スキルを持つ人間をリーダーに任命する。


ロン毛のシェフ。いまは坊主頭の名はロンゲ。ロンゲはそのままシェフにする。タバコは店の裏でお客様から見えないところでのみ吸っていいことにした。


ロンゲの兄貴、冒険者のジタンダには皿洗いを任せる。


「ジタンダ、ロンゲちゃんとやってるかー」

「「はい兄貴!!」」

「よし。タバコ一本吸ってこい」

「「サー!イエッサー!!」」


朝一番に全員ですることは、店先と店内の掃除。厨房はジタンダとロンゲがする。


ちなみに店の再オープンは四日後。明日の三日目は料理の開発とオン・ザ・ジョブ・トレーニング(実際にやってみて覚える研修)をしよう。


宣伝もしないとな。明日も忙しくなりそうだ。


はい異世界シニアです。


お店で重要なのは、やはり店名です。


店名が読めなければ、店名を覚えてもらえなければ、口コミもおきません。スマホやSNSのない異世界ならなおさらです。


次回、異世界バイキング。レストラン改善計画(三日目)。

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