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レストラン改造計画(一日目)

レミリアの奴、いきなり店を繁盛させやがった。


わたしはルミリア。レミリアとは幼なじみで永遠のライバル。あの子とは旦那まで取り合った仲だ。


旦那の取り合いは負けたけれど、男の将来性では勝った。あいつの旦那は事故死して借金を残し、わたしの旦那はけっこうな慰謝料を置いて別の女と出ていった。


ちなみに、わたしもレストランを経営している。いろいろ努力はしているが、どうもこのところ売り上げがよくない。別れた旦那の慰謝料があるけれど、それだってずっとあるわけでもない。


レミリアの店が繁盛した原因はわかっている。あの栗色の髪の毛の女だ。あの女がレストラン"バイキング"に居候するようになってから急に混雑するようになった。


その秘密が知りたい。レミリアに勝ちたい。あの女を引き抜いてしまえばいい。簡単なことだ。


あ、もう読者様は気がついていると思うけど。この作品の作者はキャラクターの名前を考えるのが本当に苦手なの。とにかくミリアを付ければいいと思ってる。だからたまにキャラクターの名前を忘れるのよ。ほんとおバカさんね。


「デッツツツ」


第一印象はとにかくデカイだった。胸の大きくあいた真っ赤なドレスを着た女性はルミリアと名乗った。


どうやらレミリアさんのお友達らしい。


「あなたがこよりさん。さっそく今日からうちの店を手伝ってちょうだい」

「え」

「あら何も聞いてないの。まったくレミリアはしょうがないわね」

「ちょっとレミリア!!」

「あら、ルミリアどうしたの」

「この子、すこし借りてくわよ!」


おい。レミリアさんに話をまったく通してないじゃないか、このオバサン。レミリアさんは少し困った顔をしたが、ニコッと笑ってボクに言った。


「こよりくん。お店は三人いれば回るから大丈夫」

「はあ」

「だからルミリアのレストランを助けてやって」

「レミリアさんがそう言うのなら」

「思いっきりっていいから」


ん?いまロコせと言いましたか。まさかね。


「ルミリア。夜には返してね」

「仕方ないわね」

「こよりくん。三日で立て直して」

「わかりました」


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


十分ほど歩くとルミリアさんのレストランに到着した。


なんだか暗くて陰気臭い店だなあ。お店の周りにはゴミが落ちてるし。


ふと店の入り口の横をみる。調理服を着たロン毛の男がタバコを吸っていた。その男は吸っていたタバコの吸い殻を地面に落とし、足で消した。


「ルミリアさん。あの男は従業員なの」

「ええ。長身でカッコいいでしょう。シェフとしても優秀よ」

「わかりました」


ボクはロン毛の前にツカツカと歩いていく。


「なんだ、お姉ちゃん。逆ナンか」

「拾え」

「ああん。何を拾えって」


ボクは男の金的を右足で蹴り上げた。ドスッ。


男は白目をむき、口から泡をふいて前に倒れて気絶した。


「タバコをお客様から見えるところで吸うんじゃねぇ!」

「しかもコック服着て、バカかお前は!」

「吸い殻まで捨てやがって。誰が掃除するんだよ!」

「お前は明日から来なくていい!クビだ!!」


ボクの後ろでルミリアさんが固まっていた。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


男は放置して店内に入る。外観同様、店内も暗い。清掃も行き届いていない。


もちろん客は一人もいなかった。


店の奥からこれまた派手なドレスを着たボクと同い年くらいの少女が歩いてくる。


「あらお母様。おかえりなさい」


ツンと鼻をつく香水のにおいがした。これは匂いではなくくさいほうの臭いだ。


「この香水は」

「あらお目が高いのね。王都で有名なクサイよ」


ガシッ


少女の顔にアイアンクローを食らわす。そして右手で持ち上げる。


「ひぃいいい!!!!」


突然のことにルミリアの娘はジタバタと暴れる。ルミリアさんも腰を抜かしてただ見ていた。


「レストランの店員がくせぇ香水なんて付けるんじゃねえ!」

「あと、なんだその格好は。水商売でもやんのか、あぁん」


気がつくと少女はプラーンとしていた。下半身からは盛大にお漏らしして。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「今日からこのレストランを手伝ってくださる、こより様よ」

「よろしくお願いしまーす♡」


ルミリアさんも他の従業員もみんなビビっていた。なんでだろう。ボク当たり前のことしただけだよ。


「そういえばこのお店の名前ってナニ」

「ポイズンです」

「なんだと」

「ヒッ」

「キミ。単語の意味を教えてくれるかな」

「毒です」

「ルミリアさん。なんでポイズンなんて店名にしたの」

「カッコいいからですわ」


プッチーン


ボクは店先に掲げられている店名を描いた看板を外して持ってくる。空中にポイっと放り投げる。


スカートの太ももに隠し持っていたトンファーで叩き割った。


「きゃああああああ!!!」

「ヒィィィ!!!!」


店内に悲鳴が響き渡る。


「食べ物屋の名前が毒って頭わいてんのか!」

「意味不明な店名つけて自己満足してんじゃねぇ!!」

「商売舐めてんのか!!」


ハァハァハァハァ。ヤバい、一生分くらいキレたかもしれない。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


バシャーン!!


その時、店のドアが蹴破られた。ドアから入ってきたのはクビにしたロン毛のコックだった。


「兄貴、いました!あの女です!!」

「このあま、痛い目にあわせてやるからな!」

「兄貴はD級冒険者だ!ボコボコにしてやる!」

「俺はジタンダ。誰だ、俺の可愛い弟をイジメた奴は」


「「あ」」


「あら素敵なオジサマ。またお会いしましたわね」

「お前。いや、あなた様は」

「二度と近づくなと言いませんでしたか」

「すみません!!!」


とつぜん頼みの兄が土下座をした。弟のロン毛はわけがわからなかった。


「どうしたんだよ、兄ちゃん!」

「馬鹿野郎。あの方はブルー・オーガだぞ!」

「え?盗賊団を皆殺しにした??」

「A級冒険者だ。俺は頭をザクロみたいに割られたくねえ」


なんか話が大きくなってないか。皆殺しになんてしてないよ。あとブルー・オーガって「ナマハゲ」だよね。日本の。


「ジタンダと言ったな」

「はい、兄貴!」

「ドアを直せ。または弁償しろ」

「わかりました!」

「あと弟」

「はい、兄貴!!」

「頭をボウズにしてこい」

「そんな」

「返事は、サー・イエッサーだけな」


トンファーで弟の肩をポンポンと叩く。


「サー・イエッサー!!」

「いい返事だ。明日の朝、日の出から店の周りを二人で掃除しろ」

「「サー・イエッサー!!」」


お店の基本はクリンリネス。清潔と清掃だ。まずはそこから改善していこう。


この店、本当に三日で改善できるかなあ。


はい異世界シニアです。


次回、異世界レストラン。レストラン改造計画(二日目)。


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