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店員リクルート(盗賊団壊滅作戦)

「盗賊団?」


ここは冒険者ギルド。山で狩ったオークの賞金を受け取りに来た。受付嬢のラミリアさんは今日もきれいだ。


「そう。繁盛店はとくに狙われるから気をつけて」

「夜中に押し込み強盗ですか」


さしずめ強盗団か。すでに被害も何件かあり、犠牲者も出ている。男は殺され、女は犯されたあとに殺されていた。ギルドにも討伐依頼が出されている。盗賊の生死は問わない。それだけ危険な相手なのだ。


女三人で切り盛りしている(ようにみえる)レストラン"バイキング"も他人事ではなかった。


「わかりました。気をつけます」

「そういえば、次はいつ抱いてくれるのかな」

「え」

「ふふふ」

「ははは」

「じーっ」

「あらエミリア。どうしたの」

「やはりおっぱい。おっぱいはすべてを解決するのか」

「なに言ってるのさエミリア!」

「ふん」

「それじゃ、また」


エミリアがボクの腕に抱きついてくる。後ろから視線を感じながらボクたちは冒険者ギルドを出た。


そのとき、ボクに人がぶつかった。いや、わざとぶつかってきた。


「ごめんよ!」


立ち去ろうとした子供の手をつかむ。ボクの財布を持っていた。スリか。


「ちっ」


シュン


スリの子供の手からボクの財布が消える。収納庫スキル持ちか。反対側の手でナイフを取り出すと、スリは躊躇なくボクの腹を刺しにきた。


スパーーン


足払いで盛大に転がす。


「ちょっと手癖がよくないね。痛い目をみようか」


つかんだ腕の肩関節を外す。ゴキッ。


「!!!!」


スリは激痛で気絶していた。フードで隠した顔をみる。まだ十歳くらいの痩せた女の子だった。




気絶した女の子の肩関節を元に戻し、バイキングに抱っこして連れて行く。


レミリアさんとエミリアさんに風呂へ入れてもらう。服もエミリアのものに着替えさせた。身ぎれいになると驚くほどの美少女だった。あと数年もすれば若い男から求婚されて断るのも大変になるだろう。


「ぅ」

「目が覚めたかい」

「ここは」

「レストラン"バイキング"だよ!」

「お腹がすいてるでしょ」


レミリアさんが温かいスープとサンドイッチを並べた。まだ安心できないので凶器になるナイフとフォークは使わせない。使わせるのはスプーンのみだ。まあスプーンも凶器になるけどね、人によっては。


そこはボクが気をつければいい。


ガツガツガツガツ


「いい食べっぷりだ」

「おかわりもあるからね」

「ぅ」


ポトポトポト。テーブルに涙が落ちる。レミリアさんが少女の頭をなでなする。


「こんな温かい食事は何年かぶりで嬉しくて・・・美味しくて」

「遠慮せず、たくさん食べなさい」

「はい」


腹がふくれると少女はポツポツと身の上話をはじめた。少女の名はコミリア。両親が事故死したこと、盗賊団に拾われたこと、盗みを手伝わされていること。


「そいつは許せないな。潰すか」

「あと女三人が経営するレストランも襲うって言ってた」

「!!!」

「ここもターゲットになっていたか」

「コミリア。キミはどうしたい」

「あそこには戻りたくない」

「なら盗賊団を潰すぞ。手伝ってくれるか」

「はい」


店を臨時休業にして、ボクたちは全員で冒険者ギルドに向かう。三人の保護を受付嬢のラミリアさんにお願いする。


盗賊団の人数は十人以上。アジトの場所はコミリアから聞いた。山のふもとにある元貴族の廃虚らしい。


「わたしも行くわ」

「ラミリアさん、危ないよ」

「こう見えて冒険者よ。ランクもB」

「どうりで寝技がうまいわけだ」

「ふふふ」

「モンスターと違って、奴らは石も投げるし弓も使う。気をつけていこう」

「緊急召集をかけたから、ギルド職員もいれたら三十人は集まるわよ」

「そいつはいい。一人も逃さないで」


バンッ


廃虚になっている洋館のドアをボクは蹴破る。そして叫ぶ。


「悪い子はいねがぁーーー!!!!」


なんだなんだ。ぞろぞろと悪党が姿を現した。


「この館は完全に包囲した。おとなしく投降しろ」

「冒険者ギルドのラミリアです。武器を捨てなさい」


盗賊団のボスらしい男が前に出てくる。


「お前らバカか。捕まれば死刑とわかっていて大人しく捕まる奴がどこにいる」

「ならヤるしかないな」

「舐めるな小僧!」


死角から弓が飛んできた。パキン。トンファーでたたき落とす。事前の打ち合わせで弓兵の処理はラミリアさんたちにお願いしてある。


ボクは盗賊団のボスに向かって突っ込んだ。乱戦になれば弓も飛んでこない。下手をすれば仲間に当たるからね。


雑魚ざこを次々と片付けていく。手加減なんてしてられないから、何人かは死んだかもしれない。


残るはボスのみ。館の周辺は他の冒険者がいるから逃げられない。相手は悪党。ボクは命乞いも聞かずにボスの頭を潰した。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


「いらっしゃいませ!」

「三名様。こちらにご案内いたします」

「当店のご利用は初めてでしょうか」

「それでは説明させていただきます」

「当店は午後三時まで食べ放題です」

「ただし、料理の持ち帰りやお残しはご遠慮ください」

「食べ終えた皿やフォークはあちらにお願いいたします」

「なにかご質問はございますか」

「それではバイキングをお楽しみください」


十歳なのにしっかりした受け答えができる。バイキングは新たな従業員を得た。コミリアはレミリアさんの養女になったのだ。


美人三人が経営するバイキングはますます繁盛するだろう。いずれは人を雇って違うお店を出してもいい。


「お兄ちゃん!」

「ん、どうした」

「わたし片づけにまわるね。案内お願い!」

「あいよ」


本当にコミリアは明るくよく笑うようになった。レミリアさんはお母さん、エミリアはお姉ちゃん、ボクはお兄ちゃんと呼ばれている。


さて閉店まで頑張りますか。


あとさコミリア。きっと忘れてるだろうけど、ボクからスった財布をそろそろ返してくれると嬉しいな。


「いらっしゃいませー!!」


はい異世界シニアです。


新たなキャラクター登場です。


人が増えればできることも増えます。本来であれば席への案内、店内のルール説明は必要不可欠でした。


コミリアが増えたことでますますバイキングの経営は改善されていきます。


次回、異世界バイキング。二号店を出そう。


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