メロンでメロメロ
異世界にもメロンはある。
けれど米と同じで豊作になれば余る。そして安くなる。熟せば美味しくなるメロンだって、腐れば捨てるしかない。
時間を止められる収納庫スキルをわたしと両親が持っているけれど、その容量も限界が近かった。
わたしはメロン農家の一人娘メロ。両親と手塩にかけて育てたメロンが売れない。なによりも余って捨てることは絶対にしたくなかった。
そんなとき幼なじみの米屋のコメリちゃんの話を風の噂で聞いた。コメリちゃんのところも米が余って困っていたそうだ。
ところがブルーオーガ(青鬼)という二つ名のAランク冒険者に助けてもらって、いまでは逆に米が足りなくなってしまったらしい。
羨ましい。
こうなったらわたしもブルーオーガの力を借りよう。たとえこの体を差し出してでも。
「ブルーオーガでーす!」
「こよりさん、こちらメロン農家のメロちゃん」
「は・・はじめまして」
どういうことだ。青鬼の二つ名をもつAランク冒険者だというから、いかついガチムチな男が来ると思っていたのに。
目の前にいるのはメイド服が似合う同い年くらいの美少女ではないか。戸惑うわたしの心中を察したのだろう。コメリちゃんがわたしを呼ぶ。
「メロちゃん」
「コメリちゃん」
「こよりさんは男の子だよ」
「え」
これが男の子。神様はどれだけイタズラが好きなんだろう。女の子にしか見えない。
「残念ながら付いてるよ」
「わかりました」
「メロちゃん、こよりさんに相談があるんだよね」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「・・というわけなんです」
「豊作かぁ」
「身につまされます」
ここはバイキングレストラン二号店"カレー大好き"の二階の休憩室。わたしはコメリちゃんにお願いして青鬼こと神人こよりさんを紹介してもらった。
米屋のコメリちゃんも豊作で米が余って困っていた。同じ境遇の幼なじみを放ってはいられなかったのだろう。
「試食も持ってきました」
「いただきます」
一玉を半分に切ったメロンをスプーンで豪快に食べる。はむっ。うん、とてもジューシーだ。よく熟している。メロンは熟すとほんのりアルコールぽい風味がするんだよね。
よく正月に家族で行った南伊豆で食べたメロンパフェを思い出した。
令和の日本なら、このメロンは一玉三千円してもおかしくない。それが余ってるうえに捨てるしかないだと。
これはやるしかない。メロンのデザートバイキングレストランを作るぞ。
「メロちゃんちに空き家とか空き店舗はある」
「あります」
「なら、そこに店を作ろうか」
「店名はどうしますか」
「メロンにメロメロ」
「メロンにメロメロ」
わたしは気に入った。覚えやすく、何を売ってるかわからない人はいないだろう。
メロンにメロメロのプレオープンは金曜日。




