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魔力量平民以下、無属性で悪役令嬢にされた私。ループ百回目で光属性を得て神龍に愛されたので運命を変え、静かに生きます。  作者: 神崎桜夜
一章

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しばらく詠唱を繰り返してみたけれど一瞬光が灯ったように消えたことが二、三回あっただけで上手く魔法を発動させることは出来なかった。


「はぁ、はぁ」


平民以下のほぼない魔力を使いすぎたのか私は息を切らして椅子に座る。

ペルトニーがすぐにコップに水を入れて持って来て私に差し出してくれた。


「あ、ありがとう、ペルトニー」


「大丈夫っスか?あんまり無理をされると体に悪いので今日はここまでがいいかもしれないっスね」


ペルトニーは私を心配そうに見つめてそう言った。私の目の前に座るアルフィン殿は何かすごく考え込んでいた。


「どうか、したの、アルフィン殿?」


息を切らしながら声を掛けると彼は真剣な顔で私を見て眉を寄せた。

そんな彼を首を傾げて見つめ返すとまるで言葉を選んでいるかのようにポツリと言った。


「ふむ、貴女の魔力量は本当に微量でしたか?」


彼はいったい何を言っているのだろうか?


選定の儀で決定した魔力量が未だかつて間違っていた事などない。

だから、私の結果は見たままのはず。


「えぇ、本当に微かに光ったくらいだったわ」


「……貴女の今の様子を観察していて私が率直に思ったのは、魔力量が少ないと言うよりも枯渇しているように思います」


「魔力量が枯渇?」


アルフィン殿は私の飲んだコップを指しながら説明する。


「そのコップに入ってる水が魔力だとしましょう、通常魔力は飲んだ水のように使えば減ります。でも、コップの水が無くなっても注げば増えるように魔力も休息をすれば自然に回復するものなのですが……」


彼は口元に手を当て考えるように言った。


「貴女はまるで器と量が合っていないかのように魔力量の戻りが著しく遅いというか……ほとんど戻っていない。ある程度の時間を要せば多少戻るでしょうが……こんな、現象を見るのは初めてだ。なんて、素晴らしい研究対象だ」


後半はもう、私に話していると言うよりも独り言のようにニヤニヤと喜んでいるようだった。

やっぱり私を研究対象だと思ってたのね。

まったくこの人は。

呆れてため息が漏れた。


「もし、私の魔力が枯渇しているんだとしたらどうしたらいいの?」


「分かりません」


「えっ」


ニヤニヤしていた顔が急に真面目な顔に戻る。


「さっきもいいましたが、こんな現象は初めて見ます。何日かおきでいいのでしばらく貴女を観察させてください。そうすれば、何か分かるかもしれません」


要は私を研究したいってことよね。

でも、この申し出は私にとっても願ったり叶ったりだ。魔法に関して最高峰を誇る彼に指導してもらえるなんて滅多にない機会だから。

でもまぁ、当の本人は私のことを研究対象として見ているだけなんだけど。


「分かったわ、その代わりアルフィン殿にもお願いがあるの、私の魔法の師匠になってもらえないかしら?」


私がそう提案したら彼は明らかにイヤそうな顔をした。


「し、仕方ありませんね……面倒ですが」


最後の言葉は小さな声だったが私にはちゃんと聞こえていた。私は彼を少し睨む。


「じゃぁ、僕は兄弟子っスね!」


ペルトニーは嬉しそうにニッと歯を出して笑った。なんと、対照的な二人なのだろうか。

一緒に生活出来ているのが不思議なくらいだ。


それから、しばらくアルフィン殿と光魔法や魔力量について話をした。


「あっ、公女様そろそろお時間じゃないっスか?」


ペルトニーが時計を見ながら私に声をかける。


「もう、そんな時間なのねアルフィン殿、今日はありがとうございました」


私がそう言って立ち上がるとアルフィン殿は小さな声で呟いた。


「ノヴァ、で構いません」


「えっ?」


「あっ、じゃあ、じゃあ僕もペルトでいいっスよ」


無表情に魔導書を見たままのアルフィン殿とニコニコ笑顔のペルトニー。

対照的な二人を交互に見つめながら小さく笑みが溢れる。


「じゃあ、ノヴァ様とペルトと呼ぶわ。次また伺う時はご連絡いたしますね?」


「待ってるっス!ねぇ、ノヴァ様」


そう言ってペルトはノヴァ様を見た。

彼は変わらず魔導書に目をやりながらこちらを見ずに答えた。


「来ていただかないと研究出来ませんからね。それに貴女に光属性魔法を教えると約束しましたし、仕方ないので待ってますよ」


私とペルトは顔を見合わせて素直じゃないノヴァ様に苦笑いをする。 


それから魔塔を後にして、ユリネスたちと屋敷へと戻った。


屋敷に戻った後、私は部屋のソファーに座り一つ息を漏らした。少し、疲れたわね。

ソファーでうとうとしていると部屋の扉がノックされる。


「セレナ様、私です」


部屋の外から聞こえたのはアレスの声だった。

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