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魔力量平民以下、無属性で悪役令嬢にされた私。ループ百回目で光属性を得て神龍に愛されたので運命を変え、静かに生きます。  作者: 神崎桜夜
一章

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16 魔塔の主人(1)

私が噂についていろいろ思考を巡らせているとペルトニーは更に捲し立てて来た。


「聞いてるんっスか!僕は貴女が光属性だからって騙されないっスよ!」


「ねぇ、ペルトニー、貴方はその噂を妹さん以外からも聞いたの?」


私がそう聞くと彼は目をぱちぱちさせながら首を傾げた。


「えっ?えっと……貴族方がそんな話をしていた……とか?僕は、詳しくは知らないっスけど……で、でも妹だって友達から聞いたって言ってたし魔塔内でも噂をされるってことは何かあったってことっスよね!」


とりあえずまずは、興奮している彼の誤解を解かないとダメな気がした。


「あのね、ペルトニー?もう一度言うけど私は血統魔法を自慢したこともないし、妹のアリーとは……仲は悪くないと思うわ」


私がそう反論すると、彼は少しキョトンとした顔で私を見つめた。


「で、でもそういう噂をたくさん耳にしたっスよ?」


「そうね、どんな噂かはよく分からないけれど、もしよければ今貴方が目で見て、話をして判断してくれると嬉しいわ」


私は苦笑いをして彼を見た。


「それにね、妹を虐げたって話も彼女は王族並みの魔力量を持っているのよ?私は確かに光属性だけど今のところ魔力量は平民以下なの、そんな私が彼女をいじめるメリットがないもの」


自分で言っていて少し胸を締め付けられる。


「た、確かにそうっスね……あ、あれ?じゃあ、僕はなんで噂を信じてしまったんだろう?」


彼は急に魔法でも解けたかのように自分が噂を信じてしまったことが腑に落ちない顔をしていた。

そして私の顔を見てペルトニーの顔はどんどん血の気が引いていき真っ青になっていった。


「じゃあ僕は公女様にとんでもなく失礼なことをしたんじゃあ」


そして、冷や汗を流しながら勢いよく私に頭を下げて謝った。


「た、大変申し訳なかったっス、てっきり本当に悪女が来るかと……そうなったらノヴァ様に何をするか分からないと思って……本当にすみませんっス」


彼は素直で優しい人なのだろう。

だから、真実が分からなくても大事な主人や妹に危険が迫っていると思い私に声を荒げてしまったのだと思う。

落ち込む彼の頭には垂れ下がった犬耳が見えた気がした。


「申し訳ないと思ったのなら、さっきも言ったけど貴女が私を見て、話しをて私が本当に噂通りの悪女じゃなかったらみんなの誤解を解いてくれる?」


私がそう言って微笑むと彼は「はいっス!」と元気に笑った。彼の後ろには、なんだかぶんぶん揺れている尻尾まで見えてきた気がした。

その後はにこやかに話をしながらペルトニーと魔塔の主人の部屋を目指した。


※ ※ ※ ※ ※


しばらくして、彼の部屋に辿り着いたのだが……。

私は目の前の光景に立ち尽くしている。

何故なら目の前には魔導書や呪術書なんかに埋もれてぶつぶつと呟いている男性。


おそらく彼がこの国最高の魔導士、ノヴァ・アルフィン殿なのだろう。


「ノヴァ様、公女様が参られたっすよ!」


あの後、ペルトニーにと家族の話や世間話をして彼への誤解は解けた。

それは本当によかったのだが……。

ペルトニーに声をかけられたにも関わらず、アルフィン殿は集中しているのか魔導書から目を離さずぶつぶつと何かを言っている。


彼は子爵家でありながら魔力量が多く、魔法の扱いもうまい。そのため彼には水、火、木と三つの属性がある。

しかし研究を重ねている彼はあくまで属性は自分に馴染みやすいものであって、実は他の属性に適性がなくても訓練や魔術構築をすれば使えるのではないかと考えているらしい。

ただ今はまだ、そんな事実は発見されていない。


「ノヴァ様!いい加減にするっス!」


そう言ってペルトニーは彼が読んでいる本を無理矢理取り上げた。


「あぁー!ペルトくん、何をするだよ〜今大事なことを確認している最中なのに」


そう言って本を飛ばしながら跳ね起きてきたアルフィン殿。

出て来た彼は茶色の長い髪を無造作に一つに結び、度の強そうなメガネをしていた。


「何を言ってるんっすか、今日はラドリディアン家の公女様が来られると朝から言ってたじゃないっスか」


ペルトニーは私を指差した。


「ん?ラドリディアン家の公女?」


ノヴァ殿はペルトニーの言葉にメガネを少し上げて私を見据えた。


「初めてお目にかかります、セレナリア・ラドリディアンと申します」


スカートの裾をもちふわりとお辞儀をして挨拶をする。


「なるほど、貴方が噂の“悪女“ですか?」


「あっ」


………。

どうやら彼も私を“悪女“と認識しているらしい。

苦笑いをする私とまじまじと私を見据えるノヴァ殿を交互に見ながらペルトニーはあわあわしていた。

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