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魔力量平民以下、無属性で悪役令嬢にされた私。ループ百回目で光属性を得て神龍に愛されたので運命を変え、静かに生きます。  作者: 神崎桜夜
一章

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15 魔塔へ(3)

あれからアレスに会えないまま日にちだけが経ち魔塔へ行く日。

マルセナに出発の準備を手伝ってもらい、護衛としてユリネスとイレイナに同行してもらって魔塔へとやって来た。


「お嬢様魔塔へ入れるのは許可証が出ているお嬢様だけになります。我々護衛は外での待機になりますので気をつけて行って来てください」


「お嬢様、ここまでしかお側にいることが出来ませんが本当に気をつけてくださいね」


魔塔内へは許可証を持っている私のみしか入れない。


「えぇ、ありがとう、じゃあ行ってきます」


私は外で待つ二人が安心できるように微笑みを返し大きな門を潜り石造りの高い建物の前に立つ。


「魔塔への許可証の提示、お名前をお願いします」


塔の中から機械のような声がして、私は言われた通り許可証を取り出して広げて見せる。


「セレナリア・ラドリディアン」


ピンッという音とともに魔塔の扉が開いた。

私は恐る恐る扉をくぐり中に入る。

外からみたら冷たく寂しい様に見えるが中は明るく、暖かな色の火の魔法で照らされている。

扉を通ってすぐのホールに髪が茶色の短髪で外側に少し跳ねている若い男性が立っていた。


「こんにちはっス。ノヴァ様の世話係のペルトニー・カーネリオンっス。案内役を任せれているのでどうぞっス」


その声色は少し警戒しているようだったし、彼の黄緑色をした目は私に少しだけ嫌悪感を抱いている気がした。


「公女様はラドリディアン家のご息女なんっスよね?」


「えぇ、そうよう」


私の前を歩くペルトニーがこちらをチラッと見て質問してきた。


「公女様の家系の結界魔法には感謝してるっス、何年もこの魔塔の守りをしてもらっているので」


そう、この魔塔全体には私のお祖父様が“結界魔法“を施していのだ。

正確に言うなら結界魔法が施された保護石がある。

本来、お父様が血統魔法を受け継いでいたら張り直しを行うのはお父様だ。

しかし、お父様は血統魔法を受け継いでおらず、その血統魔法を受け継いだのが他でもない、私だった。


「でも、血統魔法が扱えて“光属性“だからって自慢ばかりするのはどうかと思うっス」


ん?

急に彼は何を言い出したのだろうか?

突拍子もない話に私は小首を傾げた。


「正直、そういう人はあんまり歓迎したくないっス」


ペルトニーは少し口を尖らせてそう言った。


「こないだ妹も言ってたんっスよ、『光の公女様に睨まれた』って言う友達がいてその友達が泣いていたって」


光の公女って私のこと?

それよりも、私は今のところ領地に出たくらいで他に知らない人に会ったことはないのだけど。


「実際、僕が見たわけでも妹が見たわけでもないっスけど、誰かの大切な人を泣かせる人は好きじゃないっス」


彼の話にじわじわと嫌な予感が広がっていくのを感じた。


「あの、ペルトニー?少しいいかしら?」


「なんっスか?」


彼は立ち止まり私の方を振り返った。

その顔はやっぱり少しだけ警戒と嫌悪の色を滲ませていた。


「申し訳ないのだけど、いったいなんの話をしているの?私は自分の力を過信して自慢なんてしないし、ましてや誰かを泣かした事なんてないわ」


私は嫌な予感に震える体に力を込めて、前回の時は怖くて出来なかった自分への悪意に反論した。


「しらばっくれてもダメっスよ!『妹を虐げる悪女』の噂が広がっていて魔塔のみんなも貴方を警戒してるんっスから!」


「私がその噂の悪女だと言っているの?」


私がそう聞くと彼は先ほどよりも怒りを露わにした。


「目の前には貴女しかいないじゃないですか!僕は反対したんっスよ、そんな“悪女“みたいな人を魔塔内に入れるなんてって!それなのに、ノヴァ様ったら貴女が光属性だからって珍しがって許可しちゃうんっスもん!」


“妹を虐げる姉“。“悪女“。


この二つの言葉に嫌な記憶が蘇り心が底のない沼へと引き摺り込まれていく。

嫌な予感が当たった。

前の人生でもいつの間にかそう呼ばれていたが、今回は前よりもより早い段階で噂されている気がする。


私の記憶では“悪女“や“妹を虐げる姉“と呼ばれるようになったのは王立魔法学園の中等部に入学して半年経った頃からだったはずなのに、今回はすでに誰かが私のことを“悪女“にしようとしているってことよね。


“流している人物“に心当たりがないわけじゃない。だから、前回もいろいろその人物の周りを調べてみたけれど何故か、出て来るのは彼女の周りが噂をしているだろうという曖昧なものだけだった。


今回こそは彼女の周りをどうにかして調べて、必ず犯人を見つけ出さなきゃまた前回の二の舞になってしまう。

私は沼の底に引き摺り込まれそうな心を堪えて震える拳をギュッと握りしめた。

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