表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力量平民以下、無属性で悪役令嬢にされた私。ループ百回目で光属性を得て神龍に愛されたので運命を変え、静かに生きます。  作者: 神崎桜夜
一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/64

11話 自慢の娘(1)

あれからようやく体も動くようになり外の空気が吸いたくてマルセナと庭に出てみた。

すっかり雨も止み、青空が広がっていた。


「あの大雨が嘘のようね」


「本当ですね」


柔らかな風が雨に濡れた土の香りを運んで吹き、私の銀色の髪を揺らす。庭に咲く花や草には雨粒が乗っていて日の光りに照らされキラキラと光っている。

本当に気持ちがいい朝だ。


「マルセナ、お父様はどうしてるかしら?」


「公爵様は後始末や被害状況の確認などを今、街で行っておられるはずです」


お父様はどうやら街に出ているようだった。

いろいろあの後のことで聞きたいこともあるし街の状況も様子を見ておきたい。


「ねぇマルセナ、街に出たいのだけど」


考えた後、マルセナの方を向いて思っていたことを口に出すと彼女は少し眉を寄せて困った顔をした。


「セレナお嬢様、なんだか幼い頃のようですね」


そんな複雑そうな顔をさせるくらい幼い頃の私はマルセナを困らせていたのだろうか。

前回の人生の時の10歳頃は既に淑女教育も始まっていたから走り回ることもなくなっていた。


それより前の私は少しお転婆だったようだ。

それも、勉強やプレッシャーでどんどん失われていつの間にか綺麗な歩き方に姿勢を保つことに必死になっていたものね。


でも今の自分が少しだけ感情のない自分ではなく感情を出せるようになってきている小さな変化に、くすぐったい気持ちといい知れない不安が心に落ちた。


「アレス様にご相談して、お許しが出ましたら参りましょう」


マルセナは困ったように言ったけれど、少し変わった私にどこか嬉しそうにもしていた。


「ありがとう、マルセナ」


そう言って2人で屋敷の中に入りアレスを探した。しばらく廊下をアレスを探して歩いていると、アリーの部屋の前で彼を見つける。

しかし、彼は誰かと話しているようだった。

アレスの反対側にいるので彼の背中で顔は見えない。


「……少し体が……なんでしょうか?」


声が聞こえてきたがどうやら声からして、話しているのはマリエッタだ。


「大丈夫で……誰も入室……ください」


何を話しているかはまだ距離があって、あまり聞き取れなかったけど、どうやらアリーはまだ体調が優れない様子だった。


「かしこまりました」


声がはっきり聞こえる距離に近づいたときには2人の話は終わったようでマリエッタは私に気づかないままアリーの部屋に入って行った。

アレスはマリエッタが部屋に入るのを見届けている。

パタンとアリーの部屋の扉が閉まったのでアレスの背中に向かって話しかける。


「アレス、ちょっといいかしら」


「ッ、セレナ様、何かありましたか?」


普段のアレスは私の護衛をしているからそれなりに強い。

人の気配を感じ取るのが得意なはずなのに、考え事をしていたのか私が近づいていたことに気づいていなかったみたいで、肩を微かに揺らした。


「急に話しかけてごめんね?ちょっと街の様子を見に行きたいと思ったんだけど、いいかしら?」


私が首を傾げながら聞くと、彼は口元に手を当てて少し考えてから頷いた。


「かしこまりました、ですが私はアリシア様の看病がありますのでついては行けません。2人護衛を新しくつけますので外出の準備をされて待っていてください」


「分かったわ」


アレスは私に一礼しその場を離れた。


彼は私の護衛兼従者のはずなのにアリーの看病?


疑問が残るがお父様がアレスに命令しているようだから私が何か言える立場ではない。

ただ、最近アリーに仕えている時間が長い気がするのは気のせいかしら。

前の人生の時は気づかなかっただけ?


でも、アリーが一緒に倒れてからはほとんどアリーの傍にいる。その事が心に小さな違和感にを落とした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ