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魔力量平民以下、無属性で悪役令嬢にされた私。ループ百回目で光属性を得て神龍に愛されたので運命を変え、静かに生きます。  作者: 神崎桜夜
一章

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10話 魔力の融合(2)

少女たちは姉妹なのか姉の方が化け物から妹を庇うように抱きしめているが恐怖で声も出なく、動くこともできずにうずくまっていた。


私は少女たちを見た後もう一度化け物を見上げる。


あんな大きな生物、見たことない。

いったい、あれは何?


そう思っているとその化け物は口を大きく開けて地響きが起きるほどの大きさで唸っている。


耳が痛くなるほどの大きさで思わず手で耳を覆うが足は止めずに少女たちに向かう。


もしあんな大きな化け物から攻撃を受けたら、

私たちだけじゃなくて領地一帯が何も残らない!


後少しで少女たちの傍に着きそうで私は手を伸ばす。それと同時に反対側からも手が伸びてきているのが見えた。


「アリー!」


化け物の登場などで気づかなかったがそこには家に居るはずのアリーが居た。

アリーは少女たちに手を伸ばし化け物から守るように抱きしめる。


私はアリーたちの元に辿り着き彼女たちと化け物の間に立つと、化け物はこちらに向けて大きな口を開け水の塊を成形し始めていた。


あれは、魔法なの?

あんな大きな攻撃どう防げばいいの。

このままじゃ領地も私たちも助からない。


お父様たちに視線を向けると、何か叫びながらこちらに向かって来てはいるけどお父様も護衛騎士たちもあれだけの魔力を使ってしまった。


きっと、この攻撃を防げるだけの魔力が残っていない、どうしたらいいの。


そう言えば……。


前回アレスと魔法の勉強した時のことを思い出した。


ーー『セレナ様、魔法は単体で使うだけではありません。例えば、水と火を複合し強力な水蒸気爆発を起こして攻撃したりと多種多様な使い道があります』


アレスは黒板に書き込みながら私に説明する。


『じゃあアレス、魔法だけじゃなくて、もしかして魔力も融合できたりするのかしら?』


『流石はセレナ様、魔力同士を掛け合わせることで更に大きな力を発揮することが出来ますね。それが行われているのが結界補強魔法です』


『なるほどね、じゃあ血統魔法と血統魔法で“複合魔法“もできるのね』


アレスは私の言葉に一瞬だけ動きを止めた。


『……えぇ、基本的には血統魔法を“融合“することは、危険とされているので結界補強魔法以外で使うことは禁呪ですし、血統魔法を受け継ぐ三家が魔法を“融合“させることはないにひとしですね』ーー


そうだ、魔力の融合。


アレスに前回の人生で習った。


私は今はまだ魔力があまりないけれど、アリーの魔力量は王族に匹敵する!


まだ使い方を知らないかもしれないけど、私が魔力を融合して誘導すれば土の障壁を作ることが出来るかもしれない!


私はアリーの横へ急ぐ。雨であまり前が見えないが彼女の横に膝をついて聞こえるように大きな声をした。


「アリー!貴方の魔力を貸して!」


「えっ、ど、どうするのお姉様!」


アリーは私の言葉に目を見開きながらこちらを向いた。その間も彼女は少女たちを抱きしめていた。


アリーが誰かを守っていることに少し驚いたが、今はそんな事を考えている暇はない。

目の前の化け物をどうにかしないと大事な領地が消し飛んでしまう。


「大丈夫、私に任せて。アリー、私がついてるわ」


アリーの肩に手を添えて彼女の目を力強く見つめる。


「ッ、わ、分かった」


アリーは少し泣きそうな顔をしながら頷いた。


私はアリーの手を強く握る、彼女の手は雨で冷えたのかひどく冷たかった。冬の寒空の下にずっといたかのような冷たさだった。


「私の詠唱を復唱して!」


アリーは私の声に少し戸惑うように頷いた。

一つ息を吐く。

もし、失敗すればみんな消し飛んでしまう。


ギュッとアリーの手をもう一度握ると彼女も応えるように握り返してきた。


「大地に聳えたて“オベクス“!」


私の言葉をアリーが復唱した瞬間、私たちの魔力が交わるのを感じた。


大地が唸り、地響きと砂煙を上げて私たちの前に大きな土の障壁が聳え立ち化け物の攻撃ごと包み込む。


やっぱり彼女の魔力は桁違いなのね。


分厚い土の障壁の中でおそらく化け物が放とうとしていた攻撃が暴発するような大きな爆破音がした。


爆破音が聞こえてすぐに、障壁は静かにさらさらと崩れ去り、中に閉じ込めていたはずの化け物は自分の攻撃で消滅したのか消えていた。


よかった、なんとか間に合った。


お父様たちはびっくりして立ち止まり、さっきまで化け物がいた所をみつめていた。

少ししてから騎士団たちの大きな歓声が聞こえてきた。


「上手くいって、よかったわね」


そう言ってアリーをみた瞬間、目の前がチカチカ光り見にくくなる。


耳鳴りも大きく鳴り響きはじめ、庭で倒れた時のように周りの音が消えていきゆっくりと自分が倒れて行くのが分かった。


アリーもまた同じようにゆっくり倒れ、呟くように私の名前を呼んでいた。

そして、また知らない映像が頭に流れ込んできた。


ーー『セレナお義姉様……いいでしょ?』


『リアン、セレナは……だからな?』


『分かって……ね、アリー、アリー?』ーー


これは、私たち?


前よりも少しはっきりと見えた映像。

声もノイズが入るけど前よりは少し聞き取れた。


あれは、殿下と彼の弟シトリシアン殿下に私とアリーだ。


仲良く遊んでいるはずなのに。


殿下やリアン、私の顔は薄ぼんやり見えるのに、何故かアリーの顔だけが黒いモヤがかかって見えない。


何故だろう。


そう思いながら私は意識を手放した。


その後、私たちは邸宅に運ばれ2人とも熱を出して数日寝込んだらしい。

アレスがいつものように小言を言っていた。

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