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02話

気が付くと日が当たり明るかった部屋は真っ暗になっていた。


「寝すぎた……」


暗闇の中、手探りで携帯を確認すると、もう8時を過ぎていた。


どうやら霞さんは俺に気を使って起こさないでいてくれたみたいだな。





もそっとベッドから起きた俺は階段を降りて、1階のリビングに入った。


「あら、慧君おはよう」


「寝ちゃってましたね……」



テーブルのイスに座って、にこやかに笑っている霞さんと挨拶を交わす。


そしてその隣に女の子が座っているんだけど、もしかして………




「……澪か?」


「気付くのがオ・ソ・イ! 瑠璃垣 澪(るりがき みお)だよ、 一目見て分かんないかな〜〜」


不満たらたらな澪を後目にとりあえず椅子に座る。


「いや〜悪い悪い、でもあまりに変わってて分かんなかったんだよ」


ミオは俺がまだここにいた時に子供の頃からずっと遊んでいた幼馴染み。

親どうしも仲が良く、家も近かったからか、毎日の様に遊んでいた。


ちなみに1つ年下だ。



「ふ〜ん、慧は私がどんな風に変わったと思うの?」


「え、え〜と……」


確かに変わった。凄く可愛くなった。


霞さんも美人だからきっと澪も何時かは可愛くなるだろうな〜って思ってたけど……俺の予想を遥かに越える程だ。


目もとくりくりたれ目にサラサラで綺麗な髪が絶妙にマッチしている。



ってか……マズイ。ここまで女の子っぽく変わっているなんて予想外だ。このままだと俺…………



「や、ヤバいは澪」


うろたえ始める慧。

その額にはやんわり汗が……



「え〜そんなに可愛いの?」


満更でもなさそうに顔を綻ばせる澪。



……に対して




「違うって……ほら……例の俺の体質みたいなの」


「えぇぇ〜私にまで反応しちゃうのって……どんだけ悪化してるのよ」


慧は震えていた。




ここで説明しておこう。

俺が転校まがいの事をした理由を……。


“女の子苦手症候群”

これが理由。

そして、俺が命名した病気名。


〈女の子苦手症候群〉

女の子に触れられたりすると全身に鳥肌や汗が発生したりする程に女の子を苦手とする症状、もしくはアレルギーではないかと考えている。どうやら幼少の時に比べて悪化している……ってか下手したら気絶したりする。



という訳だ。

人見知り何てのとは格が違う。完璧に女の子……特に俺と同年代ぐらいの女子を拒絶する。





「でもまぁ、その体質を治すためにわざわざ転校までしたんだからさ、私にも慣れる様に頑張らないとね」


「そりゃま、そうだけど……」


不気味に笑いながら話す澪に冷や汗だらだらな慧。


「でも嬉しいな……私に汗かくって事は私を少しは可愛いって思ってるって事でしょ?」


何故か顔を朱に染めて呟く澪。


「え、いや……」






確かに可愛い……けど認めるのも何だか俺が負けた気になるしな~~。


「……よし、気のせいだ……うん」


「って勝手に自己簡潔しないでよ!!」



「はいはい、とりあえず晩御飯にしましょう」


澪に怒られかけていた俺は霞さんの一声に助けられた。


ナイスタイミングです。






その後、とても美味しい晩御飯をいただいたり、風呂に入ったりして、俺は自分の部屋で寝る体制に入っていた。


その間、澪の俺への追撃(言葉攻め)が凄まじかったのは言うまでもない。



コンコン


そうこう考えていると、部屋の扉がノックされるのを聞いた。


扉からヒョコっと頭だけ出した状態で澪がこちらを覗いくる。


「言い忘れてた事があったんだ……おかえり堂本 慧(どうもと けい)君」



‘おかえり’ その一言がなんだかとても嬉しく感じた。



「……ただいま澪」



その後、澪はニッコリ笑うと扉を閉めた。


なんだかとても心地よい、そんな気がする。



これからの苦労など知るよしもない俺はそのまま眠りについた。





これから起こる波乱万丈な生活を予期してなのか


慣れない環境だからだろうか




その日の夜はいやに静かな時となり流れていった








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