14話
気付いてみると…………
空には星
辺りは真っ暗
夕方の陰りなど一つも見えない
正真正銘の夜になっていた。
「ふぅ~~」
間の抜けた声。
私はさんさんと光輝く星空を仰ぐ。
いつ以来かな
人前でこんなに泣いたのは
彼の前で、彼の胸の中で思う存分泣いた。
今まで溜まっていた何か、それを全部吐き出せた気がする
「……ねぇねぇ」
今だに私を抱き抱えている彼に言葉をかける。
たくさん泣いた手前、やっぱり何だか恥ずかしい。
「……ありがとね」
何かを言わなければならないと思い、とりあえずお礼が始めに思い浮かんだ。
こんな一言じゃ伝えきれないけど、言っておかなければならない。
もっとも重要なこと。
至近距離だが、真っ暗な中だと何も見えない。
もちろんお互いの顔も。
相手の顔が見えないのは困るが、今の私の真っ赤な顔を見られないから逆にラッキーかな。
「あと、あとね……今度からあんたの事名前で呼んでも……いい?…………ね、慧?」
すっごく恥ずかしい。
たぶん顔はトマトの様に真っ赤なこと間違いない。
だけど、どうしても名前で呼びたい。一緒にいてくれると言ってくれた、内に秘めていた辛い思いを伝えられた人だから。
「それとね、それとね、もう手を離して欲しかったり……?」
何だかホッとする体制だけど……いつまでもこのままじゃね。
まぁ……やっぱり本音は今更だがそろそろ恥ずかしくなってきたからだけど。
「……?…………慧?」
おかしい……反応がない。
そもそもよく見えてなかったけど、けっこう前から反応がなかったり……
「ちょっとけ……
軽く揺すってみたら、こちら側に倒れてきた。
……え、ちょっと待って
「慧!!しっかりして!ねぇ!」
凄い汗、軽く震えて……気を失ってる。
何で、どうして……
その後、何度も何度も名前を呼んでも……
……私の声が君に届くことはなかった
もう終盤、ラストスパートです