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13話


何でだろう……苦しい。胸が締め付けられて息苦しい。



「…ッ…ス…ハッハァ…ハッハッ…ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…」










そっか…………過呼吸




……“過換気症候群”かな



注意してたのに、最近は全然なってなかったから……大丈夫だと思ってたのに



苦しい、苦しいよ


目眩がするし、軽く身体が痺れる






もう……嫌










―――暗い、真っ暗な闇。


苦しいし、辛い……悲しいよ




なんで私なの


なんで一人なの


皆、置いていかないで

一人にしないで



全然平気なんかじゃない

寂しいよ、本当は……


何で誰も分かってくれないの




誰も知らない、誰もいない


また私は一人、暗闇に堕ちていくんだ――――










私の目の前が、意識が、真っ暗になりかけた……時




「……桜実!!」



……………………



不意に現実に戻された


「…ハッ……ッ…ハァハァ…ハッ…ハッ…ハッ…」







抱き寄せられた



彼が私を抱き抱えてくれた



「大丈夫だ……大丈夫。ゆっくり大きく息を吸うんだ……大丈夫、大丈夫だから」



彼は私に発作を押さえようと、優しく私を包み込み一緒に呼吸をしてくれる。


大きく、大きく、ゆっくりと







その彼の優しさが今の私には大きく突き刺さる。


大丈夫、大丈夫だからと




自分に言い聞かせているのか、私に言っているのかは分からないが……





凄く凄く嬉しくて嬉しくて






私の視界が涙で歪んだ










あれからどれくらいの時間がたったのだろうか。



呼吸も収まり、辺りは……私の泣き声だけが支配していた




「あのさ……」


静寂を破ったのは私の声。



どうしてだろう、彼になら話していい気持ちになっていた



「中学の時とは違うって……高校に入ったら普通の生活が出来ると思ってた……友達つくって……遊んだりして」


呟く様にポツリポツリと


とても小さな声、ゆっくりとゆっくりと……



聞き取りにくかっただろうに、彼は何度もうなずいてくれた





「でも、でもね、拉致されそうになるし……あんたはボロボロになるし……」


また涙が出てきた


上手く言葉に出来ないけど……見上げて見た彼の心配そうな顔が



私の心を締め付けた




「ごめん、明日からはもう……しなくていい、私の責であんたにまで迷惑かけれない」



これ以上、迷惑はかけれない



彼の膝の上で抱き抱えられてて格好はつかないけど……


私は強い意思で言いきった。



ほんの少し、少しだけ寂しかったけどね……










でも……




「大丈夫!!」



彼は笑ってくれた


優しく、私に



「大丈夫、俺なら大丈夫だから、俺なら桜実を……怜を守ってやれる」


「……え?」






初めて…名前で呼ばれた






何でかな


どうしてだろう



誤魔化そうとしたって、何したって…………


涙が止まらない、止まらないよ









「絶対死なないし、絶対へこたれない、全然迷惑何かじゃない!!」



彼の言葉が思いが一言一言が




私には…………






「俺が友達になってやるし、どこへだって連れていってやる、一緒に行ってやる、お前の事を分かってやる……だから、だからさそんな寂しそうな顔するなよ」



「…………」




駄目だよ、止まらないよ


そんな事言われたら



もう、わたし…………










―――

――



柄にも無い行動、不釣り合いな事を言っているのは分かっていた。


でも……





全身が震え俺の胸に顔を埋め泣いている




そんないつも以上に小さく弱く儚く感じられる君を……





ほっとく訳にはいかなかった






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