主人か亡くなった日、主人の家族と決別しました。
私は結婚して二年目の主婦綾子、主人の修司と犬のゴンタと暮らしているの。
とても幸せよ、でもそんな幸せな日々はある日一本の電話で崩壊した。
主人が車の事故で即死したと連絡が入ったのだ。
私は頭の中が真っ白になってどうして良いか解らなかったけど、とにかく病院に行く仕度をして、急いで病院に向かった。
病院に着くと義理の父と母が待っていたの。
私が行くと看護婦が三人を霊安室に案内してくれた。
そこには白い布が顔に被せられ修司が横たわっていた。
現実を受け止められず呆然と立ち尽くしていたが、義理の母の息子の名前を呼ぶ声に現実に引き戻された。
私はヨロヨロしながら修司の傍に行き間近で生気を失った姿を見て、その場に泣き崩れた。
そして、暫くして三人は霊安室を出て病院の椅子に座ったの。そして落ち着いた頃に、
義理の母は私に言ったんだ「息子を実家に連れて帰るから、綾子さんもこのまま家に来て一晩修司の傍にいてあげて」と。私も勿論このまま行きたいが、家にはゴンタが居るのだ。
今は冬でとにかく寒いのに、真っ暗な部屋でご飯も食べれずに、部屋の隅で寒さに震えているゴンタを想像して私は返事が出来なかった。
そして私は「行きたいですが家にはゴンタが居るので、一度家に帰ります」と言うと、義理の母は「息子と犬とどっちが大切なの、あんたそれでも息子の嫁なの?」と真っ赤な顔をして怒り出したのだ。私は「一緒に行きたいですが、ゴンタも家族なんです」と言うと、私の頬に平手が飛んで来た。私は痛さより驚きで目を見開いた。
義理の母に叩かれたのだ。
すると、義理の父が止めに入ったが義理の母の怒りは収まらなかった。
「あんたなんか、あんたなんか、嫁でも何でもない、葬儀に顔を出さないで」と言いその場を後にした。義理の父は「後で連絡する」と言い残し義理の母の後を追った。
私は何とか病院を出て家に帰って来たが、精神的に参ってしまい何もする気になれなかった。
でも、玄関を開けるとゴンタが出迎えてくれて涙が止まらなくなった。
その後、義理の父から連絡が来て葬儀の日程を教えてくれたが、葬儀場の中に入る勇気がなく葬儀場の入り口で手を合わせて帰った。
その夜、ゴンタがお腹を出して甘えてる仕草をしていたのだ。
それは良く修司がゴンタを撫でてる時にゴンタが見せる仕草だったのだ。
もしかして、修司がお別れに来てるのだろうか。
そして、私は何もない空間に向かって話し掛けた。「修司さん、私間違ってた?修司さんのお母様を怒らせてしまいました。でもゴンタを寒い部屋に残して置けなかった。」
すると、ふわりと何かに体を包み込まれた暖かい感覚がしたのだ。
そして、「ゴンタを頼む」と何処からか声が聞こえた。