告白するしないするしないするしない……
毎朝家を出ると、真っ先にすること。
それは花弁の多い花を見つけることだ。
あった、あった!
今日こそ告白する、しない、する、しない……
花びらを1枚ずつ丁寧にちぎっていく。
次で最後だ。
告白、する。
奇数枚だったらしい。
それは困る……
だって今日は、なのか今日も、なのか……
いずれにしても心の準備ができていないから。
こういうときは、鈴木さん宅の犬が起きていたら告白する、寝ていたら告白しない、ということにしている。
鈴木ココちゃんは朝に弱い。だらんと眠っていることが多い。
……ええっと、ココちゃんは……
寝そべっているものの、目はうっすら開いていた。
どっちつかず。
たとえ目が覚めていても、閉じておいてくれればよかったのに。
そうしたら、告白しないことにできていた。
まったく、ココちゃんめ!
こうなったら……
ここから先、学校に到着するまでにある3つの横断歩道の信号の、全てが青なら告白する、どれか1つでも赤なら告白しない、にするしかない。
…………
ふう、今日も告白できないや。
でも仕方ないよね。1つ目と3つ目の信号が赤だったんだから……
⭐︎⢄⡱⭐︎⢄⡱⭐︎⢄⡱
大好きなあの人にこの気持ちを伝えたい、と思ったのは3ヶ月も前のこと。
けれど、どうしても勇気が出なかった。
告白するのに背中を押してくれる何かがほしかった。
それで始めたのが花占いだった。
それがどうしてだか、告白しない言い訳としてすっかり定着してしまっている。
このままじゃダメだとわかっている。
でもどうやって打開したらいいんだろう……
⭐︎⢄⡱⭐︎⢄⡱⭐︎⢄⡱
さあ、今日も花占いをしてみよう。
あっ、告白する、だ。
大丈夫。私にはまだココちゃんがいる。
今日のココちゃんは……
私を見つめてぶんぶんと尻尾を振っている!
朝からどうしてそんなに元気なの?
これじゃあ、告白しないといけなくなっちゃう……
落ち着け、落ち着け。
だって、信号が全部青だったことは一度たりともないじゃない。
……って、嘘でしょ!?
ミラクルが起きちゃった!!
ねえ、これって告白しないといけないってこと?
バクバクする心臓を抱えて正門に辿り着いた。
「おっ、はよっ!」
きゃー!
私に挨拶してくれたのは、毎朝告白するかどうかを占っていた相手、その人だった。
こ、これは……
今日こそ告白するしかない!?
朝イチでっていうのはどうなんだろう?
でも今この瞬間しか告白できない気がする……
「ねえ、」
END