陽との交友
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そんな太陽を見上げた後、次は初等部棟へ向かう。
入学式の会場は、全棟の中で最も大きい実践棟で行われたが、僕の設定した通りならば、次のクラス発表は少し離れたところに位置するそれぞれの教室がある初等部棟の壁に大きく貼り出される筈だ。
——にしても、新入生の数が僕の予想に反して多すぎる、ウキウキと執筆していた過去の自分を叱りたい…。いくら《《毎年夏と秋に》》行われる学年代表魔法大会と秋に行われる学院代表魔法大会を盛り上げるためとはいえ…二十クラス以上はあるだろう。
漫画では飛ばせた場面とはいえ…この世界に転生した以上、避けて通ることは不可能だ。
これは余談だけど、この世界の成人年齢は十五歳であり、彼女達の知能指数が高いのは、日本とは異なり、『神降ろしの儀式』の際に、神との対話をする必要があるため…言ってしまえば、『女堕ち』の都合上だ。
ため息を吐きながら、初等部の方へ歩くと、あからさまにクラス発表の思しき張り紙付近に人集りができていたので、少し距離を取る。
僕の子達がクラス発表に一喜一憂している表情を眺めながら、スペースが空くのを待っていると——
普段、元気な花山陽が溜息を吐きながら、僕の前を通り過ぎようとした。彼女のそんな姿を放っておかなくて思わず、声を掛けてしまう。
「えっと…花山さんだっけ…?すごいね。同じ新入生なのに、代表で挨拶するなんて…!!」
「本当!?ありがとう!!すごく不安だったんだよ!!上手に挨拶できるかどうか…!!本当に緊張しててさぁ!!やっと終わったんだ〜!!安堵のため息が止まらないよぉ〜」
彼女は本当に一安心とばかりに笑顔を僕に向ける。
——そ、そんなに重荷だったのかぁって心の中で謝りながら、僕も精一杯の笑顔をする。
「あ、そうだ。あたしの名前は知ってるかもしれないけど、改めて…花山陽って言います!!気軽に『よーちゃん』って呼んでくれると嬉しいな?後、君の名前も教えて欲しいんだけどいーい?」
さすが、月夜玲緒奈と正反対に位置する明るい系のヒロインだ。この圧倒的コミュニケーション能力は作者の僕なんて比じゃない。ちなみに、そんな彼女の実家はとある事業で成功した資産家でお嬢様である。
——故に、この世界では、どの様な背景があって代表で挨拶していたのかはわからないけど、きっと家系も一つの要因だろう。
「本当だよ!!あ、僕の名前は黄泉穂花っていうんだ!!よーちゃんって呼べばいいんだね!!できれば、よーちゃんも僕のことを『穂花』って呼んでくれると助かるよ」
彼女と仲良くなるだけならば、簡単なんだけど…攻略難易度だけならば、僕が設定した可愛いヒロイン達の中で上位に食い込むほど難しい。
そもそも、よーちゃんの家系が資産家だから、周りの目を気にしければならない。それだけではない。やはり、彼女の親も子供を作ることを推奨している。
——そう設定したのが僕とはいえ…やらかしてしまったぁぁ…
『主の考えてることなんて容易くわかるのじゃ。おおよそ、この娘の女堕ちは難しいとでも思ってるのではないのかじゃ?妾から言わせて貰えば、この娘程、簡単なものは無い。どれ…見本をみせてやるから少しだけ、主の身体借りるぞ?』
——ここで『現神』を使うのかぁ…。『現神』とは、文字通り、現世に神を契約者の身に宿すことを指すのだけど、一ヶ月に一度しかできない上に神の気まぐれのみにしか発動しない《《一部を除く》》高位の神と契約した者のみが可能な代物なんだよねぇ…。
理由は、低位の神の場合——契約者が多すぎて、少しでも、神が持ち場を離れてしまえば、信者の管理が不可能になってしまうためだ。
それに対して、高位の神は契約人数が制限されているからこそ、可能な特権のうちの一つだ。
少し考えた後、僕はアフロディーテに任せることにした。彼女は恋愛に関して、プロである。『現神』をしやすくするために、目を瞑った後、余分な力を抜き楽な姿勢になり、彼女が降臨しやすくする。
『本当に主は何者じゃ…と聞きたくなるのじゃ。現神の配慮まで熟知しているのは妾も予想外なのじゃ。だが、今は助かるのじゃ』
『現神』はロボットをモチーフにしている。要は自分と契約している高位の神に契約者である僕の肉体を操らせて、自分は、その様子を遠くから眺めるような感じだ。さぁ…自信満々なアフロディーテのお手並みの拝見と行こうか。