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晩餐と満開になった華達

ブクマ、いいね、レビュー、感想お待ちしております!!

 不服ながらも…お母さんの説教から逃れることができた僕は自室のベッドに身体を預ける。そして、ゆっくりと瞼を閉じ…今日の濃厚な出来事を思い出す。




 目を覚ますと、夕日が窓から顔をのぞかせていた。どうやら、思い出すうちに一眠りしてしまったみたいだ。




 ——偶然とはいえ…三人も堕としたのだ。無理もないかな…。




 自分で自分を慰めている時に、下階からお母さんの僕を呼ぶ声が聞こえたので…自分の部屋を出て…ゆったりした階段を降りて、リビングへと向かう。




 その途中で…キューって高い音が僕のお腹から鳴ってしまう。




 ——こ、これは生理現象…朝ご飯も入学式に間に合わせるため、食べてなかったから、し、仕方ないんだ!!

『主の母親に飲ませてと頼めば余裕で…』

 ——なんか理解したくない声が聞こえたなぁ…よーし、()()()()()の続きを話そうかぁ♪

『わ、悪かったのじゃ』

 ——まぁ、僕もアフロディーテも…契約して一日にもかかわらず、既に互いが悪ノリだと理解している。最早…僕にとって彼女は相棒みたいなものだ。





 そうこうしていると…僕が眠っていた間にどうやらお父さんが帰ってきたらしい。



 僕が階段から降りるよりも数段早くに、椅子へ座って、口元に涎を垂らしながら、待っていた。




 ——僕の尊敬すべき父親のはずなんだけど…なんか犬に餌をあげる時の『待て』をした時の表情みたいだ…。




 ◆◇◆◇




 食卓を彩る料理達は、新鮮そうなサラダ、甘い香が漂うコーンスープ、こんがり焼き上がったロールパン、程よい焦げ目に海老さんの下半身を出しているグラタン、最後にバジルの香だけで幸せになれるジェノベーゼだ。




 今日が入学式だったこともあり、その祝いとして、とても拘って作ってくれたのが、口に含まなくても視界に入れただけで分かる。



 彩られた洋食の料理達を前に、紙ナプキンを首へかけ、お母さんが食卓の椅子に座った後に、ナイフを左手にフォークを右手にありがたく頂戴する。



 サラダはシャキシャキッとした食感が、口の中で音色ハーモニーを奏でており、噛むごとに旨みが出てくる。



 コーンスープは見た目の薄い黄色からとても想像できない濃厚な味わい、ロールパンはふんわりと、それでいて外側はカリッと、グラタンは熱くて、舌を火傷しそうになったが…海老の部分は特に厚みがある。




 ジェノベーゼは最早語るまでもなく、パスタとバジルの配分が絶妙で、全部食べ切った頃にはお腹が幸福に包まれていた。




 その後、両親にレスタ魔法学院入学式の様子などを話した。特にお母さんに、「友達はできた?」「誰を毒牙にかけたの?」など、細かく尋ねられたが…なんとか言い訳をしつつ、この話題逸らしに成功した。




 ◆◇◆◇




 夕食後、両肩に天使を二人乗せている満面の笑顔なお母さんにお風呂へ誘われた。




 当然…断れるはずもなく…真っ赤な表情をしてる僕の様子など知らずに…隅々まで身体を洗ってもらった…。




 ——もうお嫁に行けない…!!

『チキンボーイじゃ』

 ——ほぉ…へぇ…ふーん…?

『なんで妾にだけ主は強いのじゃ!?』




 そんな彼女の情けない声に思わず、笑ってしまった僕は、それ以降、恥ずかしがることは無かった。




 ◆◇◆◇




 その後、なぜか…僕はお母さんの部屋で彼女の腕の中で一緒に寝る羽目となった。




『わ、妾は知らぬのじゃ』

 ——なんで、僕は何も言ってないのに…敏感に悟ることができるのだろう…?腐っても最高神…?

『な、なんじゃ…』

 ——でも…ここは下手に返事をするより、敢えて無視する方が効果的かもしれない?

『な、な、な、なんなのじゃぁ』




 狼狽えるアフロディーテに少しばかりの意趣返しをしていると——お母さんから解放されたのは、窓の隙間から太陽が朝を告げる頃だった。慌てて、自室へと戻って制服へと着替えて玄関を出る。




 眠たい目を右手で擦り、制服に着替えて…扉を開けた先に僕の視界へ飛び込んできたのは、二人の距離は置いてあるものの、以前のように罵り合う事なく、僕を待ってくれていたであろう、よーちゃんと玲緒奈だった。




 玲緒奈を改めて見ると…紫色パープルのボブカットに、淡い金色ゴールドの瞳をしており、彼女の容姿に制服が似合っている。




 よーちゃんは昨日と変わらず…黄緑色ライムグリーンの髪とガラス玉のような大きな瞳をパチパチと瞬きさせている。



 そんな彼女達の太陽よりも可憐な容姿を視界に入れて、僕が恋に堕ちてしまった




 ——そもそも…僕の家の場所、二人に教えていたっけ…? と思ったものの…それよりも、待ってくれた彼女達に感謝とそして…()()()()()()()()()




「お待たせ」

「「(あたし)達と学院へ行こう」」

「うん…!!それとね……?本当に今更かもしれないけど…玲緒奈とよーちゃんの事が大好きです!!こんな優柔不断な僕だけど、付き合ってくれますか?」

「…当然です」

「うんっ!!知ってる!!」

『主よ…間違いなく…この世界のどの花よりも()()目前の月と太陽が一番咲き誇っておるのじゃ』

 ——僕が、そんな事は知っているさ



 ——僕達はきっと出会う前からこうして…繋がる運命だったのかもしれない——


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