表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶のない僕らは  作者: 青山 立
第14章 国立第四脳科学研究所と国立農場
90/108

(018) Area 29 Treasure 薬品庫

--薬品庫-- #カイ


 薬品庫に入ると、出入り口のそばにはハシゴやダンボールが並べてあり、室内には数多くのキャビネットが整然と並んでいた。特に危険な部屋には見えない。


 北田さんは研究室から持ってきた黒い箱を、薬品庫の奥にある非常口に一番近いのキャビネットの棚に設置し始めた。


「この起爆装置のタイマーをオンにして、カウントダウンが開始されると、薬品庫内の薬品の一部が混合されてガスが発生し、起爆直前にはガスが薬品庫に充満する仕組みになっているんだ」


「でも、爆破は最終手段なんですよね?」


「ああ、不確定要素が多いから、できる限り実施したくない。爆発のシミュレーションは何度も実施したが、爆発の影響範囲は風向きや風の強さ、降雨の有無などの天候にもよる。爆発地点から約半径数キロメートル以内には建物の一部が飛来する可能性があり、煙の影響範囲は数十キロメートル先にも及ぶと思われる」


「そんな……」


「だから、最終手段なんだ。ここに起爆装置を設置はしたが、タイマーをオンにするまでは、薬品庫にガスも発生しないし、爆発もしない。

 MCUには装置の外部からはネットワークを介してアクセスできないようになっているというのは既に話したけど、薬品庫もMCUの真下にあるためにMCUへのセキュリティーが影響していて外部ネットワークから薬品庫に内にある機器や装置にはアクセスできない。

 だからあの起爆装置をのタイマーをスタートさせるには、またこの場所に戻ってきて、ローカル通信を用いて、僕の端末内の起爆装置のアプリで起爆装置を操作して、タイマーをスタートさせなければならない」


「起爆装置についているスイッチのようなボタンは何のためについているんですか?」


「緊急停止ボタンだ。念の為、私のスマホが動かなくなった場合に備えて、ついているんだ」


「タイマーは何分に設定されているんですか?」


「一五分だ。何分にでも設定し直せるけれど、プログラムの消去に失敗して急遽爆発を実施することなった場合に、カイと僕が施設から出て、西門から敷地外に出るためには十分ほどかかる。

 そして、部屋にガスが充満するために必要な時間がちょうど十五分なんだ。だから、十五分に設定してある」


「どうしてガスが充満してすぐに爆発するようにタイマーを設定してるんですか? もう少し余裕があった方がいいんじゃないでしょうか?」


「確かに場合によりけりで、タイマーを長く設定しても問題ない場合もある。ただし、僕たちの計画に関わっている人間に裏切り者がいた場合には、話が違ってくる。だから、現時点では最短の時間にタイマーを設定してあるんだ」


「わかりました」


「これからの流れだが、まず、MCU内部に侵入して、プログラムの消去を開始した時点で、MCUの保護プログラムが発動することになり、施設内の警備にまず連絡が行く。

 この時点では、町田さんのいる警備に連絡が行くだけだから特に計画に支障はない。MCUの異常の連絡を受けた町田さんは施設の異常の確認をしに行くふりをして、安全を確保できる場所に移動する。

 プログラムの消去を開始した時点で、一旦アラームが鳴るだが、私が解除の方法を知っているので、問題はない。だが、一度アラームを解除した後もセキュリティーシステムが異常を感知して何度もアラームを出し続けることになるので、通常であれば警察や消防、さらに国のさまざまな施設に連絡が行くことになる。

 今はあらゆる機関がダウンしているので、それらの機関が復旧するまで、彼らはここに来ることはない。それでも、もし、プログラムの消去完了前に、ダウンしている政府や警察が復旧した場合には、爆破計画に移行しなければならない。

 あと、起こりうるケースとしては、今回の作戦に関わっている内部の人間に裏切り者がいた場合だ。このケースに関しては、百パーセント気を許せる人間はいないと思って、私は行動している。つまり、どこかで誰かがこの施設に向かっていると情報が入った時点でプログラムの消去を完了できていなければ、爆破の計画に移行する必要があるということだ。

 いずれのケースでも、迅速に行動しなければならず、なやむ暇はないから、起爆装置のタイマーは最短の十五分にセットすることにしている」


 北田さんは、起爆装置のタイマーをスタートさせるための端末のアプリと起爆装置の接続状態を確認し終わると、キャビネットの扉を閉めた。


「これで下準備は完了した。カイくん、非常口から出て上の階に移動するよ」


 僕は柏原さんの後に続いた。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ