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記憶のない僕らは  作者: 青山 立
第11章 地下世界とサーシャ、リクとレイン
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(037) Area 23 Rain 夜と昼

 --夜と昼--#リク


「そろそろ寝ようか」

「うん。電気消すね」


 カイは立ち上がり部屋の電気を消すと、マットレスに横たわった。


「リク、レイン、おやすみ」

「おやすみ、カイ」


 私はソファーの上に寝転がってブランケットを被った。レインは私とソファーの背もたれ間に挟まるように入り込んできた。レインは優しくて、暖かい。レインがここにいてよかった。


「ねえリク、さっきどうして僕やサシャの目を見なかったの?」


 暗闇の中に、優しいカイの声が響く。


「見てほしかった?」


「それでリクが信じてくれるなら、見てくれてもよかった」


「そっか、ありがと。でもね、私、自分の運命をこの能力だけに頼って決めるのは嫌いなの。自分の直感を信じる方が後で後悔しないから」


「そっか。さっきは舵や柏原さんの記憶を読み取ってなんて、無理言って、ごめんね」


 カイはそれ以上は何も言わなかった。しばらくすると、カイは寝息を立て始めた。



 電気が消えて何時間経っただろう。

 なんだか寝れない。



 舵の記憶を読み取ってから、彼の記憶の一部が脳裏にこびりついて離れない。初めて舵に会った瞬間、彼が強烈に視線を合わせてきたせいで、私の意思とは関係なく、彼の記憶が流れ込んできた。私は強がっていたけど、できることなら目を閉じて、流れ込む記憶をシャットダウンしたかった。


 "生きているって事実以外は、置かれた環境も、生まれ持った能力も、何もかも不平等な世界だ。

 ただ、俺の妹のように、ただ毎日を素直に行きていた人間が、理不尽に苦しんですべてを失う必要はないはずなんだ。

 お前の親がどれだけ有能かしらないが、人の命に優劣をつける権利はないよな!"


 いつの記憶なんだろう。お前というのがカイなのがわかった。怒鳴る舵の前で今より若干幼いカイが立ち尽くしていた。これはおそらく三年前の記憶だ。今、舵の妹はどうなっているのだろう。


 私の記憶を読む能力は万能ではない。特に相手の感情の起伏が激しい時には、記憶の波に乗って相手のことを探るなんてことは到底できず、流れ込む相手の核となる記憶を受け取ることしかできない。その上、痛みを伴った記憶を読み込むと、私の感情もそれだけ揺さぶられる。だから、普段はできる限り、人とは視線を合わせずに過ごすほうが無難なのだ。


 舵の記憶はまるで、二人の人間の記憶を同時に読み込むような違和感があった。過去の舵の記憶はほんの少ししか読み取れなかったけれど、繊細で穏やかな少年だったようだ。それがどのようにして、突発的で衝動的な、その場の感情のみで物事を判断する人間に変わったのだろう。


 私は一晩中、舵の記憶の海の中で浮遊しているような感覚に囚われていた。


   ◇     ◇     ◇



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