ブロッコリーパラノイア
誰も知らないけど、僕はブロッコリーが嫌いだ。アレルギーじゃないけど、食べると吐きそうになる。こんなの食べるくらいならカエルでも食べたほうがマシだ。
そういうわけで、毎日母親が作る弁当に入っているブロッコリーは僕の手によって池ポチャしてしまうのだった。当然そのくそきみどりの野菜は鯉がおいしくいただくだろう。毎日毎日弁当にそれが入っているのは本当にうんざりしている。しかし、池に投げるのは快感だったので許してやることにした。
ある日、弁当箱を開けると全部がブロッコリーだった。僕は中身を全部池に落として購買でパンを買った。
帰ってから母親を問い詰めると、ブロッコリーしかなかったという。フザケンナじゃあ作るなよとか僕がブロッコリー嫌いだっていつもいつもそれとなく伝えてるのに何で気づかないんだとかいろいろ言いたいことはあったが、海より深い心で飲み込んでやった。
次の日も、弁当箱の中身は一色だった。僕は怒りのあまり我を失って弁当箱ごと池に投げ込んだ。ちょっと後悔もしたが、やっぱりせいせいした。
帰ってトイレに行くと、ウンコにブロッコリーが混じっていた。ありえなかった。ブリブリブロッコリーとかギャグを言ってる場合じゃない。わけがわからないあまり顔色がブロッコリーみたいになった。
母親に何か言ったことは覚えているが、その内容や、そのあとどうなったかは覚えていない。
次の日、弁当はブロッコリー。頭が狂いそうだった。昨日と同じように弁当を捨てて、購買で買ったパンにはブロッコリーが入ってた。捨てた。購買に戻ったらもう何もなかった。
気分が悪くなって吐いたらブロッコリーが出てきた。嘘だろ。
帰り道でブロッコリーみたいな木があった。腹いせに蹴りつけると足が痛くなって動けなくなった。
スラックスをめくってみると足が黄緑色だった。僕はそのまま倒れていた。