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プロローグ
鵺這珊瑚です。今回は大学のサークルで書いた詩を投稿します。
すべての詩はある程度テーマが共通しています。
また、私の他の作品(神に捧ぐべき道標~など)を読んでいると、気付くことがあるかもしれないです。
お楽しみください。
七十二日目
天候 曇り
目の前の吊り橋は、かなり老朽化していた。
山の強風に煽られると、足場の板がガタガタとかち合う。
骨格となる金属は赤錆びて朽ち、たびたび軋む音が聞こえる。
また、橋を繋ぎとめる綱は、ところどころ経年化で切れている。
それら綱は、かろうじて吊り橋からぶら下がっている。
私にはその綱の姿が、亡者の手に思えた。風によって、私に手を振っているように見えた。
さようなら、さようなら。
趣味の悪い考えはやめたい。しかし、眼下の激流、そして『危険』と表記された看板は、私に葛藤を与えていた。
しかし、それでも渡らねばならないのだ。
渡らなければ、進まなければ、ここからは逃れられない。
私は、夢の中にいるのだから。