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目覚めた先は

続きです。

現実は小説より奇なりって言うけど、まさか自分の身にそんなことが起こるだなんてみじんも予想してなかった。


「なんじゃこりゃ・・・」


私の目の前には木、木、木。

一面の緑が広がっていた。


「ちょっとタイムで」


そういうと私は地面にうずくまる。


「いや待て待て待て、さっきのあの出来事自体が夢?いやいやいやそっちのがありえないでしょ、あんなに痛かったんだよ、夢とかだったら私の想像力半端ないわあ。そもそも夢だったとしても森にいるのがおかしいじゃない。むしろこっちが夢? 実は助かっちゃってる?」


そこまで言って大きく深呼吸して近くの木に歩み寄ると両手で木をがしっとつかむ


「うりゃ!」


その木に思いきり頭突きをかました。


「いたああ!痛いわこれ。夢じゃない!いやでも私の想像力で作られた痛みの線がまだ捨てきれないぞおお。」


これは判断に困るところである、確かに痛いが私が本来想定していた痛みほどではない、頭突きってされるときはめっちゃ痛いけど、もしかしてするほうはそんなでもない? いやでも


「うーん」


困っちゃったぞお。

もしかしたら小説の読みすぎなのかもしれない。それでいたみさえ再現できるようになってしまったとかそんな感じ。


「私の妄想力をもってすればこれくらい朝飯前さ・・・」


っふ、っと笑ってみるけども、そんなことをしている自分を想像して恥ずかしくなった。

何だ妄想力って、聞いてるだけで地雷臭がやばい単語だ。でも実際そういわれたほうが納得できるのも事実。


「まあこんなところで考えててもらちはあかない。とりあえず散策からかな。」


とりあえずは今の自分の状況を把握することからだ。これが王道主人公異世界ものだったらまずは散策である。

そう言って私は森の中を歩き始めた。


~数時間後~


数時間の散策の末わかったことを報告しようと思う。


まず一つ。

この森めっちゃ広い。ぶっちゃけ出られる気がみじんもしない。日本では遭難したら高いところを目指せって言うから、できるだけ高いところを目指したんだけど、その高いところからの景色が問題だった。


「絶景かな絶景かな。」


私が見つけたのは高い絶壁から滝が流れる場所、水が流れてきてることからまだ上があるのはわかるのだが、そんなことはまだあとでいい。今私の目の前にあるのは山、山、そして山である。


「どこまで続いてんのよ・・・」


さすがにこんな景色を見ちゃ自力でここを出るという決意は揺らいでいく。そもそもそんな決意してないけど。

つまり、ここが現実だったとして自力での脱出は絶望的だということだ。


そして二つ。

どうやら私人間じゃないらしい。いや中二病とかではなくリアルに人間じゃない。これに気が付いたのは偶然なのだが、散策中に湖を見つけてその水が飲めるかどうか確認しようと顔を近づけたときのことである。


「川の水は飲んだことあるけど湖ってどうな・・・の?」


水面には見慣れた自分の顔があったのだが、一つ不自然なところがあった。


「え? これ私の耳?」


耳が、異様に長かったのだ。それも「耳ちょっと大きくなった?」ぐらいの誤差程度の話ではない。もう一目で「耳なが!」くらいの違いである。触ってみるとちゃんと感触もあって自分の耳だってことは自覚できるし。そういえばここに来てから周りの音がやけにクリアに聞こえることも何となく感じていた。それから導き出された私の答えは・・・


「エルフ?」


異世界ものの王道ともいえる種族、その容姿は作品によって異なるが、ほとんどの場合耳が長くて長寿、そして美男美女である!!


「そんな!」


間違いない、私はどうやらエルフらしい。認めたくはないがエルフ三拍子がそろっている以上間違いない。間違いない。大事なことなので。・・・いや美女ってとこは冗談だけどさ。せっかくなら美少女にしてほしかったよ・・・



そして三つ目に、どうやらこの世界は夢ではないらしいということだ。いくら夢でも長すぎる。たぶんかれこれ4,5時間ほど歩いているが目覚める気配がないし、ほんの少しだが疲労感もある。たとえ夢だったとしても、たぶんそれはもう目覚めない夢である可能性が高い・・・。

ならもう割り切ってこの世界で生きていったほうが幸せというものではないだろうか?

そう思うとなんだか急にどきどきしてきた。


「エルフがいるってことは、これ異世界ってことだよね?そうだよね?」


異世界転生。

前の世界(新しい世界に来たのならこれで正しいだろう)では小説の世界の話だったことが、今自分の身に降りかかってきている。

私は物語の主人公になったのだ。これがワクワクせずにいられるだろうか。いや無理だ。こんなの楽しすぎる!


ぐーー


「あ」


これから冒険だというときに、私は現実を突き付けられることになった。

5時間も歩いていたんだ。おなかがすくのは当然である。しかもこの森なぜだか知らないが動物が見当たらない。見当たらないだけでちゃんといるのはわかるのだが、姿を見る前に逃げられてしまうのだ。これでは高性能な耳が全くの無駄である。


「さすがにいきなり動物を捕まえるのは無理そうだなあ。」


しかもここは異世界、捕まえられたとして食べられるかどうかはまだわからない。


「こんな時主人公とかだったらチート能力とかで乗り切るんだろうけど、私にそんなもの・・・」


そこまで考えて、いや待てよと思う。エルフになってるくらいだ、何か特別な力とかあったりするかもしれない。例えばステータス画面が出たりとか


「ステータスオープン!・・・なんちゃってえええ!」



ステータス


名前 島崎 みちる

表示名 なし

種族 【エルフ】

職業 【旅人】

レベル 1

称号 装備中【エルフ】

「迷子」「真の中二病」「主人公」


HP 95/100

MP 30/30

満腹度 20/100

物攻 25

魔攻 30

物防 20

魔防 30

速さ 40


残りステータスポイント 5232


潜在スキル【痛み耐性】【森に愛されし者】

スキル なし

残りスキルポイント 1744



「本当に出ちゃったよ・・・」


もしかしたくらいの気持ちでやったのに本当に出てしまうとは、さすが異世界不思議でいっぱいである。

ていうかなんでHP減ってんの? 5ってどんだけしょぼい攻撃受けたんだ。ってまさか。


私はもう一度ステータスをよく見る。


「私の物理攻撃力が25で物理守備力が20だから....」


私の攻撃か。あの木への頭突き攻撃カウントされてたんだ。

なるほど、そう考えると私のステータスはかなり低いのかもしれない。この世界の基準はわからないが、守備力なしで頭突き4回で死ぬのはかなりやばいのではなかろうか。これで攻撃力125以上の敵が現れたら私は一発で昇天という訳だ。


「早めに気づいてよかった。」


気づかなければ運悪く敵に出会って人生終了していたかもしれない。そう思うとぞっとしない話である。

とまあ私のステータスに関しての感想はこんなものだが、さっきから試したくて仕方ないことがある。それは


「主人公・・・」


そう! この称号欄にある主人公。エルフが今装備されていることから、私はこの主人公という称号を装備できるということだ! そんなことに気づいてしまったら装備せずにはいられない!


「どうすればいんだろう? 念じるとか?」


と思い。変われええっと念じてみるがなにも起こらない。おそらくやり方が違うのだだろうと今度は目の前にあるステータス画面に手をのばすと



今度は反応があった。なるほど、直接触る感じなんですね。


「えっと、ダブルクリックでいけるかな?」


これがゲームだったらダブルクリックでたいがいどうにかなるのだ、そうして主人公の文字を素早く二回たたくと装備中が主人公に代わりそれに伴いほかのステータスにも変化が起こった。


ステータス


名前 島崎 みちる

表示名 なし

種族 【エルフ】

職業 【旅人】

レベル 1

称号 装備中【主人公】

「迷子」「真の中二病」「エルフ」


HP 95/100

MP 30/30

満腹度 20/100

物攻 25

魔攻 30

物防 20

魔防 30

速さ 40


残りステータスポイント 5232


潜在スキル【痛み耐性】【ド根性Max】【女難の相Max】

スキル なし

残りスキルポイント 1744



「微妙・・・」


主人公って言うくらいだからもっとすごい変化があると思ったがそんなことはなかった。しかも、ど根性は何となくわかるが女難の相ってどういうことよ。こちとらうら若き少女だぞ、なんで女の問題を抱え込まにゃならんのよ。

とりあえずスキルの詳細がわからないので同じようにスキルをダブルクリックしてみる。

すると予想通りスキルの詳細が出た。


痛み耐性・・・攻撃を受けたときのノックバック率が低下する。

ど根性・・・HPが0になる攻撃を受けたときに一度だけ確実にHPを1だけ残す。そのあと5秒間だけ無敵状態になる。スキルLv制限10/10

女難の相・・・女性、またはメスからターゲットにされやすくなる。おかまモンスターにも有効。テイム率が上昇。スキルLv制限30/30


なるほど、大体予想通りだがこれはひどい。特に女難の相。ゲームだったら確実に困るスキルである。ボスがメスの時に限り役に立つかもだがぶっちゃけいらない。もっと言うならおかまも含まれるとかどうでもいい。

あと気になるのはこのど根性だが、これだけは、なかなかいいのではないだろうか? おそらく同じ敵に対しては、一回だけとか制限はあるだろうが、ピンチから返り咲く主人公らしい良スキルだと思う。ただそのためにはHPを一回すべて失わなければいけないから、ぶっちゃけ出番があったときは自動的に私は絶体絶命なのだけど・・・。


「どのみち試す勇気はないなあ」


この称号についてはとりあえず置いておいてつぎは迷子だ。


ステータス


名前 島崎 みちる

表示名 なし

種族 【エルフ】

職業 【旅人】

レベル 1

称号 装備中【迷子】

「主人公」「真の中二病」「エルフ」


HP 95/100

MP 30/30

満腹度 20/100

物攻 25

魔攻 30

物防 20

魔防 30

速さ 40


残りステータスポイント 5232


潜在スキル【痛み耐性】【ワープ】

スキル なし

残りスキルポイント 1744



なんだか嫌な予感がするスキルだ。そのままだったらなんだか便利そうに見えるのに迷子って称号が付くだけでここまで不安になるものなんだ・・・。


ワープ・・・世界のどこかにワープする。自動発動


「・・・」


だと思いましたよ。迷子の癖に決まった場所に行けるとかそんな都合のいいことはなかったわ。高確率で空中、運が悪ければ地中かなあ。


「そんなスキル使えるか!」


しかも自動発動? え? つけてるだけでアウト?!


「げ!」


私は急いでほかの称号に切り替える。それは私が何となく避けていた称号


『真の中二病』


名前からして地雷である。いったい何が起きるって言うんだ・・・。


ステータス


名前 島崎 みちる

表示名 なし

種族 【エルフ】

職業 【旅人】

レベル 1

称号 装備中【真の中二病】

「主人公」「迷子」「エルフ」


HP 95/100

MP 30/30

満腹度 20/100

物攻 25

魔攻 30

物防 20

魔防 30

速さ 40


残りステータスポイント 5232


潜在スキル【痛み耐性】【精神ダメージMax】

スキル 【魔法創造】【称号作成】

残りスキルポイント 1744


私は少し暗くなってきている空を仰ぐ。どこの世界も空は一緒なんだなあ。はっはっは


それからもう一度ステータスを見た。


「え?」


ちょっとやばそうな単語が見える。たぶん、いやおそらく結構やばいのではなかろうか?

ひとまず確認だ


精神ダメージ・・・周りから中二病認定される比率が飛躍的に上がる、作成した称号を自分で装備する場合この効果は必ず付属する。スキルLv20/20

魔法創造・・・自分の妄想した魔法をこの世界に作り出すことができる。

称号作成・・・オリジナルの称号を作成、授与、使用することができる。使用にはHPを消費する。消費量は能力値で左右される)


おう・・・最初のはともかくとして思った以上にチートくさいスキルである。

魔法創造に関してはそのまんまだし、称号作成に関してはこれから検証するけど私が思っているとおりだとしたら、とんだぶっ壊れスキルだ。


「こっちのほうが主人公っぽいスキルなんですけどね・・・」


さっきの主人公のステータスを見てしまうとそう思うのも仕方ないのではないだろうか。むしろ神様の特典とやらがあったとしたら絶対こっちだ、名前には悪意しか感じないけど。とりあえずはこの称号を装備しておくことにする。まあ今のところ人には出会ってないし、周りに中二病だって思われても特に困らないだろう。

そうしてとりあえず称号は真の中二病に決定した。非常に不本意だが仕方ないと割り切った。


「お次はっと。」


さっきから気になっていることがもう一つある。


「ステータスポイントとかスキルポイントって、つまりはそういうことだよね?」


試しにステータスポイントの数字をタッチすると


ステータス割り振り


HP ◆ 最大値100(上昇値10)

MP ◆ 最大値30(上昇値10)

物攻 ◆ 25(上昇値5)

魔攻 ◆ 30(上昇値5)

物防 ◆ 20(上昇値2)

魔防 ◆ 30(上昇値3)

速さ ◆ 40(上昇値1)


残りステータスポイント 5232


【確定】



こんな画面に切り替わった。


「これ本当にゲームじゃん・・・」


試しに黒い◆マークを押してみる



HP ◆ 最大値100(上昇値10)

MP ◆ 最大値30(上昇値10)

物攻 ◆ ◇ 25⇒30(上昇値5)

魔攻 ◆ 30(上昇値5)

物防 ◆ 20(上昇値2)

魔防 ◆ 30(上昇値3)

速さ ◆ 40(上昇値1)


残りステータスポイント 5231


【確定】


「なるほど、大体わかった。」


予想があっているか確認するために白い◇マークを押してみると、数値はさっきと同じに戻る。つまりは確定を押して初めてステータスが反映するわけだ。思ったよりも単純なシステムで助かった。しかもなぜかはわからないがステータスポイントがかなり余ってるし、思ったよりも私の異世界生活はイージーモードだ。とりあえずステータスに関してはもう少し調べてから上げるとして、先にもう一つのスキルポイントのほうの確認をしよう。

私は右上の戻るボタンを押して、スキルポイントの数字をタッチする。


残りスキルポイント 1744 【確定】


スキル検索【        】

順番【おまかせ】


「おおう・・・」


こういう感じですか・・・

試しに魔法で検索をかけると画面いっぱいに一覧が出てきた。試しに【メガフレア】という魔法をタッチしてみる。


【メガフレア】

消費MP 50 初期威力補正 15

中距離に炎を打ち出す魔法。中確率でやけど状態にする。レベル制限なし


修得するには【フレア】をレベル10以上にする必要があります


私はさらにフレアの文字をタッチする


【フレア】

消費MP 30 威力補正 5

前方に炎を噴き出す魔法。低確率でやけど状態にする。レベル制限なし


【修得】



スキルの数からして、こちらもいろいろ考えながら進める必要があるみたいだ。


私はステータス画面を閉じると周りを見渡す。

私がステータスに夢中になってる間にすっかり暗くなっている。おまけに空腹は最高潮なうえ、割と寒い。手始めに衣食住の確保をする必要があるようだ。そのために必要なスキルをとるためにもう一度スキル画面を開く私なのであった。

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