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好きを言えない  作者: 妃月 朱音
最高の友達
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「なー。なゆ髪伸ばしてんの?」

「そう!冬は寒いしさ!」


…なぁんて、髪を伸ばしたら少しは女の子らしくなれるかなという安直な考えなんだけど。


「ふぅん……

なんかなゆは、ショートで元気印ってイメージ。」

「え。伸ばしたら変!?」

「いや変じゃない。変じゃ…ねぇけど!」

「?」

(言い捨てて行っちゃったし…変なの。)


「なーゆっ一緒に帰ろー!」

「おー!」

(ハッ!タカに見られてなくても女の子らしく!!)

「美月ちょっと待っててー今行くー」

「なになゆ…そんな喋り方気持ち悪い」

「…あんたホントにあたしの友達かい?」



 藤堂 美月は、3,4年の頃も同じクラスで仲良くしてた友達。

サバサバした私の性格も、兄の影響で趣味が男勝りなことも知ってるから、いつも男子に囲まれてる私を見慣れていたと思う。

タカとのことでコソコソ言う女子達を前にしても、私と普通に話をしてくれる凄くいい子だ。


(タカが好きって美月に言ったらどんな反応するかな…)


いやいやいや!あたしが人を好きになるとかありえない!

え?でも好きじゃん!あれ? ……なんか無理っ!


「私可愛くとかなれない気がする…」

「なゆ可愛くなりたいの?てか今も充分可愛いじゃんなゆは!」

「可愛い…?私?」

「うん。なゆは可愛いよ!それ以上可愛くなられたら困るし」

「えーなんでー!?美月の方が女の子じゃんかぁっ!」

「なんでもーー」




 結局、11年間兄ちゃんと共にヤンチャに生きてきた私が突如性格や話し方を可愛くなんて出来るはずもなく。

でも伸ばし始めた髪は6年に上がる頃には肩まで伸びて、見た目だけは女の子らしくなってきていた。

2学年ごとのクラス替えだからメンバーは変わらず、小学校最後の年が始まろうとしている。


「なゆ!また今年もよろしくなー」

「あ、タカ!よろしくなーなんつって。」

「お前ホント髪伸びたよな。」

「似合うー?でもさ、ずっとショートで生きてきたから結んだりとか出来なくてさっ!」

「もう冬終わったけど…?」

「え?」

「もう寒くないじゃん。他の奴が気付くじゃん。」

「へ?何に?」

「別に。」



春の風が、咲き誇る桜と私の髪を揺らした。

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