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好きを言えない  作者: 妃月 朱音
最高の友達
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­ 出逢いは小学校。

5年生のクラス替え、出席番号順で座った席で隣になったのが一条 貴也─タカだった。

 私たちは嘘みたいに気が合った。

兄と一緒にやってるゲームも、好きなスポーツも一緒で、仲良くなるのに時間なんてかからなかった。

こんなに気が合う男子は初めてで、凄く大切だった。変な意味じゃなく。

きっとタカにとってもそうだったと思う。自惚れかな?

でも、何でも話せて、馬鹿みたいに一緒に笑って、男だとか女だとかそんなの関係なく性別なんて超えてただずっと一緒にいたかった。



 タカは凄くモテた。

サッカーが上手いから?足が早いから?顔がちょっといいから?理由は私には解らなかったけれど、どつかれたり憎まれ口を言われたり、どう見たって男子と変わらない扱いを受けてるだけの私なのに女子からは妬まれた。

 「天野さんはズルイ」

 「ゲームとかサッカーとか好きなフリしちゃって」

そんな声を何度も耳にした。

 私の何が狡いのか。

小さい頃からずっと兄ちゃんとゲームして育ってきたし、サッカーだって野球だって、ホントに好きなんだよ。

一条と話したければ話せばいいんだ。アイツは誰とだって普通に話す奴なのに。

くだらない嫉妬からの悪口なんて気にしなかった。

仲の良い女友達もちゃんといたし、そんな悪口言う人達となんてこの先友達になりたいとも思わない。一条と遊んでる方がずっと楽しいし。



「なぁ天野ー!明日俊の誕生日でさ、なんか俺らでプレゼント…そういや天野って誕生日いつ?」

「7月7日ー。プレゼント何買う?」

「七夕じゃんか!でも今年は過ぎたのかー。来年楽しみにしてろよ!」

「はいはい期待しないでおくわー。で、プレゼントは?」

「あそこの駄菓子屋で何か適当に買おうぜ!放課後な!」



「仲山、うまい棒詰め合わせ喜ぶかな?」

「俊ならなんでも喜ぶはず!

 てか俺さ、天野の名前で気付いちゃったんだよね」


その時のタカは凄い嬉しそうだったのを覚えてる。

まさにしたり顔。今思い出しても笑える。


「七夕生まれだから なゆ なんだろ?」

「そうだよー天野なゆ。天の川と七夕みたいで可愛いだろー!」

「……」

「何。似合ってないのなんて分かってるわ!でも名前見ただけじゃ気付かれないさり気ない可愛さで好きなんだー親に感謝!」

「似合ってるよ。」

「あははっ!フォローありがと!一条。」


 その日から、タカは私を  なゆ  って呼ぶようになった。

呼ばれる度に似合ってると言ったタカの顔が思い浮かんでなんだかくすぐったかったのを覚えてる。

だけど、女子の反感を更にかってしまったらしかった。


「なゆ!この前出たあれもうやった!?」

「あー、兄ちゃんがこないだ買ってきてた!今度やらせてもらうー」

「じゃあやったらどんなだったか教えてくれ!」

「また兄ちゃんから借りる気でしょ!ったくー」


「『なゆ』だって…男子と騒ぐような子がなゆちゃんって、似合わなーい」


(え……)


タカと仲良いことで悪口を言われるのはどうでも良かった。

でも、名前だけは……


「それは関係ないじゃ…っ」

「似合ってんだろ!

­­ こいつの親がこいつのこと思って、願ってつけたんだ。願ったとおりになってると、俺は思う。­­

 いこーぜ、なゆ。」


泣きそうだった。

名前を馬鹿にされたことにじゃなくて、一条が言ってくれた言葉に。


「ありがとう ……タカ。」



もう少し可愛くなろうと決めた、小5の秋。

きっとそれは、

タカに恋をしたからだ──

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