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主食はビーフウエリントン

天皇制に替わる国家元首制の考察

 みなさんは天皇制についてどうお考えでしょうか。

 戦前は天皇を少しでも批判すると憲兵に逮捕され、思想犯としてよく処刑されたものです。

 戦後はどうでしょう。

 地方自治体の長が、第二次大戦における天皇の戦争責任について言及すると、右翼団体が射殺する。こういう事件が戦後、多数起きています。

 いずれも右翼団体が自主的にやったことで、政府や皇室の命令によるものではない、というのが大手メディアの公式見解です。

 しかし公式見解を信じる人には日頃から本格ミステリーをたしなむことをお薦めします。

 ミステリーで殺人事件が起きると、その事件によって得する人が犯人、というのが推理の定石です。

 ということはつまり......おわかりですね。

 日本は表向きは民主主義国家ということになっています。また言論の自由も現行の憲法が保障していることになっています。

 でも実際のところ、為政者などの支配者階層が一般国民をメディアを通じでいいように情報操作しては、国民からごっそり富を搾取している点で、この国は戦前も戦後もあまり変わっていない......。私はそう確信しています。


 ところで、このエッセーの主旨は天皇制の是非自体を論じることではなく、仮に天皇制を廃止した場合、その後具体的にどのような政治体制を構築すべきかを考察することです。

 ネットを探せば天皇制を批判したブログなどいくらでも見つかります。しかしながら、批判論はいくらあっても、それに替わる具体的な共和制のあり方について言及したものは、私が知る限り皆無です。

 これでは結局ガス抜きで終わってしまう。そういう思いから、このエッセーを執筆しました。

 

************


 さて、国王や天皇など世襲の国家元首を戴かない共和制の場合、大統領が国家元首になります。というか、これは言葉の問題ですが共和制の国家元首を大統領と呼びます。一方、首相は行政の要職ですが、一般に国家元首ではありません。

 現行憲法上、天皇は”元首”でなく”象徴”だ、というツッコミが入りそうですが、ここでは元首は英語の”sovereign”の訳語と定義しておきましょう。いずれにせよ、ここでは現行憲法は無視して、何でもアリを前提に議論を進めます。

 日本を共和制にする場合、国家元首の名称は大統領になります。現行の総理大臣をそのまま大統領にシフトするという方法もありますが、私は総理大臣の他に大統領を置く方式、しかも米国型大統領でなく、ドイツ型大統領を置く方式を提案します。

 

1.大統領は米国型よりドイツ型を提言

 ドイツ型大統領というのは、簡単に言えば名誉職です。

 ドイツとフランスはともに大統領と首相がいます。ところがサミットに出席するのはドイツは首相、フランスは大統領です。ドイツでは実質的な行政の長は首相で、大統領は名誉職だからです。

 またドイツと似た政治体制なのがカナダとオーストラリアです。

 カナダとオーストラリアはともに英連邦で国家元首は英国女王、行政の長は議院内閣制で選出された首相です。そしてステータス的に女王の下、首相の上に総督がいます。総督は現地駐在国家元首代理といった役職で、実質的に名誉職の大統領のようなものです。

 ドイツの大統領が国民の選挙で選出されるのに対し、総督は首相が選びます。総督は名誉職で、政治的権限はあまりありません。(オーストラリアでは憲法上、総督が首相を罷免できる?)

 ドイツの大統領の場合、議会による法案を署名拒否できます。これは日本では最高裁判所が国会で決議された法律の違憲審査権があるのと似ています。

 いずれにせよ、ドイツの大統領、カナダ、オーストラリアの総督は基本的に名誉職であり、日本の象徴天皇に近い役職と言えます。

 世襲による天皇制は廃止し、国民の選挙または首相の指名で選ばれた大統領が、現行憲法上の天皇の国事行為を行うのはどうでしょう。


2.権力の分散が大事

 政治の変革は迅速に推進できた方がよい。政治を何も変えられない今の日本の体制はよくない。マスコミからよくこんなメッセージが流れてきます。

 しかし、ここで為政者性悪説を仮定してみてください。

 政治家や官僚が国民の生活をより悪化させる方向に日本を変えようとしている......。政治家や官僚は聖人君主なんかではなく、自分の利益しか考えていない売国奴で、国民はただ彼らに支配され、搾取され続けているだけ......。

 このような場合、政治家が現状の社会を変えやすいシステムより、変えにくいシステムの方が功を奏します。

 米国大統領のような権力集中型より、議院内閣制の首相が行政の長である方が、権力が分散しているため、為政者側の暴走はより弱くなると考えられます。

 また行政の長である首相の上に名誉職ながら大統領がいるとなると、首相の暴走を少なからず食い止められるのではないでしょうか。


 大統領に議会による法案を署名拒否できる権限を与えたらどうでしょう。憲法九条改悪を国会が承認し、国民投票を実施する前に、大統領が国会の決議を拒否できます。

 何かを変えるのではなく、悪い方向へ改悪できないための政治システム。大統領と首相の二つのポストを設置する最大のメリットは、両者を牽制させて為政者側の暴走を抑えることなのです。


                                            (完)


 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点]  とても良い落とし所だと思います。  民主主義を守り、天皇家に普通の人権を回復させ、かつ日本人の歴史と気質に合った制度となると名誉職型大統領制が最も適していると、私も思います。   [気に…
[良い点] 天皇制廃止論者には珍しく形式的大統領という存在を知ってたとこですね。これすら知らない人が天皇制反対とかいってる現状ですね。危なくて仕方がありません。 [気になる点] 天皇制をなくしても天皇…
[気になる点] 渾身のギャグかなにかですか? [一言] まず始めに言いたいのはオーストラリアの総督のの権威は英国君主の権威に裏付けされた物であって、独自で持つ権威ではありません。それをドイツの大統領と…
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