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07

 翌日。

スマホの電源を入れると、エーイチからメールがきていた。

昨夜に電話が繋がらなかったことにご立腹のようだ。

事情をかいつまんで説明した返信をすると、エーイチは今すぐミチホの家に来るという。


エーイチが到着すると、やはりミチホに対して怒っていた。


「ミチさん!知らない電話番号は取っちゃダメでしょ。」


「ごめん、これからはそーするつもり。」


 またエーイチに怒られてしまった。わざわざ説教しにくるとは。ちくしょうエーイチめ。

ミチホが心の中でぐぬぬと唸っていると、エーイチに優しく抱きしめられた。


「心配したんだから。」


 エーイチめこんちくしょう。憂いやつじゃないか。

ミチホはあっという間に機嫌が良くなってしまった。


「心配かけてごめんね。」


あまりのかわいさに、エーイチで遊びたくなってしまう。

ミチホはすでに、怒られた内容はどこかへ行ってしまったようだ。


「ね、ちょっとだけ、ほっぺた膨らませてみて。」


 エーイチはちょっとだけ頬を膨らませた。かわいすぎてミチホは身悶えした。

頬を指でぷにぷにしていると、耐えてもつい笑顔になってしまう。


「ミチさん、ホントーにわかってる?」


「わかってるよー。ごめん。」


 ちょっと怒った顔のエーイチを慰めるべく、抱き合ったまま頬や耳もと、おでこに口付けする。

少し気分を変えてあげなければいけない。平たく言うと誤魔化しである。


「まぁ、ちゃんと断ったし許しておくれよ。こっちも大変だったんだよ。」


「……怒ってないよ。心配しただけ。」


 ミチホはニヘッと笑って、エーイチを見据えた。


「心配してくれて、ありがと。」


 心の中で、好きだよ。と付け足した。言葉にするのはまだ早いような気がした。

せっかくならもっと、効果的な場面で言うべきだ。

切り札を無駄遣いしても何も面白くはない。

ミチホはエーイチをおちょくって遊んでいたいし、いつも心のどこかが冷静だった。


「そんなの、当たり前だろ。」


 エーイチはちょっと照れながら笑った。

かわいいよエーイチ、かわいいよ。嫁にしたい。

本人に言ったら嫌がるだろう。あえて言わないが、言いたい気もする。


「エーイチっていい匂いするよねー。」


「ミチさんだって、すごくいい匂いする。なんの匂いかな。」


「そうかな?シャンプーとか?たぶん。」


 ミチホは香りの強いものは好まないので、あまり匂いはしてないはずと思っていた。

自分の体臭には気付かないものである。

男性に比べ、女性は体臭が薄く良く感じることが多い。食べたものにも左右されるが。


 ちなみに、風呂にしっかり浸からないと体臭はキツくなる。

きっちりと出汁を取るかのように浸かるべきだ。

シャワー生活をしている人間を風呂に入れると、本人にはわからないだろうが風呂湯から体臭が立ち昇る。

何日も連続で湯に沈めないと、風呂湯に体臭がうつる現象が無くならない。

どれだけの匂い成分が蓄積されているというのか。風呂を侮ってシャワーだけで済ませるのは危険だ。



 ミチホはエーイチにくっついていたら寝てしまっていた。

昨夜の事件により、アドレナリンが出まくったようで興奮状態になり、あまり寝られなかったのだ。


 目が覚めると、エーイチはミチホの傍らで勉強していた。

真面目に勉強している横顔はカッコイイね!と心のなかで頷いた。

ミチホは起きたのがバレないように、エーイチの邪魔にならないように、こっそりと眺める。


 エーイチはミチホが起きていることに気付かない。

くっついて寝ているから邪魔だと思われるのだが、エーイチはミチホから離れたりはしなかった。


 しばらくして、寝たふりをしているのも疲れたので少し動いたら、エーイチに起きたのがバレてしまった。

バレたついでに、ミチホはエーイチの膝枕で寝てみた。


「ミチさん、まだ眠い?」


「エーイチが近くにいると安心しちゃう。」


 言葉でエーイチを喜ばせてみるものの、ただのイタズラである。

男性の膝枕というのは、女性の頭の位置的にあまり落ち着くものじゃないのだ。

ミチホはしっかり腰の近くに頭を乗せた。もちろんお腹のほうを向いて。


「足が痺れたら言ってね。揉んであげるから。」


「え、足が痺れるまでこのまま?」


「エーイチの膝、気持ちいいんだもーん。」


 ミチホは膝枕からしばらく降りる気はない。

このまま服をめくって腹筋を拝むのも良さそうだとミチホは考えた。

しかしエーイチはなぜ細身なのに筋肉質なんだろうか。


「そういえばエーイチって、部活なにやってたの?」


「陸上やってたよ。」


「いいねえ陸上。カッコイイよね。走ってる所も見てみたいなあ。」


 ミチホは球技があまり好きではない。

スポーツもさほど好きでないが、選ぶとなると陸上が一番好きだった。


「勉強ばっかだとなまるから、ミチさんちから帰る時は軽く走ってるよ。」


「おおー、エーイチすごいねえ。腹筋割れてる?わたしは腹筋が好き。」」


「すっごい割れてるわけじゃないけど。見る?」


「うん!」


 エーイチが少し見せてくれたお腹には、美しい腹筋がついていた。

クソヤバイ!舐めまわしてぇ!とミチホはムラムラしたが、

さすがにいきなり舐め回すのはド変態と自覚していた。


「すっごくきれい。触っていい?」


「別にいいよ。」


 ミチホはそーっと腹筋を撫でる。

あわよくば、エーイチがくすぐったがればいいと思いながら。

それもまた、ミチホのイタズラであった。



 玉子炒飯事件によって、年下のピュアな少年とどう付き合っていけばいいのかという悩みをすっとばし、

ミチホとエーイチは自然にイチャラブできるようになった。

エーイチの腹筋も拝めたし、結果オーライ。

タマチャーには感謝しておこうじゃないか。

ミチホは起こったことすべてを糧にして生きて行くのであった。

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