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First Misson...Fishing item "decoy"


更新遅れまして申し訳ないです


仕事エェ・・・言い訳にもならないですね・・・




 「変質者が出没?この基地の民間人生活棟付近で?」


呼ばれたと思えば何やら基地内で問題が起きたようだ


生徒会室には先日集まった連中が同じように集まっていた

 

 「ああ、以前から被害が相次いでたセクハラ野朗だ」


以前からって・・・対策どうしたんだ?


 「今回、その変態を捕まえる策を考えたから聞いてくれ」


と、雑談していた皆が静かになる


 「策というのはいたってシンプル・・・囮作戦だ」


 「囮?誰かが変態おびき出して確保ってやつか?」


なんかいやな予感がせんでもないな


 「民間生活棟付近・・・主に夕時あたりに一人歩きしていると出てくると分かっている」


 「それで?」


 「以前よりこの報告はあったが、囮役に適任が居なかったのと最近の出撃頻度によって摘発できず


  しかし、今回丁度よく適任が入ってきたじゃないか」


 「まさか・・・」


 「囮役には、新人の時凪を使う」


来ましたよ・・・いやな予感的中


 「俺以外の・・・咎波さんじゃだめなのか?」


 「そもそも見回りは他の部隊に任せていたんだが旗色悪く、俺達に救援の要請来たってところだ


  しかし俺達偵察班は民間生活棟に滅多に行かない、おまけに咎波は実働部隊として顔が知られてる


  水霜は顔は知れてないかもしれんが格闘戦不得手でもしもの時に危険が多すぎる」


 「つまり・・・適任が俺しか居ない?」


 「そうだ。無茶を承知でお願いだ、頼む」


男に襲い掛かる男って・・・どうなんだ?


俺的には完全アウトなんだが


 「やるのはいいが・・・釣れるのか?俺如きで」


 「「「絶対釣れる」」」


何でそこ全員でハモるんだよ


 「つーわけでお願いする」


 「はぁ・・・任されましたよ」


またしても、俺の平穏と呼ぶべき生活は離れていった


 「所で後藤、さっきから何携帯見てんだ?」


 「いや、なんでもないぜ」


 「何だよ~見せろよ~・・・こ、これはっ?・・・天使か!?」


 「だろ?天使だろ?」


 「くっ・・・後で俺の携帯に送ってくれ、頼む」


何で後ろの二人はニヤニヤしながら話してんだ?






で、そんな痴漢摘発任務が俺にとって始めての正規任務となった・・・これはひどい


 「これかな・・・やっぱりこっちかな?」


 「こっちの方が可愛いですよ?」


 「んー、かわいい感じもいいけど・・・やっぱり清楚な感じのお嬢様にしましょう」


 「人の話聞いてねーし・・・ハァ」


で、完全に部隊の女子二人・・・咎波さんと水霜に着せ替え人形にされてます、なう・・・Now


服選びに没頭するのはいいが、服が決まらないと俺の演技も多少かわるからな。さっさと決めてくれ


 「これにしましょう、では着てください」


 「簡単に言うね・・・男子に女装しろって」


 「「いや、女の子ですよね?」」


駄目だ、もう皆の認識が取り返しの付かない所まで来てる


ちなみに渡された服は、真っ白なワンピースと靴


シンプルだが完全に女の子の服だ・・・ちくしょう




そんでもって装着・・・もとい着替え中~




 「わぁ・・・きれい・・・」


 「改めて、凄く似合ってますよ時凪さん」


 「嬉しくない・・・その褒め言葉」


完全に見た目女の子になっている俺が鏡に写ってる


・・・何処からどう見ても、完全に女の子である・・・すばらしき屈辱


 「さて、皆の所に行きましょう」


 「そうね、行きましょう」


 「あ、ちょっと待ってくれ。少し確認したい」


最後に、そろそろ”モード”に入っておいた方がいい気がしたから


 「あー、ケホッ・・・こんばんは、皆さん」


口調をイメージ通りに変えて声色も変える


 「「え、あ、こんばんわ・・・」」


 「この口調で特に問題はないでしょうか?」


 「は、はい・・・特に・・・」


 「では、行きましょう」


ドアノブに手をかけ、裾を少し揺らしながら部屋を出る


 「凄い・・・」


 「見た目と雰囲気が・・・完全に一致してる」


何やら後ろの二人が呟いてるが、これは俺の特技の一つ”完璧な演技”



 ”この見た目とそれが合わさると大事件が起こる”



と、言っていたのは当時の同級生(♀)


・・・否定できない俺はどうなんだよ!?








と、言うわけで再び生徒会室


 「この格好でよろしいでしょうか?」


 「・・・・あ、ああ、完璧だ」


 「・・・美しい・・・」


 「・・・この演技が演技ではないことであらん事を」


部隊長、ホモ一号、後藤の順番でこの感想


どうやら演技には問題ないようだ


他の男子メンバーも凄い驚きの目で俺を見ている


・・・特技が生かされるのはいいが俺はその度に何か大切なものを失ってる気がするんだよな


気のせいだよな・・・絶対気のせいだよな?


 「さて、それじゃあ追跡、確保担当員を決めるが・・・やりたいやつは挙手をしろ」


 「「「俺に任せろ!!」」」


・・・何でここに居る男子全員が堂々と男の監視と追跡に関して挙手してるんですか?


 「全員じゃ駄目だろ。まず部隊長の俺は必然的になるとして・・・」 


 「「「卑怯者が!!正々堂々と戦いやがれ!!」」」


何かよくわからんが戦いが始まった・・・何でやねん






結局、突入班は私が選ぶ事になって・・・選んだのは知っている三人


まず咎波さん、私の中で安心できる人暫定一位


次に後藤、何だかんだでこいつが一番頼りになる・・・いろんな意味で


最後にホモ一号・・・こと咎波 悠太さん・・・兄妹なんだって咎波さんとは


・・・変態なお兄さんをお持ちで大変ですね


ちなみに口調が変わってるのは演技モードに入っているから


外側を変えるなら内側も・・・っていうのは名言だと思う


完璧な演技を追及した結果がこれです


ちなみに今作戦実行中で、生活寮棟の廊下を歩いています


それより・・・この人通りの無さが恐怖心を煽る


怖い・・・普段だったらこんなの何ともないのに


このモードの難点は、それになりきりすぎて心も変わるという事


パソコンがOSによって特性などが違うように、頭の意識の中に人格をインプットするように


そしてその人格意識というプログラムを実行する・・・わかりにくいですか?


ちなみに反動もあって、代償としてある程度は解除できるけど完全に解除はできない。

 

それで戻らない時は長くて一週間くらい本当の自分を忘れる


その一週間は地獄だったけど・・・主に学校が


一応今の所は変質者の出現は確認できてなーーー


 「ん?あれ!?お前もしかして・・・」


・・・無視でいいですか?





 「こちらクレイラ1 ターゲット出現、時凪さんの方に接近」


 「こちらリース3 こちらも確認した・・・犯人か?」


無線でやりとりをして状況を確認する


 「こちらリーパー1 各員、非殺傷弾薬の装填、ターゲット”変態”」


 「こいつはひでぇや・・・」


変態の制裁には無慈悲が似合う


 「待って、様子がおかしい・・・!?」


 「どうした!?クレイラ1!!」


 「ターゲットが時凪さんに接触・・・いきなり胸部を触る行為を」


 「「何だって!?羨ましい!!」」


 「ちゃんとしなさいあなた達!!」



以上、仕事してるようで怠慢バリバリな確保部隊三人の通信




 

 

 「もしかしてお前・・・時雨か!?」


 「え・・・?」

 

目の前の人物は私の名前を知っていた


 「ほら、俺だって!!柄島だって!!」


 「・・・え?あぁっ!?透!?」


その人物は、私の友人にして幼馴染の一人


 「やっぱり時雨か!!相変わらず可愛い顔してんな」


 「透だって・・・腐れイケメンは健在だね」


うん、相変わらず整った顔してるね


 「腐れっておま・・・お前だって美少女顔に磨き掛かってんじゃねーか!!」


 「やめて!!そこ突っ込まないで!!」


心に刺さるから!!すごく刺さるから!!

 

 「でも事実だろ。くっそー俺の好みど真ん中な顔しやがってよー。つーかお前、遂に女装趣味に走っ


たのか!?」


ちなみに、私が男であるという事は透は知っている・・・しかし


 「いや・・・これは・・・」


 「おう何だ何だ?体つきまでこだわり満載精巧に再現してあるな~・・・特にこれ!!」


と、言いながら透は私の胸を鷲掴みに・・・



 むにゅっ



 「ひゃ・・・んっ・・・」


何ともいえない感覚が私の体を駆け巡る


 「・・・へ?は?おま・・・これって・・・」


 「・・・・・・」


驚く幼馴染、胸をサッと庇うようにしながら抗議の目線を送ってみる


 「・・・嘘だろ?」


 「・・・(涙目)」


ちなみに嘘泣き


 「・・・」


しばらくの無言


 「・・・出て来いよ」


ふと、透が廊下の曲がり角に呼びかける


その場所は、確保班が隠れている場所ではない・・・・つまり


 「さっきから様子を見ていれば、まあイケメンと美少女が楽しそうにイチャついてるじゃないか」


小太りの、いかにもって感じのオッサンが出てきた


 「そうか、羨ましかったか?それとも力ずくで奪いに来たのか?」


 「「「両方だな・・・」」」


・・・あれ?変態が三人に増えたような気が・・・


と、周りを見回しているとそのオッサンはポケットからカッターナイフを取り出した


どうやら変態っていうのはこのクソ野朗って事ですね。透じゃなくてよかったよかった


 「どうせ俺達みたいに容姿に恵まれてないヤツの事なんざ知った事じゃないんだろ?」


 「おう、知った事じゃないな」


 「クズが・・・死ね!!」


カッターの刃を全開まで出して、その変態は透に向かって振り回す


 「あのなぁ・・・確かに容姿とか声とかってのは生まれ付いたものだ。


  それがかどうとか考える思考は俺にない。でもなーーー」


透はポケットからジッポーライターを取り出して、指の間に挟んで握ってカッターナイフの刃を横殴り


に弾く


 

 パッキィィン



と、妙に響く金属音と共にカッターの刃は根元から折れた


 「・・・は?」


唖然と、折れたカッターナイフを見つめる変態


何が起きたのかも理解していない


 「自分の生まれ呪って、自分は被害者ヅラして、それを理由に女性を襲う?」


透が起こっているのは私と同じように自分が・・・その見た目の自分が嫌いであったからだ


 「ふざけんじゃねぇよ、お前のその自己満足のせいで傷ついた人が何人居ると思ってんだ!!


  挙句の果てには俺を理由に?冗談じゃねぇ!!」


透はその変態の鳩尾に一撃、そしてカッターをハイキックで弾き飛ばす


 「身勝手なやつの方が人間のクズだ!!別に見た目良し悪しが犯罪になる訳じゃ無いだろ!!」


 「がっ・・・げぼっ・・・」

 

変態は立つのがやっとっていう感じにふら付いている


弱い・・・だからこそこんな小癪千万な手しか使わないんだろうけど


 「やめ・・・てく・・・れ・・・ゆる・・して・・くれ・・・」


 「誰に言ってんだ?被害者に聞こえるように言えよ」


そう言って、透が拳を振り上げる


私は、とっさに透と変態の間に入った


 「・・・時雨、お前こいつを庇うのか?」


 「がはっ・・・たっ・・・たすけてく・・・」


 「庇う?違うよ透」


私は、ゆっくりと顔をあげて透を見る


 「この人を裁くのは透じゃない」


 「じゃあ・・・誰がやるんだ?」


 「そうだ・・おれを・・・裁けるのは・・・お前じゃない・・・」


 「この人を裁くのはーーー」


変態が私に向かって手を伸ばしてきたのが分かる


でも、大丈夫


 「銃弾だから」


そして乾いた銃声が三つ、静かな廊下に響き渡った



 







 「犯人確保!!」


非殺傷銃弾・・・ゴム弾を三方向から同時に食らった変態は地面に這いつくばった


 「ぐぁっ・・・くっ・・・」


クソ野朗こと犯人は二十台後半の男


それもこの生活棟の住人ではなかった


 「クソ野朗は始末しねーとな」


 「まっ・・・待ってくれ!!話せば分かる!!」


 「女を後ろから襲う男の風上にもおけねー野朗に言われて分かる事なんかねーよ。死んだ方がいいよな?」


 「やっ・・・やめろっ!!やめてくーーー」


銃声一つ、金属薬莢がM9ベレッタから排出される


そして、至近弾を食らった男は気絶した


 「さて、こいつは警察に預けるとして・・・新人は!?」


 「あーこいつは任せてくれ。あんたらより俺が傍にいた方が守れる」


 「透?何言ってるの?」


それ女の子に言うべきセリフですよね?


 「決めセリフの所で容赦ねーなオイ!?」


 「あーそんな感じですから、皆は変態をよろしーーー」


と、ここに来てエネルギー不足・・・二度も戦闘してからだから当たり前かぁ・・・

 



 「うおおい!?どうした!?」


 「気にするな。大方腹へりすぎて意識失っただけだ。一応医務室に連れて行くが」


 「お、おう、頼む」




 「これは・・・栄養不足+過労ね。しばらくすれば意識は回復するわ」


横目で医務室のベットに横たわる友人を見ながらホッとため息を付く


 「それにしても、柄島君にも遂に春か~この色男っ」


 「よしてくださいよ・・・彼ーーー彼女は俺の同級生ですが・・・」


 「あらそうなの?でも可愛い娘ね」


 「そうですね・・・俺は一目惚れでしたね・・・はっ!?」


思わず口にしてしまった


それを聞いて、医務担当者・・・俺の叔母はニヤけながら俺を見ていた


 「ふふ~んそうかそうか~」


 「と、とりあえず彼女をお願いしますね、おばさん」

 

 「はい、任せなさいな」


椅子から腰を上げようとした・・・すると何かに裾を引っ張られる


見ると時雨が、寝たまま俺の服の裾を引っ張っていた


 「あらあら、彼女は帰ってほしくないみたいよ?」


 「・・・ハァ、それじゃあ付き添います」


疲れたんだが・・・かわいいから許す


それにしても前から絶世の美少女だったが・・・その可愛さにさらに磨きがかかってて正直引いたわ


サラリと伸ばした黒い髪に澄んだ黒い瞳、色白な肌


可愛さと美しさの両立・・・って言えば通じるか?


完璧を追求したかのように整ったその姿は清楚な雰囲気を醸し出している


すれ違う男・・・いや、女でも振り向くだろうな。これで男口調が直れば文句なしの女の子になるんだろうけどよ


 「・・・ふみゅ・・・」


寝言と共に布団の中に腕を引かれる


これによって俺と時雨の距離がかなり短縮される


 「・・・・っ!!」


寝息と気持ちよさそうにしてる寝顔がっ・・・直視できないレベルになってやがる・・・!!


堪えなければ鼻血確定だろうなこれ


中学ん時のアレも凄まじかったが・・・でも俺の知ってる時雨は完全に男だった


口調も・・・雰囲気も、特技を発動させればたちまち騒ぎの種だった


でも・・・五年前のあの事件で、時雨の心はボロボロになって不登校になったからな・・・


 「だがこれは・・・記録に収めなくては」


俺は早急にケータイを取り出した


この・・・神の恵みを収める為に





 夢を見ていた


 夢の舞台は自分の部屋で、いつも通りにパソコンの電源が付いたままの状態だった


 そして、その机の椅子に座るのは・・・以前の自分、もう一人の私


  「俺に・・・何かを守れる力はない」


 パソコンの画面に向いたままのもう一人の自分に私は言った


  「確かに、私は無力で臆病でどうしようもない泣き虫で・・・」


 あの時も、何も出来ないまま大切な・・・唯一の家族と呼べる人を失った


  「でも、今のお前は力を持っているだろ?」


 手元を確認すると、パソコンのシューティングデバイスではなく、重く光る銃を握っていた


  「なら、お前は守れる・・・インターネットという世界の網の中で、仮想の何の実体もない武器じゃなく


   本当に実在する、その手に握る武器で」  

 

 そう言って、もう一人の自分は振り向いた


  「ならもう俺は必要ない・・・仮想の敵を殺すだけの力しか持たない、無力な俺は」


 もう一人の自分は、席を離れて私の正面に立った


 そして、私が握る銃を自分の胸に向ける


  「引き金を引け。俺はもう、お前には必要ない」


  「・・・・」


  「これから戦うのに、俺は邪魔でしかない・・・捨てろ、自分を」


  「・・・うん」


 私は、ハンマーを倒して引き金に指をかけた


  「ありがとう・・・”時雨”」


  「ありがとう・・・”時凪”・・・じゃあね・・・」


 私は人差し指に力を込めた






 「うっ・・・ふぁ・・・」


目が覚めると、朝日のような眩しい日差しが目に容赦なく入り込む


一日寝てしまったのか・・・私・・・ん?


私ってこんな口調だったっけ?


ついでに私の中で、何か大切な物が無くなった感じのぽっかり空いた空白


思い出そうとしても思い出せない


 「起きなきゃ・・・アレ?何か握ってる?」


ふと、自分が何かを握っている事に気がついて手元を確認する


すると何故か、私の身勝手すぎる右手が透の裾を握っていた


 「ん?起きたか?」


 「あ、うん・・・」


 「過労と不足だと、お前らしくもないな」


 「ごめん・・・それで、犯人の方は?」


 「今頃鉄格子の中にでも居るんじゃないか?」


 「そう・・・」


捕まった・・・という解釈で間違ってないみたい


作戦成功って事ですね・・・


 「・・・口調、戻さないのか?」


 「透・・・私ってどんな口調だったっけ?」


 「は?」


 「思い出せないよ・・・自分がどんな口調で人と話していたのか・・・」


本当の自分が居なくなったように、その本当という存在が私の中には居なかった


 「それよりごめん・・・私が袖持ってたから無茶な姿勢で眠ってたんだよね・・・」

 

 「あ、いやいいって別に、気にするな。それより飯食いに行かないか?」


そういえば、ここに来てからご飯食べてない気がする


 「わかった・・・あれ?」


 「どうかしたか?」


 「・・・立てない・・・ごめん、いけそうにない・・・」


 「あ、いや、何だったら背負っていくぞ?」


 「いいの・・・?」


 「このくらいしかできないけどな・・・ほら」


そう言って、背中を向けてくれる透はやっぱり優しいと思った






そうして、俺は時雨を背負って食堂に向かう事になった


なんだろうかなぁ・・・昔同じようにこいつを背負ってた時の事思い出しちまった


あの頃は・・・みんな笑って、ただ普通に生活していた時だもんな・・・


背中から時雨の体温が服越しに伝わってくる。そんなやさしい温もりが、ひどく俺の肌には懐かしく感じた


 「おはようございます・・・あれ?何であなた新人さんをおんぶしてるの?」


昨日の偵察部隊の人が廊下に出てきた


ちょっと明るめの青色の髪を短く切ったショートヘアーの女の子だ


 「おはよ。いや、昨日から付き添いで一緒に居る事になったんだが・・・


  ちょっと時雨が立てないみたいでよ。今から飯食いに行こうとしてた所だ」


 「ふぅん・・・医務室で食べるって手は考えなかったの?」


 「あんな薬くっせぇ所で飯なんか食わせれるかよ。な、時雨」


と、話を振ってみる・・・が、返事がない


 「・・・寝てるみたいよ」


 「マジか・・・」


耳を澄ませると小さな寝息が聞こえる


 「かわいいわね」


 「全くだ・・・昔と変わらないのが不思議で仕方がねぇ」


それからもう一人、この人の兄さんが出てきて一緒に食堂に向かう


ちょっと疑心暗鬼だったが、名刺交換・・・ならぬ画像交換で和解


俺達って超現金な奴等だよな・・・


そうして廊下を歩いていると、右側のドアが開いた


 「あー眠ぃ・・・昨日のイケメンと・・・お?二人が一緒なんて珍しいんじゃないか咎波兄妹」

 

そして後藤って言う同い年くらいの青年が俺の背中の時凪に気が付いたようだ


 「後藤、俺はお前のより格段にいいのを手に入れた」


 「あん?何をだよ」


 「題して”彼女の初めて”」


 「兄さん!?」


 「テメェ上等だ!!この犯罪者が!!」

 

ちょ・・・こいつら本当に前線部隊か?


 「ちょっと度が過ぎたか?まあ落ち着けって・・・俺がしたのは確実にお前達が考えた事じゃーーー」


 「・・・ぐすっ・・・」


あ、時雨起きてらぁ・・・


 「私が眠ってる間に・・・ひどいよ透・・・グスン」


やべぇよやべぇよ・・・時雨まで誤解してるぜ・・・つーかなんで俺?


 「泣かせやがったな?湖我Camoooooon!!」


 

 ベキッ



いきなり後藤が出てきた部屋の隣の部屋からドアを蹴破って出てきた筋骨隆々の大男


 「待たせたな」


その男の名は湖我 力也、その名の通り力が全てって感じの男だ


特技&趣味は格闘技、その威力は体験済み


敬訳するならば・・・力と技の暴力である


ちなみになぜ手合わせをする羽目になったのかというと・・・ナイフの練習してたのを見られて




 (おい、お前。ちょっと手合わせ願う)


 (ん?俺か?いいけどよ)




それが俺の最後の言葉だった・・・


 「さて、女の子泣かせた命知らずの馬鹿はどこのどいつだ?」


いかん・・・烈火爆熱ご乱立の模様だ


つーか何で俺ターゲッティングされてんの?何もしてねぇのに


さてさて状況は2対1・・・勝てる見込みは?


 「時雨、少し揺れるぞ」


 「へ?は、はいっ」


そう返事して、時凪はぎゅっとシャツを握る手に力を入れる


それを確認して、俺はバヨネットをホルダーから引き抜いた





透が・・・寝てる私から初めてを奪ったらしいです


・・・おかしいよね?普通男子が男子から初めてを奪うって構図はアレだから省略しますが


正直演技じゃなくて本当に涙が出てきました・・・私の貞操が・・・


 「時雨、少し揺れるぞ」


 「へ?は、はいっ」


反射的に、私は透に掴まる


すると驚く事に、透は私を背負ったまま戦闘を始めた


空を切るのはM9バヨネットーーー米軍正式採用のアサルトライフルM16ファミリーに


装着可能なナイフ


・・・ちなみに本物である


何で持ってるかって?透だからとしか言いようがないね


そして、後藤が怯んだ隙にホルスターからM9ベレッタを掠め取る


 「なっ!?俺のベレッタ!!」


 「甘い甘い、そんなんじゃ猿にでも足元すくわれるぞ」


威嚇発砲、それが後藤と湖我っていう人の足元に着弾する 


 「ハッ、威嚇のつもりかよ?」


 「まあいい、お前が銃を使うのなら俺は拳を使おう」


 「「「いや、その理屈はおかしいから」」」


咎波さん、後藤、ホモ一号・・・面倒くさいから悠太さんって呼ぼう


湖我さんの不自然な理屈に三人の声がはもった・・・それよりーーー


 「おなかすきましたぁ・・・」


もう意識が朦朧としてきてる・・・


え、栄養を・・・だれかぁ・・・


 「なあ、とにかく先に時雨に飯くわせてやってくれ。こいつ昨日から何も口に入れてないらしいんだ」


 「「ならそのブツを見せるんだ」」


 「くっ・・・いいだろう。時凪、少し降ろすぞ」


と、言われて降ろされる


勿論自立する事がまだできないので壁よりに縋る感じで座りました



  「・・・おぉ、これは・・・初めてってそういう事かよ・・・天使と言われても信じそうだ」


  「悠太もらったのか?いいなぁ・・・後で送ってくれないかその画像」



何やらちょっと離れた場所で男三人が携帯出しながら会話してました


それから妙にみんな嬉しそうにして食堂に向かいましたけど、私の涙は止まりませんでした


返してください・・・私の初めてと貞操





とりあえず食堂に着いたはいいけど、隣に座るホモ二号さんにどんな顔して会話すればいいのかわからない


目の前に出されたを口に運び、一口喉に送る


久しぶりの水分は、私の枯れかけていた喉に染渡り潤す


 「で、悠太、新人誤解したままなんじゃないか?」


 「あ、そうだった。時凪、さっき言ってた事は別に俺がお前にどうこうしたって事じゃないからな」


 「・・・え?」


 「まず考えてみろ、こんなイケメンと一緒に寝てたお前に俺が何をできるってんだ?」


考えてみればそうだ、この人も一緒に寝てたから何もできないはず


・・・あ、一つだけあるかも


 「”盗撮”?」


 「「「ブフォア!?」」」


 「何で皆吹いたの!?」


男子組三人がお茶をテーブルにぶちまける


 「おい、ちょっと待て。一緒に寝たって何だ?」


と、言うのは口元拭う後藤さん


 「そのまんまだ。な、時雨」


 「は、はい・・・」


一応・・・かな?


 「・・・羨ましい」


何でですか・・・男と寝て羨ましいとかって


とりあえずカレーを食べた・・・あまりおいしくなかった





 「ここがあなたの部屋です」


食事を終えた後に案内された部屋は皆と同じような部屋


二段ベット、勉強机、その他諸々


至って普通な学園寮だった


 「・・・ハァ」


いきなり、飛ばされて何なんですか・・・


女の子になってたり戦争してたり


とりあえずベットに横になる


起きてても寝ててもどうせ明日はやってくる



  ズドォォンッ!!



・・・でも寝るのはもう少し後になりそうですね




 更新遅れ申し訳ないです


 ちなみに攻略ルートは書かないつもりです


 次回、遂にッ!!戦闘シーン!!


 よろしくお願いします 



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