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3/10

連れて来られた場所は前線基地(なんちゃら学園)


階段で滑ると待っていたのは角とスネの猛烈な恋でした・・・(※激痛を伴います


そして思いつくアイディア


よろしくお願いします


   ~少女視点~




あれから私は回収され、基地に戻って試験機体の報告書を書いていた


 「う~ん・・・他に書くことは特にないかな~?」


ペンを置いて、自分のベットに横になる


 コンコンッ


 「は~い。どなたですか?」


 「水霜ちゃ~ん、飯いこうぜ~!!」


まためんどくさい人が来た・・・


 「今ご飯食べる気分じゃないから・・・」


もうこのままベットで寝てしまいたい


 「そんなつれない事言わないでさ、行こうぜ!!」


後藤将哉・・・しつこいから私は苦手だ


この基地の名前は第十二号装甲機動部隊本部


ここに居る皆は、テロリストグループ”クロウ・ヴァリスタ”と呼ばれる武装組織によって故郷を追われたり


家族を失った、いわゆる 戦争被害者 である


CVは最初、日本政府の自衛隊サーバーをクラックした


それに続いて自衛隊で研究中だった人体装着型装甲機動システム”フォーマライト”の試作型を強奪


研究所の職員が皆殺しにされるという事件が発生


日本政府は国家非常事態宣言を発令、陸、海、空全ての自衛隊の部隊にこのCVの制圧を命じた


だが、CVは試作型のフォーマライトを量産しその自衛隊の部隊を迎撃したのだ


FG自体は、元々搭乗者の日常動作・移動・運搬をサポートする為に生まれた物だった


しかしフォーマライトは、その動作補助システムとしての出力リミッターを外され


銃器やシールド、装甲を付加されて武装化されたのだ


武装が施されたフォーマライト一機の制圧力は、陸上自衛隊の歩兵一個中隊に相当した


市街地での戦闘で戦車もろくに機能せず、CVはあっという間に日本の半分を制圧した


量産されたフォーマライトは自衛隊の部隊を次々と無力化し


最終的には、9割の自衛隊戦力がフォーマライト二千機によって壊滅させられた


日本本土の南半分は、CVによって占領され、支配化されている


しかし、このフォーマライトの開発を同時期に進行させていた某国の援助によって


私達にフォーマライトが提供されるようになった


CVの目的が何なのかは分からない


わかっているのは、やつらは人を殺すのを躊躇わない・・・人殺しの悪人であるという事


そして、少なくともこの五年間で私達は故郷を追われた


友人や家族を・・・失った


 「お~い!!水霜ちゃ~ん!!」


外のうるさい人が部屋に突入して来る前に、私は食堂に行く事にした


 ガチャッ


ドアを開ける


 「水霜ちゃん、俺と付き合わなーーー」


 「死んでも嫌です」


会った途端にすぐコレ


正直私はこの人が嫌いだ


それから私はこのめんどくさい人に連れられて食堂に行った




 

   ~食堂~




この基地の食堂は意外に広い


何でも、どこかの学校を利用させてもらっているのだと言うが


中学校までしか知らない私には広く感じた


 「さて・・・何を食べようかな」


メニューを見てから品選びをする


 うどん(物資不足の為具などは入っていない)


 焼きそば(同じく具なし)


 日替わり定食(白米、味噌汁、あと日によって変わる川で釣れた魚)


 カレー(救援物資)


 どこかの国の軍食(栄養重視で味が、ね・・・)


正直救援物資があるからバリエーションが増えた方だが、やはり味気がしないものばかりだ


五年前が・・・どれだけ恵まれていたのかが身にしみて分かる


 「俺はカレーで」


 「私は日替わり定食でお願いします」


あいよ と厨房の方から声が聞こえて私達は空いている席に座る


この時間帯、この十二号本部には一般人を含めて数百人の人が居る


そのうち、私達装甲機動部隊員は三十人ほど


今の時間帯は、丁度夕食の時間帯なのでこの広い食堂がほぼ満員になっていた


 「にしても、今日の出動は何だったんだ?」


今日の出動の表向きは偵察任務だった


だが実際は、開発班から試作機体が到着したのでその稼動試験だった


後藤はレーダーバックアップなので、基地のオペレータールームから指示をくれる


だから現場の事情は知らないはず


 「偵察ですよよ。ただの」


 「何で通常偵察でCVの精鋭部隊と鉢合わせするんだよ?」


 「・・・運が悪かっただけだよ」


 「そうなのか?まあ、俺は水霜ちゃんが無事に帰ってきてくれただけで嬉しいんだけどな」


うわぁ・・・気持ち悪い


 「おいおい、俺は真実を言っただけぜ?」


 「はいはい」


いつもこれだから、もう気にしない事にしている


 {装甲部隊に連絡、隊員は食事を終えた後ブリーフィングルームに集合するように。また、その際は私服でも構わない。繰り返すーーー}


あぁ・・・また召集だ・・・


召集される時にはいつも最後の人が後片付けをやらされる


面倒くさいけど、急いで食べなくちゃ


 「また召集か・・・今度は何だよ?」


恐らく試験機のデータ提示あたりなのだろう


装着した感じ、従来型と比べると動きが軽くて機動性が高い


デフォルト装備の高周波共振動ナイフは相手の装甲に切れ込みを入れる事ができる


新型エネルギーユニットの出力向上によって稼働時間は倍以上に延びた


ただ、やはり試験機だからかエネルギーユニットの出力が不安定になる時がある


実戦兵器だからまだまだ安定させるには改良が必要だと思った


 「まあ、さっさと食って行くに越した事はないな」


 「そうだね」


夕食を急いで済ませた私達は、食堂を後にしてブリーフィングルームに向かった




 


   ~ブリーフィングルーム~



ガチャッ


 「おお、来たか」


部屋には駐留部隊ほぼ全員がそろっていた


でも、一人来ていない人がいた


 「あれ?咎波隊長は?」


いつも召集時には誰よりも最初にいるはずの人物が居ない


 「さあ?。トイレにでも行ってるんじゃないのか?」


まあ、居ないのなら隊長が罰掃除だね


 「さて、今回召集した理由は他でもない。開発部から新しい機体が届いたからだ」


部隊長が連絡をする


 「え、新型?マジで!?」


後藤が声を上げる


 「そうだ。この新型機のテストは、先ほど水霜にやってもらった。報告書はあるか?」


 「はい。持ってきてます」


ポケットから用紙を取り出して、先ほど書いた感想を読み上げる



 


 「ほ~・・・結構な高性能機じゃないか」


 「機体自体の性能は申し分ありません。しかし新型のエネルギーユニットは出力が安定せず


  悪ければ機体のパワードアシストが切れます。私の機体は実際にパワードアシストが切れました」


私が体験した事を話す


 「それでよく生きて帰って来れたな。流石だ」


 「いえ、それは・・・」


あの人のお陰だ


あの人があの時助けてくれなかったら、私は多分今ここに居ない


 「機体の稼動データは、改善点も含めて研究部に送る。報告ありがとう」


 「で、今回の召集はこの報告の為だけなのですか?」


別の部隊員が質問する


 「ああ、そうだった。第三部隊隊長が民間人を保護したらしい」


 「民間人?でも民間人の保護ぐらいで召集するような事では・・・」


行き場を失った民間人を保護する事はいくらでもある


でもわざわざ召集するような事ではないはず


 「まあ聞いてくれ。その人物はな、生身にも関わらず”ブラック・ウィドウ”を単身で無力化したらしい」


 「はあ!?」


 「生身の人間が、CVの精鋭部隊員を殺ったのか!?」


 「ああ、それも一人でやったらしい」


え・・・それって・・・


 「連れて来てもらってるから、少し待ってくれ」


部隊長がそう言った瞬間、ドアがノックされた


 「お、来たようだな。入ってくれ」


 「失礼します」


木製のドアが開く


入ってきたのは私が所属する第三部隊 咎波佐奈隊長


強くて大人っぽい雰囲気もあって、私が目標とする人物の一人


 「保護した人物を連れてきました」


 「ご苦労さん。入ってもらってくれ」


 「入って」


ドアが開いて入ってきた人物


やっぱり、あの時の人だ


 「自己紹介を」


 「時凪 時雨だ。以後、よろしく」


頭を下げるその人は、あの時助けてくれた人に間違いなかった






   ~鳥凪視点~



あれから俺は、特に拘束という拘束を受けるわけでもなくヘリに乗せられた


 「・・・ちょっといいかしら」


ライフルをいじっていると向こうから話しかけてきた


 「はい、何でしょうか?」


 「あなたの前に倒れていた兵士・・・あれは、あなたが殺したの?」


 「・・・はい」


頭が冷えてから思い出す


自分の手に残る血痕


胴体から離れ離れになった頭部


その胴体からあふれ出すドス黒い血の流れ


考えるだけで気持ち悪くなってきた


俺は・・・人を殺した


 「基地に着いたら、まずはあなたの事を上官に報告します」


 「勝手にしてください・・・」


軽く自暴自棄になっていた


訳のわからない世界


自分が知っている日本では無い


ただ確かめなくてはならない事がある


 「質問、いいですか?」


 「どうぞ、私が答えられる範囲であれば」


 「今は・・・西暦何年ですか?」


この世界の時代だ


 「おかしな事を聞きますね。今は西暦2020年、11月25日です」


畜生・・・やっぱり違う


俺が最後に時間を確認したのは・・・西暦2015年、11月25日


俺が寝る前に時計を見た時の西暦と日付・・・そこから丸5年の歳月が過ぎている


 「あなた・・・普通の民間人じゃなさそうですね」


 「・・・何が言いたいんですか?」


 「日付ならまだしも西暦まで知らない人なんて、よっぽどの世間知らずでしょうからね」


・・・世間知らずという事は否定できない


俺はずっと自分の部屋に閉じこもって、パソコンの画面と向き合う日々を送っていた


家の外に出たくない


出たらまた何かを失う


そんな想いで俺は1年間、ずっと休学していたのだ


 「でも私にはそこまで世間知らずとは思えないわ。ライフルの扱いにも慣れてたみたいだし」


 「俺はただの引きこもりの学生ですよ。他に何もありません」


パソコンに向かって何をしていたのかといえば、もっぱらFPS


元々銃器に興味を持っていたせいか、俺は様々な資料をネットで読み漁り


ライフルが使えたのもその知識があってこそだった


 「まあいいわ。名前を教えてもらえないかしら」


 「名前を聞くときはまず自分から話すべきではないのでしょうか?」


 「それもそうね。私は咎波 佐奈よ」


 「俺は時凪 時雨だ」


自己紹介を済ませたあと、目的地に到着してからある部屋の前で待たされた


 「少し待って下さい。着替えを済ませてきます」


 「了解しました」


咎波さんは部屋に入っていった


落ち着いた人だな


俺は待つ間暇なのでドアにすがって待っていた


しかしタイムスリップなんてな・・・


明らかに空想上のそれを体験してしまった俺の頭はかなり混乱していた


つうか・・・家大丈夫か?五年放置で


 「ハァ・・・」


ため息を一つついてからポケットに手を突っ込む


 「きゃああああっ!?」


 「!?」


いきなり部屋の中から叫び声が聞こえてきた


 「ど、どうかしたんですか?」


ドアを開けて部屋に入る


部屋の家具はシンプルな配置となっており


女子の部屋特有のほんのり甘い匂いが漂っていた


 「む、虫っ!!虫~っ!!」


いきなり抱きつかれる


涙目ですがってくる彼女には先ほどのクールな印象の面影は一ミリも存在していなかった


 「虫?どこにーーー」


右の壁を見ると、皆大嫌い地球イチの生命力を誇るゴキブリがカサカサと登っていた


 「ゴキブリですか・・・」


俺は近くにあった新聞紙を使って掴み、窓から外に放り投げる


 「あ、ありがとうございます」


 「いえいえ、別にたいした事ないですよ。それよりーーー」


俺が気になるのは


 「服、着たらどうですか?」


 「・・・どうして顔を背けるんですか?」


こんな見てくれでも、俺はれっきとした 男 だ


 「これでも俺は男です」


 「え?どう見たってあなたは・・・」


刺激強すぎるんですよ・・・純情青年には


着替えの途中だったのか、下着のままだった


ちなみに色は明るい薄紫だ


 「え?は?ちょっ・・・見ないでぇぇぇッ!!」


 パシィンッ!!


頬を思いっきり叩かれた俺は部屋から逃げるように出て行くしかなかった


・・・つうか痛ぇ




 「本当にすみません・・・」


 「いやだから、気にしなくていいですって」


あれから着替え終わるのを待って、部屋を出てからずっとこの調子だ


左頬がヒリヒリと痛む、多分綺麗な紅葉マークが付いているのだろう


 「・・・見た目詐欺でしょう・・・」


ちょっと深刻な顔してる隣の人は放置して窓から見る景色に目を向ける


窓から見える外にはグラウンドが広がっており、その向こうには人気の無い市街地が寂しく広がっていた


俺は案内されるままある部屋の前に到着した


 「・・・生徒会室?」


 「ここは学校だった所を借りて前線基地にしてるの」


 「学校が前線基地ねぇ・・・」


という事はこの人も軍人なんだろうか?


イマイチ状況が把握しきれてない俺は黙って聞くしかないのだが


 「少ししたら呼びますので、ここで待っていてください」


それから咎波さんは生徒会室(?)に入っていった


俺は先ほどと同じようにドアにすがるようにして待っていた


 「入って」


お呼ばれみたいだ


ドアノブを回し、ドアを開ける


中には二十人ほど、歳はだいたい十台後半の人で埋め尽くされていた


 「自己紹介を」


 「時凪 時雨だ。以後、よろしく」


一応頭を下げる。これで合ってたか?


 「すげー美人じゃねーか」


机に座っている若者が言う・・・そんなに俺って女に見えるのか?


確かに身長は低いしこんか顔してるが・・・この体が悪いのか


 「で、この少女が例の?」


話を振られたのは咎波さん


 「はい、私が索敵行動中目視しました」


え、はいじゃないでしょ何で性別を否定してくれないの?てかずっと見てたのかよ助けてくれよ


 「生身であいつ等を相手にするなんざ、よっぽどの命知らずか死にたがりだぞ?」


またまた先ほどの少年がそう言った


感じ悪いな、こういう奴は苦手だ。無性に殴りたくなる


 「今回の出動ではCVの隊員三名の死亡を確認、全員ブラック・ウィドウの隊員でした」


 「その一人を、この少女が「待って下さいっ!!」・・・どうしたの?水霜さん」


言葉を遮ったのは、声に聞き覚えのある茶髪の少女だった


 「報告書にあったCV隊員二名のうちの一人は・・・この人が」


 「え、どういう事?」


 「えっと・・・一人無力化した時点でパワーアシストが切れてしまって


  もう一人の隊員に私は殺されかけたんです・・・そしたらこの人が後ろからナイフで隊員の首を・・・」


ああ、俺が助けた子ってこの子なのか


声に聞き覚えがあったのもそういう事か


 「という事は・・・」


 「CV精鋭部隊員二人を・・・」


 「この小娘がやったのか?」


部屋に居る人全員から視線を浴びる


やめてくれ、息が詰まる


それよりも・・・


 「つーか、俺男だって」


 「「「・・・は?」」」


まだ修正範囲だ。まだ間に合ーーー


 「そうそう、彼女は嘘つきですから信用しないように」


 「「「だよなぁ~(ですよね)」」」


わなかった・・・阻止された


咎波さん後でオシオキしないといけなくなっちゃったんだぜ☆


 「あ~っと・・・私達は常時人手不足なので君を部隊員として迎えようと思うんだが」


うん?何か途中がぶっ飛んだ気がするんだが


 「人員不足?」


 「ええ、私達は自衛隊などとは違って”不正規戦闘部隊”という肩書き上あまり人が集まらないので・・・」


ふむ・・・他国の支援があるとはいえ、やはり不正規という名前が祟っているのか


まあ、あんなロボみたいなの付けての命の奪い合いだしな


 「無理強いはしないわ。でも、願わくば応じてくれる事を祈ります」


咎波さんが部屋を出て行く


 「よ~う新人さんっ!!俺は後藤将哉、呼び名はまあ何でもいいからな。ある事を前提にお付き合いしましょう!!」


最初からめんどくさそうなやつキタ・・・


 「いや、まだ入るとは言ってないが?」


 「え、入るんじゃないんですか?」


 「・・・・・」


確かに、俺は入る気でいる


ここを出ても行くところなんかねーし


それならここで情報収集しながら生活していくのが最善と考えたのだ


 「まあ、入隊試験に受かればの話だけどな」


 「入隊試験?」


 「入隊試験つっても、実際の出動に同行して適性を見るだけのものです」


 「適性?」


 「戦闘に対する適性の事だ。どんな状況下でも平常心を保ち、冷静に最適な行動を選択できるかどうか


  まあその他諸々あるが細かい事は実際にやってみねーと分かんねーけどな」


適性、ねぇ・・・


 「まあ他に行くあてとか無いから受けようと思うんだが」


 「おお、そうか!!なら早速部隊長に言わねーとな!!」


 「話は聞いた!!」


と、背後のダンボールから二十歳位の黒髪でバンダナ付けた人が眼帯を直しながら出てきた


 「えらく弱そうなスネ○クだな」


 「うるせぇ、これでも鍛えてんだぞ」


 「おい部隊長、話聞いたならさっさと説明しろよ」


この人部隊長なのかよ


 「俺がここ、第十二号装甲機動部隊本部部隊長 狭神 恭祐 二十三歳だ。よろしく」


そう言われて握手する


 「ああ、入隊にあたって家族・親戚・又はそれに類する保護者は居るか?」


 「いや、居ない」


俺は捨てられたから両親は居ない


一緒に暮らしてた幼馴染も二年前に死んだ


俺に身内と呼べる人間は存在しない


今までも、これからも


 「なら入隊後は俺が保護者代行になるが、いいか?」


 「構わない」


 「オーケー。ならこの紙に名前を書いて印鑑、無いなら指印をしてくれ」


出された紙には保護者登録権の用紙だ


氏名の欄にサインをし、印鑑は持ち合わせてないので指印を押す


 「よし、これで手続きはクリアだ。あとは適性試験だが、明日の第三部隊の定時偵察に同行してもらう」


 「分かった」


 「よし。なら後藤、後は任せた」


 「へいへい」


後藤にそう言ってスネ○クは出て行った


名前?そんなの飾りだ飾り


 「で、お前は歳いくつだ?」


 「十八だな。お前は?」


 「同じく十八だ。同級生なら仲良くしようぜ」


そう言われて握手をする


 「俺は第三部隊所属のオペレーターだ。聞きたい事があったら聞いてくれ」


 「わかった」


 「このタイミングで何だが、それどうしたんだ?」


俺の頬を指差しながら後藤が聞いてきた


多分さっき咎波さんにひっぱたかれた所の事だろう


当の本人は先ほど出て行ったんだが


 「咎波っていう人に叩かれた」


 「咎波隊長にか!?」


 「不可抗力ってやつだ」


 「隊長・・・容赦ねぇな・・・で、何で叩かれたんだ?」


 「いや・・・着替え中をみてしまってな」


不本意ながらと付け加えた・・・途端後藤の顔色が変わった


 「何だって!?下着の色は何だった!?」


 「堂々シークレットを聞き出そうとしてんじゃねーよ」


 「見たんだろ!?教えてくれ!!できれば見た感じのスリーサイズも!!」


しつけーなオイ


 「私の下着が何色か・・・そんなに気になるのですか後藤測量技師」


後ろから冷たい視線と共に投げかけられる言葉


噂をすれば何とやら咎波さん本人である


 「あ、あれ~?。隊長部屋に戻ったんじゃ・・・」


目の前の後藤の顔から血の気が引いていく


冗談じゃなく引いていく


ああ、なるほど。人は自らの死を悟るとこうなるのか


 「最後に教えてくれてありがとう後藤。そしてお前の事は忘れない」


目の前の勇敢なる兵士に敬礼


 「まて、何だその特攻に行く兵士を見送るような悲しい視線は!!


  あと最初のハズが最後って何だよ!!悲しいじゃねーか!!」


そこじゃね~だろ、と心の中で突っ込むオレ


 「じゃあせめてもの笑顔で送り出してやるよ(笑)」


ニコっ★と微笑んで敬礼


 「ちょっと後藤君を借りるけどいい?」


 「ああ、もう別れの挨拶は済ませたつもりだ」


 「新人の笑顔が直球すぎて泣けてきたぜ・・・でも後悔はしてなーーー」


何も言わずに咎波さんが後藤を連れて行く


さらば新友・・・心からお前の冥福を祈る


閉められたドアを見ながら俺は軽く黙祷した


 「あっ・・・あの・・・」


後ろから声をかけられる


振り向くと先ほどの女の子が少し戸惑うようにしていた


少し短めに切られた茶髪は手入れが行き届いているのが見ただけでわかった


中学生ぐらいだろうか、少し幼さが残る顔立ちをしている


 「何だ?」


 「先ほどは助けてくれてありがとうございます」


 「気にするな、単純に俺自身の勝手な行動だから」


しかし、後々考えると銃を持つ相手に単身生身で挑む自分の無謀さに呆れる


でも・・・なんかやれるって気がしてたんだよな


 「それでもお礼を言わせてください。ありがとうございます」


 「・・・どういたしまして」


 「お礼と言っては何ですが、ここの施設を案内させてください」


 「それじゃよろしく頼む。所で君の名前は?」


 「私ですか?私は水霜 佳奈っていいます」


 「それじゃ水霜、案内を頼む」


 「はい。よろしくお願いします」


ドアを開けようとドアノブを回し、ドアを押す。が


 「あれ?開かない」


ドアは開かず、彼女が何回押しても開かない


 「ちょっと見せて」


ドアを調べる


別に鍵が閉まってる訳ではないので多分誰か向こうに何か置いたんだろう


 「ならーーー」


ドアを壊れないよう強く蹴る


 ドガッ・・・ドサッ


向こうで何かが動く音と共に扉は開いた


 「全く、何が置いてあったん・・・・」


足元を見ると先ほど処刑呼び出しを食らった後藤が倒れていた


いきなりすぎて軽く引いたぜ


 「行きますよ~」


水霜が後藤の死体を踏んで外に出る


心なしか、その時の足にはどこか力が入っていた気がした


 「おいおい、放っておいて大丈夫なのか?」


 「いいんですよ。いつもの事ですから」


いつもの事って・・・

 

 「ナムナム」


というか、ドアの前が処刑現場だったとしたらどんだけ静かに処刑されたんだよ


咎波さんの処刑は苦しみもなくただ一瞬で終わるのか・・・怖っ


こうして俺は新友の屍(?)を踏み越えて施設散策へと向かった


 



 皆さんも電気代ケチらずに夜中の階段は点灯しましょう


 誤字脱語報告お願いします


 よろしくお願いします

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