フラーイ、そして戦場へ
二話投稿~・・・中途半端で申し訳ないです
「う~ん・・・何だ?ここは・・・」
目が覚めると、俺は仰向けになって寝ていた
視界にはただ青い空が、悠然と広がっているだけの光景があった
待てよ?。確か俺は家でネトゲをやってて、眠くなったからベットに入って布団を頭から被ったんだよ
な・・・
何で外に居るんだよ?
とりあえず起きてから周りを見回す
今俺が寝ていたのはアスファルトの上で、周りは静かな住宅街が広がっていた
だが人の気配は全く無く、ただ静かに吹き抜ける風が俺を撫でる。ーーーと
ダダダダダダダッ!!
耳を劈く銃声
それと同時に目に入るロボットのようなもの
「なっ、何だ!?」
正確には、それは”人が身につける形”のパワードスーツのようなものだった
それが銃を撃ち、同じようなスーツと戦っている
近くにあった電柱の影に身を潜めて様子を窺う
ぶつけ合う装甲からは火花が飛び散り、近接戦ではナイフなどによる攻撃で相手に肉薄する
その際少し露出した生身の部分へとナイフが刺さり、鮮やかな赤い血を吹き出させる
そしてその片方、黒色の機体の動きが止まった
それを確認し、グレーの機体は飛翔して俺の目の前から消えた
誰も居なくなったのを確認して、俺は黒い機体に向かう
首から血が流れ、一目見ただけで絶命している事が判る
「何だよ・・・ここは・・・」
自分の居た世界とは明らかにかけ離れた風景
一見ゲームなのかと思うほどの戦闘光景
だが・・・違う
硝煙の臭いが支配する場所
ここはーーー戦場だ
「とにかく何とかしねーと・・・うおっ!?」
突然目の前に落下する重い塊
それは先ほどのパワードスーツ二機が取っ組み合いをしているものだった
「ぐ・・・うっ・・・!!」
その押されている方の搭乗者が呻き声を上げる
声を聞いた感じ、十五・六歳ぐらいの女の子だろうか
そののど元にナイフが突き立てられていた
ナイフの先端が、少女の首に近づいていく
マズイーーーあのままだとーーー
目の前の死体を見る
首にはナイフが刺さったまま動かない人間
俺は無意識に手元に倒れている先ほどのパワードスーツからナイフを引き抜き
それを持って黒色の機体の後ろに回りこんだ
ドスッ
黒い機体の露出した首の部分にナイフを突き刺す
搭乗者は一瞬俺の方を睨むが、俺は構わずナイフを握る手に力を込めた
そして・・・俺の手には生暖かい液体が滴り、搭乗者は力なく腕を垂れた
絶命したのを確認した俺は、その搭乗者からナイフを引き抜いて払うようにナイフを振る
赤い鮮血が遠心力によりナイフから離れ、ピシャッとアスファルトに赤黒い染みを作る
「あ・・・ああ・・・」
目の前の女の子はヘルメットのバイザー越しに恐ろしい物を見る目で俺を見ていた
”人間を殺した”
目の前に倒れた動かぬ屍を見て、俺はえらく明快に思った
そして俺は女の子の前から逃げるように走った
~少女視点~
「ぐ・・・うっ・・・!!」
私は追い込まれていた
取っ組み合いになってから試作機体の出力が急に不安定になった
突如パワーアシストが切れ、敵にナイフをのど元に突き立てられた
パワーで完全に負けている
そのナイフが私の喉を貫く
ここで・・・わたしは死ぬの?
こんな死に方したくない・・・よ・・・
「・・・?」
おかしい、もう私は抵抗をやめたというのに
その刃はいつまでたっても私の喉を貫かない
ポタタッ
ふと、顔に落ちる生ぬるい液体
目を開けると、目の前には喉を近接ナイフで刺された状態の敵搭乗者が目に入った
何が起きたの?
その搭乗者がぐったりと腕を垂れた
どうやら絶命したみたいだ
ナイフが抜かれ、支えを失った搭乗者が私の前に倒れる
その後ろに隠れていたのは、何と生身の人だった
私がその人の目を見た、瞬間ーーー
ゾクッ
背筋に走る、冷たい何か
「あ・・・ああ・・・・」
言葉が出ない
怖い
先ほど殺されかけた、その恐怖を上書きする程の殺意とは違う黒い負の感情
だがその人は何も言わずに私の前から走り去っていった
(ザザッ・・・クレイラ2・・・う答しなさ・・・)
無線から連絡が入る
「こちら・・・クレイラ2」
先ほどの恐怖がまだ頭に残ってる
スイッチを押す自分の指が少し震えているのがその証拠だ
(機体のアシストが切れたみたいだけど、大丈夫?)
「私は大丈夫ですが、機体が動きません。至急回収をお願いします」
(了解、回収班を向かわせるわ。到達時間は約五分ね)
「了解、アウト」
無線を切ってため息を付く
しかし、さっきの人は一体
なぜ生身でこんな所にいたんだろう・・・それもジャージ姿で
~主人公視点~
「はあっはあっ・・・」
俺は走っていた
行くあての無いまま走っていた
壊された民家
割られたガラス
荒らされた道路
折られた標識
標識はどこにでもある日本語で普遍のないものなので恐らくここは日本なのだろう
でも、俺がいた日本はこんなに荒れていなかったはずだ
「畜生・・・何なんだよここは」
弾痕が残る軍事車両
鉄クズと化した戦車・・・恐らく10式戦車だろう
俺が知る限り最新鋭の戦車が、見るも無残に破壊され道を塞ぐバリケードと化していた
「はぁ・・・休憩するか」
道端に放置された車のドアをこじ開け、座席で一息つく
眠い・・・意識が遠のく
睡魔に負けそうになった所で、バタバタとヘリと思しき音が空から響く
自らの危険を悟った俺は座席の奥に潜り込んだ
ヘリはかなり近く・・・しかも低高度でホバリングをしてるようだ
そして、ガシャッ と何か機械のような物が降りてきた
「{生体反応が近くにある・・・付近を捜索せよ}」
無線のやりとりが聞こえる・・・
「了解・・・見つけた場合はどうしますか?」
「{金属反応が無い、恐らく生身の人間だろう。射殺を許可する}」
っ!?今、射殺って言わなかったか?
ヘリのローター音が遠くなっていく
どちらにせよ、見つかって良い事なんて無さそうだ
体の感覚から見て、信じたくはないがここは夢ではない
さっきナイフを刺した時の感触も、やけにリアルだった
夢ではないのなら・・・
「生体センサーに反応・・・近いな」
敵は一人
恐らく先ほど会った兵士と同じようなアーマーを身につけている
こちらの武器はナイフ一本
相手は銃殺と言っていたから恐らく銃器を持っている
状況は圧倒的こちらが不利
警戒しながらドアの隙間越しに様子を窺う
相手の銃器は・・・AK系統だろうか
銃器は俺の知っている銃器っぽい。セーフティーは・・・まあかかってるわけないよな
物音を立てないように車の中を物色する・・・と
発炎筒
ティッシュ箱
空き缶
電池(単三電池が四本)
・・・武器として役に立ちそうな物無いな
さらに物色していると、思わぬ物を発見した
ライフル(恐らくM700と思われる)
猟銃のようにウッドストックではなくファイバーストック
装弾数は不明(猟銃と思う)
バイポット付きでスコープ(倍率不明)が付いている・・・対人仕様か
持ち主は持って逃げようとしたんだろうが、シートに付いている赤黒いシミがが真実言いたげにしている
弾薬は・・・408チェイタックだと?バレルが太いのは改造されてるからか
残弾数は箱に入ってた二十発・・・手入れをされてない事を入れると不発弾があるかもしれない
とにかく、この状況で武器は有難い
試しに一発、薬室に装填する
その時、力みすぎて装填に手惑い大きい音を立ててしまった
「今の音は何だ?」
ガシャッガシャッと足音が近づく
畜生・・・イチかバチかだッ!!
ドアを蹴り開けて、目の前にいる敵兵に銃口を向ける
「食らいやがれッ!!」
引き金を引いた
ドォンッ!!
銃声が静まりかえった住宅街に響き渡る
腰溜めの姿勢でライフルから放たれた弾丸は、運よく敵の防護されていない首の部分に命中し兵士の頭と命を奪った
人生初のライフル射撃・・・感想は、反動が思ったよりでかかった
でも人を殺すその感覚に、俺はもう何も感じない
二人の人間から命を奪った
そんな実感の湧かない感覚を、俺は妙に冷静に分析していた
「畜生・・・移動しねーと」
ボルト操作をして薬莢を薬室から排莢する
さっきの音で位置が連中に知られたかもしれない
痕跡を残さないように薬莢をポケットに入れ、倒れた兵士から拳銃を奪いその場を去ろうとした
ーーー瞬間
「そこの人!!銃を捨てて両手を上げなさい!!」
目の前に突然グレーの色をした機体が、行く手を阻むように道を塞いだ
口調から恐らく女だろう、さっき助けた女の子と同じような機体に身を包んでいた
そしてその手に構えられているM4の銃口は今、俺に向いている
ここで撃たれて死ぬわけにもいかないので俺はライフルを路面に置き、ゆっくりと両手を上げる
「民間人みたいね・・・身柄を保護させてもらいます」
畜生・・・でも、保護って事は殺されるよりは数百倍マシだな
それより・・・どんな勢力関係なのか調べないとな
目の前の人物が、俺にとって敵であるのか・・・否か
「分かりました。このライフルは持っててもいいですか?」
しかし何がともあれ武器が無いというのは心細い
「許可します」
・・・整備しとかねーと、この銃の持ち主に申し訳が立たない
そして自分に言い聞かせる
これは夢ではない、ゲームであると
現実ではない、ゲームだと
セーブもできない、死んだら終わりのストーリーであると
誤字脱語報告お願いします
M700にそんな魔改造出来ねーよとか言わないように・・・