赤ノ断罪 七
闇の中に絶音の哄笑が浮かぶ。
金ピッケルの柄の部分を噛み砕きながら。
黒キ一文字は嗤う。嗤い続ける。
竜喉に巣食う黒キ一文字は夢幻採掘を受けた瞬間に、全ての力を己を守るために集中した。
三聖光翼の反作用の力を別次元に逃す事すら取りやめて。
夢幻採掘の発動境界外である木製の柄の部分だけに触れる様に挟みながら。
夢幻採掘の発動境界域である金属部分を口内に咥え込み何も触れさせずに。
夢幻採掘の|反粒子制御伝達想定域《アンチパーティクル・コントロール・トランスミッション・アシュームドレンジ》である柄の部分を破壊して。
夢幻採掘の|対消滅可想力場《ペア・アナイアレーション・ヴァーチャル・フィールド》の発動を、全てを無に還す力を無効化し中断せしめたのだ。
宿主たる『赤ノ断罪』が反作用の翼に刺し貫かれる事をも容認して。
演るべき事はやったとばかりに黒キ一文字は音もなく竜喉の中に染みこんでいく。
そして、状況はそれだけに収まらない。
咥え込んだ夢幻採掘の夢幻の力は発動境界域である金属部分に留まったままだ。
それは力の制御下から開放され想念上に実在するディアラマの海を経て反転する。即ち、対生成の可想粒子へと。
ごくり、と嚥下音が聞こえた。
黒キ亀裂の口内に取り残されたピッケルの金属部分が。
無間のエネルギーを誇る可想粒子が。
竜喉の中に消えた黒キ一文字ごと『赤ノ断罪』が呑み込んだのだ。
ごくり、と嚥下音が聞こえた。
天を仰ぐ顎を逆翼に刺し貫かれながら。
ごくり、ごくりと嚥下音が聞こえた。
極上の蟲毒を呑み込んだかのような満足気な笑みが眼に宿る。
「うわぁぁぁああああああああッッッッ!!??」
瞬間、俺の身体は後方に弾かれるように飛ばされた。
夢幻採掘の力が中断されたが故に昇華し得なかった指向性ベクトル粒子が無秩序に暴発したあおりを受けて。
幾つかの粒子との衝突を経て十分に減速したベクトル粒子に飛ばされたのはむしろ僥倖と言えるだろう。
俺はそのまま後ろで膝を付き朦朧としていたメイルに衝突し、彼女を巻き込みながら果物の屋台に叩きつけられる。
色とりどりの果物がクッションになってくれたお陰で俺たちはさほどのダメージは受けなかった。
「う………………む……………………ぅ」
メイルは前後不覚に陥っているがこれは今の衝撃よりも生命流転の影響の方が大きい。
まいんちゃんによれば体力を使い果たした状態で半ば眠っている状態らしい。
とにかく、この場にうずくまっていていい時間は一秒たりとも無い。
俺はすぐさま立ち上がり備える。
あ…………れ………………!
立ち上がるどころか指一本すら動かせない。
視覚情報ウィンドウの中でまいんちゃんが青ざめた顔で口を開く。
「実際に発現した正のエネルギー粒子と昇華、散華した負のエネルギー粒子との間に齟齬が生じています。
これからプレイヤーの保護の為にシステムのスキル発動リカバリーレコードが緊急パッチを行います」
俺の顔を見てまいんちゃんがわかりやすく言い直す。
「つまり、スキルの不完全発動により位置軸の同期調整が発生してしまったのですッッッ!!
これより一分の間、位置を固定した状態で調整が行われます」
全身の血液が一気に足元に移動した。
そう錯覚するほどに俺の顔は青ざめていただろう。まいんちゃんに負けず劣らず。
「なッ…………………………!!?」
冗談じゃねぇッッッッ!!!
今、この状況じゃ一分どころか一秒ですら命取りになる。
一縷の望みを賭けて目線を上げた俺は世界の残酷さを知る。
天を仰ぎし、己が血に濡れた真紅の断罪者が貪り喰らう。
腐敗した甘露を口にねじ込まれたかのように貪り喰らう。
災厄を煮染めたかのように昏く爛れた逆翼を貪り喰らう。
「わ……たしの…………せいだ………………」
幽鬼の様な表情でまいんちゃんが崩折れる。
「私がッ、私がッ、『勘』だなんて…………余計なことを言ってしまったから」
「違うッッッ!!!」
「だって……だって…………私、…………やっぱり壊…………」
この悪夢を振り払うかのように激しくかぶりをふるまいんちゃん。
俺はそれに言葉をかぶせる。
「まいんちゃんの助言を聞いて、判断して、決定したのは俺だ。
全ての責任はこの俺にある。
それよりも現状の分析を……………………」
後悔と懺悔を述べることも、希望を持つことすら俺達には許されなかった。
総てを呑み込んだ悪食の顎が大きく開かれる。
真紅の口蓋の中には燃え盛る炎が渦巻いていた。
何の変哲も無い唯の炎。
竜の咆哮ですらない単純な炎による攻撃。
悪夢級でもない。
超越種級でもない。
『赤ノ断罪』のその名を汚しかねないあまりにもひ弱な攻撃。
だが、身動きできない人間を殺すには十分過ぎる攻撃。
破壊され尽くした瀕死の竜躯でも十分に制御し得る攻撃。
どんなに盛大な舞台でも。
どんなにつつしまやかな舞台でも。
どんなに面白い舞台でも。
どんなに眠気を誘う様な舞台でも。
幕引きは一瞬だ。
いやだ。
幕引きは一瞬だ。
いやだいやだ。
幕引きは一瞬だ。
いやだいやだ冗談じゃない。
俺は死にたくない。
俺は生きていたい。
一度死んでようが死ぬのは怖い。
死の恐怖なんて克服できる感情じゃない。
死の痛みなんて理解できる感触であっていいはずがない。
身体がゆっくりと自分のものじゃなくなる感覚なんて存在していい訳がない。
俺は絶対に死にたくない。
やりたいことだって。
したいことだって。
いっぱいあるんだ。
死なんて受け入れることなんて出来やしない。
絶対にッッッ。
あんな、寂しい思いなんか二度としたくないんだッッッッッ!!!!
そして、灼熱の熱量を持った紅蓮に揺らめく火炎の息吹が俺たちを包み込む。
熱風が顔を撫でる。
赤光が眼を射抜く。
轟音が鼓膜を叩く。
だが、それでも俺は。
「死にたくないッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!」
「そうだッッッ!!!!、それで正しいっッッ!!!!!!!」
漆黒の籠手が掴むは大盾
頭部の頭部甲冑から肩部甲冑、胸部甲冑、腰部甲冑、脚部甲冑
そして、それらを繋ぐ稼働部分の布皮部分すらもが見事なまでの黒作りの偉丈夫がそこに存在した。
完全武装の黒鉄鋼総身甲冑が吼える。
「死んでもいいとか、死を覚悟するとか、命を懸けるとか、犠牲になるとか、そんなもんはクソッ食らえだッッッ!!
誰かを守って死ぬとか、愛する人を守って死ぬとか、そんなもんは独りよがりのゴミだ、ゴミクズ野郎の 自己満足だッッッ!!
僕はあなたのために死ぬんですよ?自分はお前のせいで死んだんだ。俺はてめぇのせいでくたばったんだからなってな?
だから永遠にその心に刻み込んでくださいね。ずぅっと覚えていてくれよ。絶対に忘れるんじゃないってなッッ!!
巫山戯るなッッッ!!!!!!!
残された人間はどうなるッッッ!!!!!!!
残された人達にそんな重たいもんを残してくたばるんじゃねぇよッッッ!!!!!!
そりゃあなぁ、残された人、助けられた人はその重みにつぶされるか、その重みを欺瞞の詰まった想いに昇華して生きていくさ、生きていかざるをえないさッ。
だがな、だがなぁ・・・・
もう一度言うぞ?
ふざけんなッッッ!!!、そんな事が許されると思ってんのか馬鹿野郎どもがッッッ!!!!!
いいかッ?
戦いはなッ
戦いッてもんはな、家に帰るまでが遠そ、戦いなんだッッッ!!!!!」
「一平ちゃん、今遠足って…………」
「うっせぇ、雫、今いいとこなんだからだぁってろッッ」
「え、でも一平ちゃん、盾、溶けてるよ?」
「ひぇぅッ!!? ちょもまつぽォ!?」
俺はこの日ねじり鉢巻が似合う偉丈夫の気持ち悪い奇声を間近で聞いた。
その人は俺にではなく誰か別の人への想いをぶちまけているようだった。
まるで、子供が駄々をこねるように。
秀麗な金装飾が映える巨大な黒鉄真鋼の大盾が赤熱の炎を前に端の方からゆっくりと溶け崩れる。
黒き大盾の輪郭が徐々に赤黒くなり地面へと流れる。
鉄が溶ける熱と左右に流たれる赤炎が巻き起こした風が熱い。
だが、黒備えの姿に動揺は感じられない。
ヘルメットの面甲部分が上げられるといつもと変わりがない『アークガルド魚勝店』の主人の優しい眼が俺を捉えた。
「よおっ、なかなか面白ぇ事やってるじゃねーか。
俺達も混ぜろや?」
「一平さんっ、どうして此処に?
いや、今それどころじゃッ!!
盾っ、盾が溶けてるッッッ!!?」
「落ち着けよ。
世の中に慌てていい事なんざひとつもねーんだぜ?」
いやいや、今この瞬間ぐらいは慌ててもいいだろうッッ!!
てか、あんた今さっき『ちょもまつぽォ!!』とか言ってめっちゃ慌ててだろうが。
そんな俺の焦燥を見透かしながらことさらゆったりとした口調で話しかけている。
絶対わざとだ。
大盾が大きく傾く。
溶け崩れた溶鋼が大盾の下部から射出されている位置固定用の爪の一本を巻き込み溶かしたのだ。
周囲を乱虐する炎がますます猛り狂い火の粉を撒き散らす。
総身甲冑が軽く身体を屈めながら背中で語る。
「どうして此処にってか。
そりゃあ、おめぇ、あれよ。
ガルド湖でのんびり魚を釣ってたら、いきなり金緑の奴らが来てな。
なんか封鎖だとか避難だとか抜かしやがるからよ。
問い詰めたら『アークガルド』が大変な事になってるらしいじゃねぇか。
んで、『アークガルド』の転移門も使えねぇっと来たもんだ。
だから……走って来た」
にかっとまるでいたずら坊主の様な屈託のない笑顔で一平さんは答えた。
なんで……
「なんで……なんでこんな危険な所に…………」
「そりゃあ、おめぇ、あれだ。
なんか知らんがピッケル片手に大立ち回りを演じてる馬鹿がいるって話じゃねぇか」
ここで一平さんは言葉を区切って俺の顔を見つめてニヤリと笑う。
「こんな世紀の大演劇をみすみす見逃すとか馬鹿のする事だろう??
なっ?」
不覚にも涙が出そうになった。
だから軽くやり返してやる。
「ええ、そうですね。その通りです。
その演劇に参加する人は確かに馬鹿じゃないですね―――唯の大馬鹿です」
「違いねぇ」
俺の言葉に一平さんは嬉しそうに笑った。
一平さんはよく笑う人だ。
勿論、俺もこれまでに幾度と無くその笑顔を見かけてきた。
だからこそ思う。
ああ、この人こんな風に笑うんだ。笑えるんだ。
顔の筋肉の動き、眉の動き、角度などに違いが有るわけではない。
でも、自然にこの人が本当に笑う時はこういう時なんだなってわかってしまった。
本当に、心身ともに人を守る人なんだなって。
だからこそのさっきの言葉なのだろう。
自分が守れなかった人達に対する言葉はそのまま自身を責める刃となる。
何よりも、誰よりも許せないのはおそらく自分自身なのだろうと。
………………そしてそれならばできるだけしっかりと守って欲しいと願うのは贅沢な望みなのだろうか。不遜な思いなのだろうか。
わざとやっていると思っていたがもしかして何も手がないのだろうか?
何の変哲も無い唯の火炎の息吹だろうと。いくら瀕死状態であろうとも。
超越種が放てばそれは文字通りの悪夢となる。
耐火性能は折り紙つきの黒鉄真鋼製の巨大な大盾は既に2/3程度の大きさになってしまっている。
そしてそれを構えるのは至る所に炎と竜の紋様を用いた秀麗な意匠が光る漆黒の総身甲冑を着こなしている一平さんだ。
その姿は、ゆっくりと溶かされている大盾に合わせて窮屈そうに屈んでいる。
一平さんがこちらを見据えながら口を開く。
「俺が現役時代になんて呼ばれていたか知ってるか?」
さすがにそれは知らない。
俺が知ってた一平さんは単なる魚屋の主人でしかない。
「いえ……それは知りません」
俺の答えに満足そうに何回も頷く一平さん。
「そうかそうか、んじゃま、それを今から教えてやるとするかッッッ!!!」
黒曜石の様な色合いが光る籠手が大盾を離す。
荒れ狂う炎の奔流が一気に雪崩れ込む。
同時に両手の籠手を前に突き出しながら一平さんが叫ぶ。
「ダブルシールダーファーストとは俺の事だッッッッッ!!!!
出でよ、ダブルシールドォォォッッッ!!!!!!」
黒備えの総身甲冑の前に鏡合わせの様な装飾が施された二つの大盾が出現した。
その二つの黒鉄真鋼の大盾を両手で掴み構える黒き戦士。
両手大盾…………一切の攻撃力を捨て防御のみに特化する戦法
と、言えば聞こえがいいが要は唯の変態である。
そもそもでかくて重い大盾を二つ運用する場面は皆無に等しい。
よってその意義は限りなくゼロになる。
唯、その全ての論理を蹴っ飛ばすような規格外の場面があったならそこに意義は生じるだろう。
例えは今のような稀有なケースがこれに当てはまる。
しかし俺はそれどころではなかった。
あまりと言えばあまりのネーミングセンスに衝撃を受けた俺にさらなる追い打ちが加えられる。
ばちこんっ
俺は目にゴミが入ったかの様な歪な片目瞑りで一平さんに攻撃された(これはウィンクでは決して無い)
口は無意味に歪み尖っており、祭りの屋台によくあるあのお面を彷彿させる。
意図はわかる。
おそらく戦いに慣れてないこちらの緊張をほぐそうとして善意から出た行動だろう。
だが、物事には限度って言うものがある。
いくらなんでもほぐしすぎだ。
呆れを通り越し、怒りすらすっ飛ばし自失の境地に達しようかという俺のやるせない気持ちを引き戻したのはまいんちゃんだった。
「位置軸の同期調整は無事終了しました」
視覚情報ウィンドウの中の彼女は必要最低限の事だけを正確に教えてくれる。
その態度に先ほどの様なうろたえた様子はない。
そこには言葉ではなく態度で以って俺の信頼に応えようとする彼女なりの矜持が伝わってくる。
だから俺はこう応える。
「よしっ、行くとするか」
「はいッッッ!!」
だがまぁ、相変わらず抜けたことや面白い事をしてくれるんだろうなとぼんやり思う。
でもそれがまぁ、可愛い事は確かなんだが……………ほっ。
俺は俺の尻を狙う不届き者の俺の片手をもう片方の手で掴んで阻…………あれ?
予想に反してまいんちゃんは何のアクションも起こさなかった。
ただ、微かに顔を赤らめているような気がするが、ま、光の加減だな。
そして、俺は右手に握っているピッケルを手に駆け出…………あ。
……そうだ、俺の相棒である金ピッケルは破壊されてしまった。
一瞬にして全身から血の気が引いていく音が聞こえる。
夢幻採掘はあくまでも採掘スキル。
ピッケルを持たない俺に為す術はない。
以前は何本かのスペアのピッケルを持ち歩いていたが今はスペアのピッケルは持ち歩いていない。
理由はあまりにも金ピッケルが優秀過ぎるのと、その御蔭で大量の鉱石が獲れまくってインベントリカードがすぐいっぱいになってしまうからだ。
それでも俺は諦めきれなくて鞄の中にあるインベントリカードを取り出して詠唱する。
「オールアウトッッッ!!!!」
途端に、カードの中から数えきれないほどの種種雑多な原石が出現して地面にぶちまけられる。
目を皿のようにしてその中を探す…………無い。
そして、俺が二枚目のインベントリカードを手にした矢先にダブルシールダーの象徴たるダブルシールドが徐々に溶け落ちていく様が目に入る。
黒鉄の総身甲冑が叫ぶ。
「雫ッ、こっちはそろそろ持たねぇッッッ!!!!」
「うん……いま、やるね?」
斜め後方の半壊した建造物の屋上には藍染め花魁桜四季の上羽織を纏った人影が夕日を背に牡丹の様に艶やかに咲いていた。
きれいに切りそろえられたその深い藍色をした髪の流れはまるで自身が羽織った染模様の中に迷い込んでしまうかのように幻想的に揺らめいている。
そして、腰の後ろ辺りからは九本の色とりどりの花飾りが柳桜のように艶やかに彼女を彩る。
周りの空気すらも赤らめさせるような初雪の様な手には何時ぞやに見た黒狼小銃ではなく―――
赤鹿孤式施条銃が添えられていた。
形状としては極一般的な小銃に準じているが機関部に当たる部分が平たい円盤状になっているのが特徴である。
真上から見ると、ある簪と酷似している所から別名『平打簪』とも呼称される。
朱塗り造りの上に二匹の鹿と狐が戯れている様を金箔であしらった装飾が目を引くとてもかわいらしい銃だ。
尚、命名上のルールとして『赤』は支援を、『狐』は特殊用途を、『鹿』は威力偵察を意味する言葉だという事を記しておく。
それに加えて用途が三つ以上重なった場合の運用表記には語尾に『多目的』の文字を入れるという通例が存在する。
以上の点を踏まえながら運用上の表記をするとこの銃は特殊威力支援多目的銃と表記される。
噛み砕いて言うならばいろんな用途に使えるがやや防御支援よりの銃という訳だ。
ここで注意すべき事柄として単に銃の『名称』を表記する場合に『多目的』の文字を入れ『赤鹿孤式多目的施条銃』としてはいけない点だ。
『多目的』の文字はあくまでも『運用』における概念であるから銃の『名称』と混同してはならない。
故に、『名称』としては赤鹿孤式施条銃、『運用』としては特殊威力支援多目的銃と表すのが正しい。
(この命名のルールが適用されるのはこの銃の制作工房である『九九式』の制作物だけに限定されると言うことを此処に申し添えておく。
ちなみに『九九式』工房の制作物は緻密な造りの上に繊細な飾り細工に定評があり規模は小さいながらもその影響力は大きい)
彼女はまるでお座敷にて暇を持て余している者が寝そべっているかのような楽な、言い換えると少々だらしない格好で小銃を構える。
そして、軽く照準を覗きこむとおもむろに引き金を引いた。
撃ちだされた白き弾丸は『赤ノ断罪』が放つ火炎の息吹の奔流に一直線に向かっていき直撃する。
瞬間―――