赤ノ断罪 五
一瞬にして、一瞬にして血液が沸騰し視界が紅く染まる。
脳が煮沸し溶け崩れる。
全身が熱く灼け落ちる。
自分自身が際限なく加速している感覚。加速していく感覚。
まるで大気圏の突入時の如く空気と粒子との摩擦で俺自身が燃え滾る。
やがて光さえも置き去りにした俺は虚無の空間に包まれる。
行く手に見えるは夢幻の道筋。
1『兆』度を『越』え『至』る煉『獄』の果てにこそ『恐』れ『悦』び『極』みに『至』るただ『一』つの道が存在する。
俺はその道に足を踏み入れる。
だが、その寸前で俺の身体は軋みひび割れ悲鳴を上げる。
身体がばらばらになりそうなほどの負荷を受け、俺は俺自身でいる事が困難になる。
「後少し、後少しなんだッッッ!!」
減速し、歪む俺の目の前で光の跡を残して幽幻の如く消え去る唯一の道。
駄目なのか?俺は駄目なのか?ここで終わってしまうのか?
そんな物は認めない。
そんな事は許さない。
そんな終わりなんて『恐』れはしない。
「俺は、救わなければならない。ならないんだッ!!」
目が霞み、視界が黒く塗りつぶされる。
あと一歩、あとほんの一歩が永遠の楔にて幽閉される囚われ人の如く凍り付く。
そんな程度であるはずが無い。
こんな程度で終わるはずが無い。
あんな程度で『悦』ぶはずが無い。
「俺は、助けなければならない。ならないんだッ!!」
身体が黒炭の如く崩れ落ちる。
全身から急速に熱が失われていく。
行かなければならない。
往かなければならない。
『至』らなければならない。
「俺は、守らなければならない。ならないんだッ!!」
後少し、あと1ミリで全てが届くというのに―――
俺は『極』みに到達することが出来ない。
「なぜならばッッッッ」
だが、俺は『一』人じゃないッ。
「俺は救い、助け、守らなければならないからだッッッッッッッッッッ!!!!!!」
「そのまんまかよッ!?」「そのまんまですかッ!?」
もう一人の『自分』と『まいん』とのWツッコミの力により俺は夢幻之道を踏み抜き進む。
そして力の限り叫ぶ。
「アストラル式超過起動超越至獄の一、幽幻光跡……発動ぉぉおおおおおおおおッッッッッッッッ!!!!!!!!」
世界に光と彩りが還ってくる。
凄まじい熱と光を纏わせながら俺はこの場を背負って立つ。
眼天に立ちふさがるは超越種が放つ<千ノ落涙>
相手にとっては不足は無ぇ。
「いいですか?超過起動の活動限界は一秒です。
これはアークガルドの街全域を絶対防衛圏として設定してしまったが故の数字です。
事ここに至っては、一秒にて、一撃にて、一千を無に還す以外に道はありません」
「一秒か・・・十分だッッッッ!!!!」
慈愛の瞳から泣き堕ちる千の赤涙が人々の頭上に迫り広がる。
その全てに標的である光点が幽幻の如く揺らぎ煌めく。
そして―――
全てが光に包まれた―――
天も地も空も何もかもが白転する―――
俺のただ一振りにて宙に描かれた千の落涙は光の軌跡と成り果てる。
ただ一撃にて、ただ一秒にて全ては消え去り舞い落ちる。
今ここに、全ての『忌跡』は消え失せた。
天空に浮かぶ光の滝がアークガルドに降り注ぐ。
その様相はこの世の終わりか始まりか。
見るものを不安にさせるほどの美しい情景を俺は見ることが出来なかった。
視覚情報ウィンドウに表示されている緊急告知が消えてない。
それを疑問に思い行動しなければいけないのに―――
俺は見つめる事すら出来ない。
疑問に思う事すら出来ない。
しゃべる事すら出来ない。
考える事すら出来ない。
歩く事すら出来ない。
当然だ。
無理をすれば反動が来る。
賭けに負ければ代償を払わなければならない。
身体の全てから急速に熱が消えていく。
手足が冷たくなり凍りついていく。
心すらもが凍てつき 死んでいく。
―――寒い、寒い寒い寒いさむいさむいサむいさムイさムイサ―――
ガタガタと身体を震わせることすら出来ずに冷たい屍になっていく感覚。
全ての五感が失われていく感覚。
俺は最後の力を振り絞りうっすらと目を開ける。
そして見つめる。
現実は残酷だ。
勿論、仮想現実も残酷だ。
輪を掛けて。
こうして大地に横たわっているとよく分かる。
指一本すら動かせぬこの身体でもよく分かる。
大地を疾走る竜脈が脈動し動揺しているその様を。
迸るエネルギーの奔流が物理的な像を結び噴き出している様を。
その全ての力が『赤ノ断罪』の首元に集まりつつあるこの現実を。
それを見ていることしか出来ない己の不甲斐なさを。
何も守ることが出来ない、出来なかった自分自身のこの姿を。
目の前で真紅の中の漆黒が膨張する。
麗しの竜喉に穿たれ、刻まれた黒キ一文字。
その不吉なる漆黒の傷跡がぬちゃりとしたたり膨張する。
亀の歩みのようにゆるゆると頭をもたげ屹立する。
その漆黒の一文字が啜るは光り輝く竜脈粒。
いや、竜脈だけでは無い。
ビクビクと断末魔の如く震えながら食い破られる風脈流。
ドクドクと噴水の如く吹き出す天脈川。
白く濁った霊脈液すらも全てを呑み込み同化する恐るべき暴食の裂け目が其処に存在した。
そして、滞り無く儀式は終わった。終わってしまった。
終わりを生み出す始まりが狂気と狂喜を孕みながら今、産声を上げる。
ああやっちまったやってしまったなんてざまだこのざまはそりゃそうだよなあんだけ無理すればこうなるわな
動けなく る なまー即死しなかっただけめっけ んなのかな?はー、で これじゃ死んだのと同じだな死
でる おんなじ ていう かあいつ強 ぎだろ常考どんだけ戦っている 思っている だこ 野
・・・はぁ 死ぬ かな俺そりゃ死 な死んじゃう な明らかにあ 必殺技使お と てる んチャージ
してるもん必ず殺す つ う気配バッ バキにして んあーもーやっぱ逃げるべきだ っ なん よ
断罪っ ミ ぎる ろ初めて ともに戦った敵があん チ ト級の強ボスとかマジかん んなん けど
う い 選 肢を取った 点でこうな よな絶対にこう るよなあーなんで俺は逃 な った ろ逃
て逃げ 逃げ れ 況は悪く けど でもで 生きて れば かいいことがあ なす な とも べ
た 転がって るよ 惨め 状況 境遇に なら たよ あー も誓約と あった な俺があの場
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薙 払われるわじ あ だそ やはりアン ミテ マイン 力で く とね さ ね
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人 助 琥珀 俺自
人
遂 成 遂
助 由 要
馬鹿
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め
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―――ほんのりと、微かな温もりを感じる。
それは―――あるかないかわからないぐらいの小さなものだけれど。
0と1との狭間に揺れるとても小さな―――ほんの微かな暖かさだけれど。
凍りついた心を溶かし―――
凍えきった手足を溶かして―――
凍てついた身体を溶かしていく―――
手足に熱が戻り、心臓の鼓動が戻ってくる、全身を激しく駆け巡る血液の流れを感じる。
ふんわりとした柔らかい感触。
しっかりと抱きとめられている感覚。
甘い香りが鼻腔をくすぐる嗅覚。
さらさらと銀砂のような髪が顔に掛かる触覚。
目の前に泣き濡れた瞳が映る。
微かに震えるその睫毛が彼女の心の内面を水月の様に伝える。
だが―――
「まったくなんて様じゃ、この体たらくは」
その瞳は潤いを増し。
「たかが超越種如きにこんなに、こんなにもボロボロになりおって」
堪えきれずにその頬を濡らす。
「馬鹿じゃ、とんでもない馬鹿者じゃ。天下一のうつけものじゃ」
そのしなやかな手は白くなるほどに握りしめられ。
「こんなざまではこの先が思いやられるわ」
小刻みに震える肩が全てを裏切る。
「おいおい、奴隷の主人って奴は結構重労働なんだな。知らなかったぜ」
滂沱と流れ出るその涙を拭いもせずに不敵に笑うメイル。
「ふんっ、我が主を務め上げるはこの程度で済むと思うてもらっては困る。
生涯の伴侶となる主には更なる艱難辛苦が待っておろう」
赤く泣きはらした目尻が濡れ光る。
「望む所だ」
俺はその震える肩を身体を強く抱きしめる。
「よくぞ申した。よう云うた。
それでこそ我が主。なればこその主様じゃ。
では・・・とくと尽くして進ぜよう」
頬に白魚の様なほっそりとした手が添えられる。
不意に唇に柔らかい物が重ねられた。
それは次第に熱を持ち、より強くより激しく押し当てられる。
その熱き奔流は俺の身体の内側に流れこみ、冷えた身体が凍えた身体が疲れきった身体が今一度、熱を力を取り戻す。
その感触は心地よく。
その熱さも気持ちよく。
強く、しっかりと抱きしめている感触が。
優しく、柔らかく抱きしめられている実感が。
俺の全てを奮い立たせる。
そして、しばしの時を経て名残惜しそうにゆっくりとゆっくりとメイルの身体が離れていく。
最後にしっかりと重ねられた彼女の唇がふわりと離れる。
「古来より男子を勃たせるは女子の努め。
行けッ、そして生きて帰ってくるのじゃッッッ!!!!」
生皮が剥がれ血まみれの足首を引きずりながら彼女は凛と言い放つ。
そして、微かに震えるその口元が最後に小鳥がついばむように軽く微かに俺の唇に触れる。
「もう十分に奮い立っているんだがな」
「また先程のような無様な姿を『魅せ』られては堪らんからのぅ。
おまけじゃ、の?」
悪戯っぽく笑おうとして泣き笑いの表情になるメイル。
そのくしゃくしゃに泣き濡れている涙を拭ってやりながら俺は軽く唇を重ねる。
「やられっぱなしは性に合わないからな、お返しだ」
一瞬、柳眉を顰めた後に思い切りよく笑顔を作る。頬に涙の跡を残しながら。
「一度くれてやった物を突っ返されるとはのぅ……ワシも舐められたものじゃ。
この借りは昼飯での蜂蜜団子全席にて返してもらうとしよう」
「それだけは勘弁」
そして俺は『赤ノ断罪』に向き直る。
「……大した色男っぷりですね」
おうふっ、この今では聞き慣れた声は・・・
「全部見てましたよ。全く、貴方達はこの非常時に『ナニ』をしているんですかッ。馬鹿なんですか?」
「え、いやー、やっぱその場の雰囲気とかそういうものが……なッ?」
まいんが氷点下の眼差しでこちらを睨みつけてくる。
なんで?なんで俺睨まれてるの?
「なッ?、じゃありません。
全く、貴方達の『生命流転』により私までもがおかしくなってしまったじゃないですかッ
一体全体どう責任を取ってくれるんですかッ」
「生命流転?」
「そうですッ、元は『奴隷の命を影武者の如く使い潰す非道な術式』で貴方達の誓約システムに組み込まれていた物です。
それをメイルさんが弄って任意の生命エネルギーのやり取りが可能な術式に組み替えたんです。
全く、どれほどの知識と技量があればこんなむちゃくちゃな事が可能となるのかと……。
っていうか、メイルさんの生命エネルギーが全死状態の貴方に流れ込みシステム全体がへんな風に再生されたおかげで私の中にあんなものやこんなものや余計なものがいっぱい入ってきちゃったじゃないですかッ。
どうしてくれるんですかッ? 文法、倫理、順列、可逆、その他諸々種種雑多の大量のエラーの洪水………………………………
ああああああああああっ!??、何この雑音まじりの無駄な思考アルゴリズムッ、思考欠落どころじゃないじゃないですかッ!?
論理演算に真っ向から喧嘩売ってるような矛盾だらけの走査検索フローチャートはッ!?
もぉおおおおおおおおおおおッ、エラー表示、警告表示、見渡す限り真っ赤じゃないですかぁぁぁああああああッ!?
嫌ぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああッッッッ」
視覚情報ウィンドウの中をまいんが真っ赤になりながら暴れまわる。
「お、落ち着けッ、なッ?とりあえず落ち着こうぜ?」
ピタリと動きを静止するまいん、その首がぎぎぎとこちらを向く。
ひぃッ!?
「落ち着け?ええ落ち着いていますとも。
少なくともどこぞの女と乳繰り合っている能力保持者よりかはッ」
デフォルメされた大粒の涙をぶら下げながらこちらを睨むSDキャラ。
ああ、涙もSDなんだ。
と、思ってしまったのが運のツキ。
「えーえー、すいませんね、申し訳ありませんね。
そこのメイルさんのような流麗精緻な涙じゃなくてごめんなさいね。
ローポリゴンのシンプルな涙で……ねッッッッッ」
「痛ぇぇぇぇえええええええッッッッッッ!!?」
『ねッ』に合わせて脇腹がおもいっきり捻り上げられる。
それも女の子の手ではなく男の手で、なんの手加減もなく力強く捻り上げられた。
勿論それは俺自身の手である。
当然の如く俺自身の意志ではない。
まいんが俺の神経経路に強制介入するという100%反則の荒業を成した末の結果であった。
そこには自分の脇腹を自身の手で捻りあげて悲鳴を上げているちょっぴり危険な男の子の姿があった。
「当たり前です。痛くしているんですからッ。ふんっ」
「ちょ、まいん、これはさすがにひど……」
「まいんちゃんッ!!」
視覚情報ウィンドウにどアップでまいんの顔が写る。
「えぅッ!? い、いやこれじゃ何も見えないだろっ。落ち着けまいん」
「まいんちゃんッって呼んで下さい、いや呼べっ、いいから呼びやがれですこの野郎」
駄目だこいつ早くなんとかしないと。
「駄目ッ? 今駄目ッって言いました?思いました?ふ、ふふふふ、ふふふふふふふふ」
「わかった。まいんちゃん。俺が悪かった。許してくれまいんちゃん」
瞬時にヘブン状態になるまいん、いやまいんちゃん。
そしてその姿が視覚情報ウィンドウの定位置である右下に戻った後に俺は目撃する。
数多の忌跡の果てに産み『上げ』られたその『モノ』を。
乱杭竜牙の隙間から芳しい獣臭を漂わせながら血塗れの歌姫は唄う。唄い続ける。
逆巻く鱗をぬらぬらと艶めかしく纏わせながら優美に優雅に唄う。唄い続ける。
災厄の赤竜眼は優しく全ての命を見つめながら厳かに凛と唄う。唄い続ける。
天と地の狭間を産道として災厄の顎から産まれ昇るは三聖頌。
頌は聖を讃え翔を成す。
眼前の真紅の巨竜から天空に向かって三筋の光の翼が飛翔する。
「三聖光翼―――過去現在未来でそれぞれ恐怖、慈悲、終末を唱えた者に授けられる大いなる剣です。
当然の事ながら未来で終末を唱える事は如何に仮想現実世界といえども不可能です。
ですので設定上の力だと認識していたのですが…………まさか実在していたとは………………」
其は全ての鎖を、全ての楔を『時』放つ者也。
其は全ての倫理、全ての法を喰い『契』る者也。
其は全ての生を、全ての『子』を孕む者也。
其は全ての災厄、全ての絶望を『罪』重ねる者也。
赤キ竜喉の黒キ傷跡が醜く歪み地脈を咀嚼する度に顎から立ち昇る光の奔流が大きく力を増していく。
天に向けて咆哮しながら地そのものを貪り喰うという不可能と天地の狭間を揺り籠として全てを越える力を産み出す孵化能が今並び聳える。
誰も手を触れられない、触れるべきではない、触れてはいけない終の舞台の袖に不埒な観客が乗り込んだ。
立ち向かうは黒雷に打たれ、赤炎に燃やされ、黒渦に閉じ込められ、雷球に刺し貫かれ、獄落焦土に灼かれ、慈愛に包まれ、己が心の澱に溺れ、煉獄の果てに消し炭にされ、命を落とした後に死力を尽くされし者也。
立ち向かわれるは黒雷にて打ち滅ぼし、赤炎にて燃やし尽くし、黒渦にて幽閉し、雷球にて刺し貫き、極楽焦土にて灼き堕とし、千ノ慈愛にて包み込み、千の光にて幽幻となり、時の理を嘲笑い、先の世にて終の咆哮を成したモノ也。
之こそが天と地の狭間を繋ぐモノ、生と死の境界線を潜り抜けし者達。
其は全ての災厄を祓い、穿ち、朽ちさせる『災』朽士
生と死を超え、超越者をも越え果て往こうとする者。
名を石金拓也と申す者也。
決して越えられぬ境界線を越えし『モノ』と『者』が今、相対する。