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ゑ12! 「家系図を見たら案外偉人もいたりして」

 テーベが口にした【覚醒】。

 その意味が分からずに、問い返す。

「覚醒…って、どういう意味だよ……」

 テーベは額に皺を寄せ、言葉を探している様だ。

「つまり……例えば、君達みたいに神と人間の間に生まれた子がいるとするだろう?……その子に流れる神の血が、強く体に影響を及ぼす、というか……」

 そこで、一旦躊躇するように言葉を濁らせる。

 だが、すぐに決意した様な顔になって、口を開いた。

「実は、君のお姉さんの【覚醒】は、朝には起こっていたんだ」

「朝に……?」

 様子がおかしかったが、流石に神とか、そんなのには見えなかった。

「彼女の、影が、黒くなったんだよ」

 ………ショボくね?

 だって、今は森ごと闇に包まれてんだぜ?

「それだけ……なのか?」

 思わず疑問を口にすると、テーベが困った様な顔をした。

「それだけ…でも、凄い事なんだよ………君達が引いてるのは、闇神の血だ………例えガルマラの上級神だとしても、人の血が混ざれば、弱くなってしまう」

 ………?

 だが、今は森ごと………。

「【覚醒】したとして精々、普通の人より凄い身体能力になって、闇の中でも自由に目が見えて、……後は、光に少し弱くなる、くらいだ」

「え………だって」

 自分で言っただろ?

 影が濃くなったって。

 そして、何度も言うが、森の事もある。

 テーベは、はっきり困惑していた。

「有り得ない、筈なんだ………百歩譲って、影が黒くなるのも、闇の血が【覚醒】して、出来た事だとしよう。でも、だ」

 言葉は、断言するようで、きっと間違いはないのだろう。

「絶対に、あんな事は、出来ない」

 森ごと、闇で包まれていた。

 それが、嘘だと言うのだろうか。

「有り得ない。神と人の間に生まれれば、弱くなるのが当…………」

 カチャン

 テーベが、口に運ぼうとしたお茶を、取り落とした。

 床に染みが広がり、ローブも濡れているが、そんな事は全く気になっていないようで、テーベは掠れた声 を出す。




「神と………人じゃ、な、い……?」





「神と、人じゃあ、無いのか……?」

 …どういう事だ?

 すると、テーベはこちらを向いて、必死の形相で言ってきた。

「ま、まさか、君の父親は、人間じゃないのか!?」

 ……はぁ?

 突然何を言い出すのだろうか。

「アレが人間じゃない?絶対アレは人間だろ……」

「いいえ」

 今まで静かに聞いてきた黛が、口を挟んだ。

「私達の父は、人間ではありません」

 ああ、時々思う。

 こいつは、何故大事な事を早く言わないのだろう、と。

 だけど、それは当然なのだ。

「一匹の、大蛇です」

 こいつは、どれも当然の事実としか思って無いのだ。

 ……ていうか、母はビッグバンでは蛇の元について、そして蛇に恋をしたのか。

「どんだけ蛇好きだよ母さん!」

 俺の現実逃避の叫びが炸裂し、うとうとしていたラムネスが目を覚ました。



「一匹の、蛇だって……?」

 テーベが目を細めた。

「まさか、ガルマラにいる蛇神の一人って言うんじゃないよね」

 その言葉は、黛を牽制しているようだ。

「えぇ、違います」

 あっさりと否定した、黛は、

「北欧神話の、ヨルムンガンドですから」

 ………俺の精神に容赦なくダメージを与えやがった。

 北欧神話だぁ?

 知らねーよそんなん!

 だが、テーベは驚きを表現するだけで、ちゃんと理解しているようだ。

「……起こしたのかっ!?ヨルムンガンドを!?」

 分からないから、聞いてみた。

 が、話が長いから割愛。

 代わりに、秋川!頼んだ!


秋川「愛沙の、おしえてー!かいせつこーなー!」

秋川「というわけで!ヨルムンガンド!」

秋川「これは、北欧神話にとうじょーする蛇で、ロキってのと、ア…なんとかって巨人の間に生まれた蛇で、兄弟にはふぇんりる、へるがいます!」

秋川「んで、ヨルムンガンドは主神オーディンに海にすてられちゃうんだけど、たくましいことに、にんげんのすむ……えーと、何とかっていう世界に巻き付いちゃうのです!」

秋川「じぶんのしっぽをくわえてねむりに就くんだけど、北欧神話での世界の終焉である、ラグナロク!のときには、ヨルムンガンドが目を覚ますことから世界の終わりがはじまるんだって~!」

秋川「ヨルムンガンドのとくちょーは、すんごく大きいことと、トールにミョルニルで殴られても三回までたえるがんじょーさと、後はトールをもころしちゃう毒です!」

秋川「分かったかな?わからない人は、うい、うぃきっ、………読めないよ」

※諸説有ります。作者はヨルムンガンドに有った事が無いので、分からないです。


 と言うわけだそうだ。

 へぇー、目が覚めたら世界終わってんだ。

 ………んなんだとっ!?

「大丈夫です、母が眠っている父を見て恋をし、父もまた、目を覚ましてすぐ、母に一目惚れしましたから」

 危ないなぁおい!

 まぁ、北欧神話の話だから、日本にはかんけーないかもな。

「……そんなんで良いのか、ヨルムンガンド…」

 テーベが頭を抱え、呆れている。

 と、次の瞬間、絶叫した。

「ヨルムンガンドだぁ!?そんなのインチキだろ!!」

 明らかに混乱している。

「だけど、それなら納得いく…いくか?いくか!!何で北欧神話の大事なキーメンバーと結婚してるんだよ!!」

 テーベは絶叫しながら、思いを五分ほどに渡ってぶちまけた。

「はぁ…はぁ…わかっ、たよ…それで、あんなに、つよいん、だな」

 息切れしている。

 ん?零れたお茶が見当たらねーぞ?

 ローブも乾いてるし。

 ……こいつ、何気に魔法使うよなー。

 まぁ、掃除しなくていいから、有難いけどさ!

「くそっ、まずいぞ……神と巨人の間に生まれたヨルムンガンド。それが、もう一度神の血と混ざり生まれた子……ヨルムンガンドは、神のハーフにしては珍しく、有り得ない程の強さを誇った。そのヨルムンガンドと、あのガミガミ女の子供なら、………まずい事になる」

 テーベが言う言葉で、何となく凄いまずいのが分かった。

 ………つまり分かってないんだけどね!

「黒柱に、敵う筈が無いのに、半端に強い力を持てば、………葵さん、暴走しかねないぞ……」

 暴走……その言葉に、何故か胸騒ぎがする。

 例えばの話だが、もしもあの闇が俺達を拒絶せずに、もっと多くの、あの森ごと、拒絶していたら、どうなっていただろうか。

 黒より暗い闇のお陰で、森が無事なのは分かっている。だが、もしそうなっていたら、テーベの欠けた手の様に、森も消えてしまったのだろうか。

 ……いや、葵はそんな事はしない。

 考えるのはよそう。

「葵さんの理性に賭けるしかないが、取り敢えずあの様子じゃ僕達の介入は不可能だ……そこで」

 テーベは、一度全員をしっかりと見た。

「ガルマラに、先回りするぞ」

 ……出来るのか?そんな事が。

「……ガルマラの入口の森は、塞がってるだろ?」

 すると、テーベが呆れた顔をした。

「まさか君は、ガルマラの入口がここだけ、とか思ってないだろうね?」

「違うのか……?」

 あれ?……いや、ガルマラは大陸だし、当たり前なのかな?

「……じゃ、君は、清水が【シュバイツの森】に行く時、ここから行ったとか言うのかい?そんな訳ないだろ」

 ん……ああ、それもそうだな。

 ……でもなんか納得できない。

 …………そうだよ!!

「じゃあ何でお前らはわざわざここにいるんだよ!?」

 きっちり説明して貰うぞ!

 そう言うと、テーベははっきりと軽蔑を顔に浮かべ、馬鹿にした様に言った。

「その頭は鶏か?君が呼んだんだろうが!」

 ……そうだったな…………。

 ……確か、一昨日だっけ。

 ここ二、三日の事が、何故か長く感じられる……。

 何か人生の色々が凝縮されたって感じだ。

 だって、俺はこの3日間に、

 ……神に会って、学校で大泣きして、親友が【狼】で、変な騎士に会って、森に入って、死んで、親が神で、生き返って、女になって、見も心も裸にされて、その上、人間じゃ無くなった。

 ん?いつ人間じゃなくなったかって?

 そりゃあ、生まれる前からさ!

 神と蛇の間に生まれたんだぜ?

 …何者だよ。

「…このところ色々あって、忘れてたんだよ……まぁ、という事は、お前らはしばらくガルマラに行っていて、ここにゃいないんだろ?」

 そう尋ねると、テーベは目をぱちくりさせた。

「何言ってるんだ、君も行くんだよ」

 ……ん?どこに?

「君のお姉さんの事なんだ。……まさか、来ないとは言わないだろうね…?」

 ……だって、明日学校だもん!

 …行きたくないよぉ…………。

 ……こんな姿でめそめそしたら、間違いなくか弱い女の子になってしまうので、泣くのを我慢する。

「君のクラスメートもね」

「泣いてやるっ!……て、は?」

 何を言ってんだ、こいつは。

 頭でも打ったのだろうか。

「……出来る訳ねーだろ、ばかじゃねーの?」

 すると、テーベは不思議そうな顔をし、信じられない事を言った。


「あれ?言って無かったっけ?君のクラス、何人かジーニャに騙されてるよ?」


 …………どういう事だ。

【…俺だけじゃなかったのか……?】

 清水が驚いている。

 いや、待て。

 意味が分からん。

「そ、それじゃあ、そいつらも【狼】って事か……?」

「いーや、違う」

 テーベは首を振って否定した。

「みんな、代償に魂を払ってるよ」

 …………。

 …………いやいや、冗談キツいって。

「なんだ、じゃあそいつらは、その…………魂が、無いのか?」

 テーベは首を振り、ちらと清水に目をやった。

「普通魂を代償にすれば、死と共に捧げる事になる。……まぁ、捧げる相手は死んだから、その必要は無いんだけど、ね」

 ……ちょっと待て、それじゃあ。

【俺は、無駄に人間を捨てたって事か…………?】

「清水、大丈夫だ!あはは、俺って狼大好きなんだよな~」

 慌ててフォローするが、清水は目を合わせようとはせずに、ボソリと呟いた。

【悲鳴上げた癖に】

「え、いや、あれは、その…………うぅ、だってぇ~……」

 言い訳が出てこずに、追い詰められて涙が出てくる。

【ば、馬鹿、泣くなって!】

 清水が鼻を俺に押し当ててきて、………恐ろしくて、涙が加速した。

 ………取り敢えず明日、その騙された奴らが誰なのか、確認してみよう。





ゑ12!終わり

ゑ13!に続く

今回はここまでですっ!

…いや、別に北欧神話を絡ませる事はしないですよ?

期待してた皆様、ごめんなさい。

警戒してた皆様、おめでとうです。


ヨルムンガンドは、ただおっきな強い蛇だったので出しました。


蛇好きです。


へび

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