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プロローグ

注!

この小説は、12%の涙と13%のハラハラ、25%の笑い、そして50%の思い付きで構成されています。実際の登場人物、作品、名前、団体、その他もろもろは一切関係ないので、ご了承ください。


プロローグ


 何か起きないだろうか。

 俺の人生観をまるごと変えるような何か。

 本や漫画、アニメやドラマの様には世界は動かず、ただ静かに時を刻むだけだった。

 高校生になれば何か変わると思っていた。

 だが、現実は結局こうだ。

 面倒で部活にも入らず、友人もそこそこいるが、特にすごくもない生活。

 要するに普通だ。

 今もこうして青春あふれる放課後の、当分暮れそうにもない太陽のしたを、家を目指してただ歩く。

 特別な事など何も起こらず、ただ過ぎていく毎日。

 要するに、暇ってやつだった。

(あぁ、何か起こらねーかな……例えば…)

 -「なぁー、ガルマラまだかー?」

 「もう少しだってずっと言ってるだろ!もう日本だから、後ちょっとだよ!」-


(例えば…困っている美少女が突然現れて、何だかんだで俺が世界の救世主になったり)

 そんなイタい事を考えながら、道を進む。

(なんなら、救世主の悪友Aでもいい。…清水、突然救世主になんねーかな…)


 -「テーベ、腹へったよ~」

 「知らないよ!どうせ食べる意味無いんだから、一人前に腹をすかすな!」-


(…あいつ何でも出来るからな…。主人公補正かかってるかもしれん…。来週あたりに突然「頼みがある」って言ってくりゃ、悪友Aとして何も言わずに引き受けるのに…。)

 他人任せの俺だった。

 そんな可哀想な俺は、人通りの無い道を…って、ん?人通りがある。

 この道は普段から人通りも少なく、正直人を見かけたのは数ヶ月振りかもしれない。

 珍しい事この上ないように感じたが、上には上があった。

 なんつーか、変人?

 小学校低学年のように見える男の子と、中学生ぐらいに見える男子、友達同士……は年齢的に無いかな。

 兄弟のようにも見えるその二人は、先程言ったように変人だった。

 …………失礼、訂正しよう。

 見た目で人を判断するのは良くないしな。

 二人は、ありきたりな表現だが仮装大会の帰りみたいだった。

 中学生の方は、皮で出来た鎧を身につけ、日本刀を腰に差している。鎧が外国っぽいデザインの為、西洋の剣士か、日本の侍なのか分かりづらかった。仮装としては失敗だな。

 小学生は間違いなく魔法使いだろう。小柄な少年の全身を覆う長いマント(ローブだっけか?)をつけ、首から下は見えない。布一枚の変質者でなければ魔法使いだ。

 俺は仮装大会なんてあったかと首を捻りつつ、二人の横を通り過ぎた。

 ……通り過ぎちゃった!仮装大会?いやいや、これは何か起こったんだろ!

 俺が待ってた「何か」!(美少女いないけど!)

 期待を込め急いで振り返ると、そこにはもう誰もいなかった。

 ……いないよ!チャンス短っ!俺の独白は読むのに五秒以上かかろうと、現実では一瞬のはずなのに!!

「くそっ!待ってた〈何か〉が!俺の人生はただつまらないだけなのか!?」

 さて、現在時刻は日の高さから見ても分かる通り、2時を少し回った所だ。

 家の夕飯は7時からで、夕飯に間に合いさえすれば、それまでは何をしても良いのだ。

 そう!例えば鬼ごっことか!

「4時間と30分…。町中を駆け回るか…。ふふ、楽勝だぜ!」

 健康的な走りの計画を立てる俺だった。

 今から追えば小学生がいる時点で追いつけるだろう。

 そして俺は、せっかく歩いてきた道をくるりと振り返り、猛スピードで逆走したのだった。

「待ってろよ〈何か〉!俺が救世主だ!悪友A?何ソレ?清水の関係代名詞か?この町全部とか狭すぎるぜハッハー!」

 高笑いしながら猛ダッシュする高校生。明日学校で間違いなくイタい目を見る可哀想なソイツは、俺、たちばな 瑠璃るりだった。

 いや、男だよ?



 数々の負けフラグを打ち立てた鬼ごっこは、ただの健康的なランニングだった。

 だって相手が見つからないんだぜー?

 つーか

 見つからないって。

 俺は町中では無いにせよ、この辺りのほとんどを回ったはずだ。

 相手は小学生と中学生の二人連れで、しかも歩いていた。

 それなのに、猛ダッシュでも見つからないって…。

 初めの30分は少なくとも可能性があったが、徒歩ならば4時間もこの辺りをぶらぶらしたりしないだろう。

 つまり、完璧に見つからないって事だ。

 当分暮れそうにも無かった太陽は、既に町をオレンジに染め上げていた。

 時計を見ると、夕飯までもう時間がない。

 俺はため息と共に、家へ向けて歩き始める。

 歩きながら、ふと考える。

 現実的に考えれば、あの二人組が突然消えたのはおかしい。

 通り過ぎて、振り返ればもういないなんて、どこの怪談だ。

 少し発想を飛躍させれば、一つの可能性が浮かんでくる。

「……まさか、瞬間、移動…だと?」

 …………要するに、俺が変になって、幻覚を見ていたという可能性。瞬間移動とか言っている辺り、案外的外れではないかもしれない。

 …えっ?マジで幻覚見てた?

 そんな将来が危ないヤツみたいな事が高二で起こるなんて…。

 俺の健全な将来を守るためにも、あの二人には、仮装してすれ違った人を驚かす、という、訳の分からん特性を持って貰おう。

 …マジでわけわかんねー。なんだその暇人二人。

 考えていたら自然と足が止まっていたようだ。

 太陽は沈みかけ、東から闇が昇ってくる。

 そろそろ本格的にまずい。

 俺の家は夕飯に子供が全員揃わないと絶対に箸に手をつけないからな。

「…はぁ…帰るか。」

 この前は姉にどやされたからな…。何だかんだ言っても食べようとしないのは、家族の絆…などではなく、単に妹が恐いからだろう。

 足を家へ向けて歩きだした俺は、ため息が出る程変わらない帰り道で、ただ思うだけだった。


(…つまんねーの)



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