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青いキラキラの村  作者: バッシー0822


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27.新宿の塔

武蔵野の緩やかな森を抜けた先に現れたのは、もはや「街」と呼ぶにはあまりに巨大すぎる「鋼鉄と植物の山脈」でした。


新宿、緑の巨塔と「狭い空」

かつての超高層ビル群は、幾重にも重なる蔦や苔に覆われ、まるで空を支える巨大な柱のようにそびえ立っています。道はビルの崩落を避けるように不自然に曲がりくねり、ピコとフウカを巨大な迷宮の奥深くへと誘い込みました。


「なんだか……空が狭いですね」


上空を泳ぐ昭島クジラが、低く響くような声で呟きました。ヨコタの広大な滑走路や立川の開けた空を見慣れた彼らにとって、ビルが視界の両端から迫りくる新宿の光景は、圧倒的な圧迫感と、正体の知れない不気味さを放っていました。


1. 影から現れた「街の住人」

スクーターが曲がり角に差し掛かったその時、ビルの影から一人の青年がぬっと姿を現しました。着古した革ジャンに、廃材を組み合わせて作ったような派手な装飾。その目は、ピコの乗るピカピカのスクーターを獲物のように値踏みしていました。


「おい兄ちゃん。随分とまぁ、珍しいもんに乗ってるじゃねえか」


青年のガラの悪い声に、フウカは「ひっ」と短い悲鳴を上げてピコの背中にしがみつきました。ピコも緊張でハンドルを握る手に力が入ります。


2. 空からの「一睨み」

青年の手がスクーターのハンドルに伸びようとしたその瞬間、周囲の空気が一変しました。


真上から巨大な影が降りてきたかと思うと、昭島クジラの巨体がビルの隙間を埋めるように静止しました。クジラのセンサーが赤く明滅し、青年に向けて「威圧」の波動を放ちます。


「そこのお兄さん。……まさか、この少年に手を出すつもりじゃありませんよね?」


チェンのスピーカーが増幅したクジラの声は、ビルの谷間に反響して雷のように轟きました。


「ぎょっ、ぎょえぇ……!? な、なんだよお前、こんなおっかないもん連れて歩いてるのかよ!」


青年は腰を抜かさんばかりに驚き、数歩後ずさりました。しかし、クジラの圧倒的な存在感に抗えないと悟ったのか、すぐに両手を上げて、引きつった笑みを浮かべました。


「ま、まぁそう怒るなよ! 俺はただ、挨拶しようと思っただけだ。仲良く行こうぜ、な?」


3. 新宿の「掟」

青年の態度の急変に、ピコは少し拍子抜けしながらも、警戒を解かずに頷きました。


「……僕たちは、ただ通りたいだけなんだ」


「ああ、わかったよ。この先はもっと道が入り組んでる。『新宿御苑』の連中に会うつもりなら、あんまり高いビルには近づかないこった。上から『何か』が降ってくるかもしれないからな」


青年はそう言い残すと、またビルの影へと消えていきました。


新宿の深部へ、光と影の迷宮

新宿は、国分寺の穏やかなお茶会とは全く違う、「サバイバル」の匂いがする場所でした。


昭島クジラがいる限り、手出しをする者は少なそうですが、ビルの隙間を泳ぐのはクジラにとっても至難の業です。


見え隠れする視線: 窓ガラスの割れた廃ビルからは、他にも多くの「住人」たちがピコたちのスクーターを覗き見ています。


状況分析

脅威レベル分析 (by チェン)

物理的障害ビルの崩落跡。スクーターで通れるルートは限られています。

対人接触縄張り意識の強いグループが存在。昭島クジラによる威嚇は有効です。

未知の信号ビルの屋上付近から、微弱なデジタル信号を受信中。誰かが「管理」している?

新宿のジャングルを抜けるためには、あの青年の言っていた「新宿御苑」を目指すのが良さそうです。そこには、国分寺の嘉右衛門さんが言っていた「庭園の民」がいるはずです。



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