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青いキラキラの村  作者: バッシー0822


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25.公園跡の屋敷

第一の休息地、国分寺・殿ヶ谷戸公園

立川を出てから数十分。かつての「中央線」の線路跡は、今やオレンジ色のコスモスと深い緑が交互に現れる美しい一本道になっていました。


「ピコ、見て! あの大きなビルの残骸のすぐ下。あそこが国分寺だよ!」


フウカが指差した先には、駅ビルの鉄骨を飲み込むようにして生い茂る巨大な森がありました。そこが、今回の旅の最初の寄港地、殿ヶ谷戸公園です。


1. 湧き水と「座敷」の楽園

門をくぐると、外の廃墟の暑さが嘘のように、ひんやりとした風が吹き抜けました。崖の上からコンコンと湧き出る清水が、小さな滝となって池へと注いでいます。


その池を見下ろす高台に、驚くほど手入れの行き届いた古い和風建築――紅葉亭こうようていがありました。


「いらっしゃい。立川の風車が直ったという噂は、風に乗ってここまで届いているよ」


縁側に座っていたのは、白髪を綺麗に束ねた老人、嘉右衛門かえもんでした。


2. 嘉右衛門の「昭和・江戸コレクション」

ピコは、嘉右衛門に招かれて座敷に上がりました。そこには、ヨコタの無機質な基地とも、立川の農家とも違う、独特の世界が広がっていました。


江戸の知恵: 電気を一切使わない、竹編みの籠や、炭で湯を沸かす鉄瓶。

昭和の遺物: 廃墟から救い出された、ゼンマイ式の柱時計や、手回しの蓄音機。

お茶会の儀式: 嘉右衛門は、ピコが初めて見る「抹茶」を丁寧に点ててくれました。


「いいかい、ピコ君。江戸の時代、この国はすべてを再利用する美しい循環の中にあった。昭和の時代、人々は物に魂を込めて豊かさを築いた。私はね、その二つを混ぜ合わせて、この小さな庭園で『終わらない時間』を守っているんだよ」


3. テクノロジーと伝統の握手

ピコは、嘉右衛門が大切にしている「手回し蓄音機」に興味を惹かれました。


「Wow... No electricity?(わあ……電気がいらないの?)」


『ピコ、これはゼンマイの弾性エネルギーを音に変換する仕組みです。あなたのスクーターのモーターとは、正反対の美学ですね。』


チェンの翻訳を聞いて、嘉右衛門は愉快そうに笑いました。


「そうだよ、青い石の坊や。ここでは人間が少しだけ手を貸せば、機械は歌ってくれるんだ。君のヨコタの技術も、いつかはこの庭園の緑のように、自然の一部になれるといいな」


旅の贈りもの

お茶会の後、嘉右衛門は二人に旅の餞別せんべつをくれました。


竹編みの水筒: 湧き水の冷たさが長く続く、江戸の知恵。

古い地図: 「新宿の御苑」へ続く、最も安全な緑のルートが記されたもの。


「海を見るんだろう? だったら、これを持っていきなさい。海辺の民が昔使っていた、守り神だ」


嘉右衛門から手渡されたのは、小さなクジラの形をした木彫りでした。


「ありがとう、嘉右衛門さん! 行ってきます!」


フウカが元気よく挨拶し、ピコも不器用にお辞儀をして、再びスクーターに跨がります。

次なる目的地は、さらに東――巨大なビル群が森に沈む「新宿」です。



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