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2.原子炉の傍らで
テラが運び込んだ電動バイクは、原子炉の制御室の脇、一番「電気」が濃く流れている場所に置かれました。
「ねえ、テラじいちゃん。みんな、どうしてあんなにゆっくり動くの?」
ピコは、遠くの畑で腰をかがめて働く老人たちを指さしました。
「それはね、ピコ。みんな、この世界と一緒にゆっくり休みたがっているからさ。でも、お前は違う。お前はこの村の『最後の一歩』なんだ」
テラはそう言って、バイクのハンドルに積もった埃を、シワの刻まれた手で丁寧に拭いました。
「このバイクが動いたら、お前を乗せてあげるよ。じいちゃんたちの歩く速さじゃなくて、風と同じ速さでね」
ピコは、じいちゃんの言っていることが半分もわかりませんでした。でも、充電ケーブルを通じて原子炉の青い光がバイクの中に吸い込まれていくのを見ていると、その「鉄の鳥」が、いつか自分をまだ見ぬどこかへ連れて行ってくれるような、不思議な高揚感を感じました。




