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かぐわしきかな
陽真は買ってきた野菜と干し肉を並べた。
玉ねぎ、根菜、香草、昼の市場で仕入れたばかりの塩と油。
深く考えず、包丁を握る。
「別に凝ったもん作る気はねぇからな」
「はいはい」
「文句言うなよ?」
「期待はしてますよ?」
適当に刻み、適当に放り込み、適当に火にかける。
焚き火台は“通常モード”――ただの火、のはずだった。
……が。
じゅわっ、と音が変わった。
香りが、一段階跳ね上がる。
「あ」
ノールが反応する。
「ちょっと待ってください、これ……」
湯気に混じる香りは、ただの野菜炒めのそれじゃない。
腹の奥を直接刺激してくるような、抗えない匂いだ。
ショーンが鼻を鳴らす。
「おい……陽真」
「なんだよ」
「お前、“適当”の基準おかしくないか?」
んなこと言ったって、チート道具はなんでうまくやってくれんだよ。
ウルセェな黙ってみてろや




