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大荷物
太陽が山の向こうに沈みかけ、空が茜色から群青に変わっていく。
旅路初日、そろそろ野営の時間だった。
「はぁぁ~~……もう歩けません~!」
ノールが地面にぺたんと座り込み、背負った樽をドスンと下ろす。
その樽にはしっかり「試作品・桃酒」と書かれていた。
「お前、それ持ってくる意味あったか?」
「だって夜は飲むじゃないですか!」
「一晩で樽ひとつ空ける気か……」
ショーンが呆れながらも笑っている。
その横で、ちょこんと歩いていた小さな狐が「……のむ」と真顔で一言。
「ほら見てください! コノハも飲みたいって!」
「いや、狐を酒飲み扱いすんなっての」
「……のむ(確定)」
やっぱり飲むんかい。
そんなやりとりをしながら、俺――陽真は肩をすくめて、
リュックから金属製の筒を取り出した。
ったく、ショーンのやつはいつもこの道のり来てるのか。
ちょっとは褒めてやらないとなぁ




