まちにまった街に
「……ギルド?」
ショーンがにやにやしながら耳打ちする。
「“グルメ錬成”のスキル持ちなんて、そうはいねぇ。お前が一皿作れば、貴族が札束積むレベルだ」
陽真の眉がぴくりと動く。
「……つまり、街に行けばタダ酒が飲める?」
「飲める。むしろ奢られる」
「よし、行く」
「即決!?」とノール。
ショーンは大笑いして馬車の荷台を叩いた。
「じゃあ決まりだ! 明日の朝出発だな!」
「ノールも来いよ」
「もちろんです!」
「でもお前、その樽どうすんだ」
ノールは振り向き、酒樽をじっと見つめたあと――
「全部持っていきます!」
「……お前ら、重いぞ」
そんな軽口を交わしながら、三人の“農園出発組”は準備を始める。
畑の野菜をまとめ、樽を馬車に積み、キセルを磨き、クッカーを鞄にしまう陽真。
その背中を見ながら、ショーンがぽつりと呟いた。
「やっと、旅らしくなってきたな」
「俺は働かないけどな」
「いやいや、働かないやつほど運がいいって言うしな!」
「そんな迷信あるか」
ノールは笑いながら瓶を抱えた。
「じゃあ、飲みながら行きましょう!」
「おい、出発前に飲むな!」
――こうして、怠け者の農夫と、酒狂いの錬金術師、そして商魂たくましい旅商人。
三人の“ちょっとだけ真面目な旅”が始まろうとしていた。




