あやしい勧誘、誘惑?
「おっ、繁盛してるじゃねぇか!」
馬車の後ろには木箱がいくつも積まれ、その中には果物や布、そして見覚えのある瓶――ノールの酒だ。
「おいおい、それ……」
「ちゃんとラベル貼って売ってきたぞ!」
「勝手にか!」
「ちゃんと“ノール印・限定品”って書いたから安心しろ!」
ノールは一瞬むくれたが、すぐに顔を赤くして頬を押さえた。
「売れたんですか?」
「そりゃあ売れたとも! 街じゃ“飲むと幸せになる酒”って評判だ!」
「ちょ、ちょっと誤解を招くキャッチコピーじゃ……」
「でも間違ってないだろ?」
「……まあ、そうですね!」
陽真は頭をかきながらため息をつく。
「ったく……勝手に売るなよ。俺たちは商売する気ないんだから」
ショーンはにやりと笑い、馬車から大きな麻袋を降ろした。
「じゃあこれは“お礼の品”だ。街で仕入れた塩、スパイス、干し肉。それと、珍しい魔導調味料だ」
「調味料?」
ノールの目がきらりと光る。
「はいっ、それ使わせてもらいますね!」
「おい、また飲み物作る気か」
「うふふ、もちろんです!」
ショーンが陽真の肩を叩いた。
「なあ陽真。たまには街に出てみねえか?」
「……は?」
「畑も安定してるし、酒も売れてる。だが今後を考えるなら、流通ルートや保存庫も必要になる。俺一人じゃ手が足りねぇ」
「俺、働きたくないんだけど」
「街の飯屋にもうまい酒が集まってるんだぜ?」
「……ふむ」
「あと、料理人ギルドに興味ねぇか?」
街か、心がざわめく、1人で気楽にのんびりしたかったから
喧騒の中に飛び込むのは勇気が足りないかもな




