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試飲会?
日が傾きかけた頃、ぶどう畑のそばに簡単なテーブルが出されていた。
上には小瓶がずらりと並ぶ。赤、琥珀、透明、ピンクがかったものまで、どれもノールが仕込んだ酒たちだ。
「ふふ、ようやく完成しましたよ!」
ノールが誇らしげに胸を張る。
「“ハルマ農園特製、ノール様第一号酒”です!」
「名前、だいぶ大げさだな……」と陽真。
「いや、いいじゃないか!」とショーンが手を叩いた。
「こういうのは勢いが大事なんだ!」
「では早速、乾杯しましょう!」
ノールが瓶を掲げる。
ショーンはノリノリで木のコップを三つ並べ、陽真の分にも酒を注いだ。
「おいおい、俺は飲むだけだぞ!ぜったいに!」
「飲むだけですよ。完璧じゃないですか!」とノールが笑う。
「ぐぬぬ……」
ちょっとだけだからな。
ぜったいに、宴会はしないぞ。
ひとりでまったりと呑むのがツウなんだからな