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フラんフラん
ノールはフラスコを並べながら真剣な顔で言う。
「さて、まずはぶどうの発酵から始めましょうか。ここは土壌も良いし、魔力の流れも読めます。きっと極上のワインになりますよ」
「……俺は見るだけだ」
「もちろん。陽真さんは飲むだけでいいんですから」
「……その通り」
俺は焚き火の前に腰掛け、キセルをくわえながらため息。
「……やっぱり面倒ごとが増えるな」
ショーンは荷馬車を整理し、ノールはフラスコを見つめてうっとり。
「ふふふ……酒が増える」
「……それだけのために変な錬金術師まで呼ぶのか」
「それが最高に楽しいんだよ」
ショーンの野郎、絶対に働かせてやる。
まぁ、酒ができるのは、楽しみだ。