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結局は、育てるよね
その日の午後。
結局俺は、さっそく、ぶどうの苗木を植え、りんごと桃の種を土に埋め、さらにショーンに頼まれて麦と芋まで畑に仕込んでいた。
隣ではショーンが「いいぞいいぞ!」と声援を送っている。完全に監督気取りだ。
「……なあ、これ俺、絶対に労働してるよな」
「いやいや、“未来の飲み会”を育ててるんだ!」
「言い換えても労働だよ。てか、お前もちょっとは手伝いとかしろ!」
俺のぼやきを聞き流しながら、ショーンは勝手に畑の隅に石を並べて「宴会用の席取りだ!」などと張り切っていた。
ああ、やっぱりコイツは厄介だ。
だが――心のどこかで、「まあ、悪くないかもな」と思っている自分もいた。
気が合うというか、強引だけど居心地は不思議と悪くなかった。