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ほら、やってきた。
農園の門のところで、両手いっぱいに袋や籠を抱えたショーンがにこやかに手を振っていた。
いや、笑顔というよりニヤニヤ顔だな。
何か企んでるに違いない。
「……あー、お前な。予想通りっつーか、予想以上に早いな」
「何を言う! 美味いものは早い者勝ちだろう? そして俺は嗜好品に関しては誰よりもフットワーク軽い!」
「いばることか、それ」
ショーンはドサッと荷物を下ろす。
袋の口から、色とりどりの果物が覗いていた。
「じゃーん! 本日の持ち込み依頼セットだ!」
「……お前、なんで農園に配達してんだよ」
「いやいや、依頼だって。ほら、見てくれ。ぶどうに、桃に、りんご!」
「くだもん屋か」
「ちがーう。俺は商人! 流れの旅人! そして嗜好品伝道師!」
「自分で名乗るなよ、そんな肩書き」