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変わり者は、変わり者を呼ぶ
数秒の沈黙のあと、彼はふっと吹き出す。
「ハハッ……ハハハハ! なるほど、なるほど! そういうやつもいるのか! まったく世の中は広いな!」
ケラケラ笑いながら、腰の袋から小さな布袋を取り出すと、俺の足元にぽんと置いた。
「じゃあこれは“譲ってもらった礼”だ。塩と干し肉、それと薬草ちょっとな。商売じゃねえ、交換だ」
「……だから余計なことを」
「余計上等! 俺が気分よく帰れるんだから、それでいいんだよ!」
そう言ってショーンは、キセルを返しながら片目を細めた。
「いいねぇ、兄さん。気に入った。あんたみたいな変わり者は、また顔を見に来たくなる」
……はあ。
めんどくさいやつが、ひとり増えた気がする。