自推5
「上手いぞ、マモル。直ぐノンノだってわかった」
「うん!」
マモルの頭を撫でてやる。
「うるうるるるるうるる」
ウルウが突然立ち上がって、自分の着ている服を引っ張り始めた。
「ウルウも絵を見たいよね。ほら脱がせてあげるから落ち着いて」
オオミが手際良くウルウの服の裾をつかみ腕を伸ばさせ、服を脱がせた。本当に全身皮を剥いだように生々しく赤い。そのくせ、グロテスクさが無いのは表面がつるつるしているからだ。
「オゼさん、何をじろじろウルウの裸を見てるんですか。やらしいですよ」
「さすがにこいつをそんな目で見るわけないだろ」
ウルウまで恥ずかしそうにオオミの後ろに隠れるものだから、俺が変態みたくなっている。マモルにだけはそんな誤解をされたくない。
娯楽室の棚から大き目のひざ掛けを引っ張り出し、ウルウを肩からくるんだ。俺たちの回収人の趣味なのか、こっちの船に多用されている落ち着いた深い緑色が、赤い身体に良く似合った。
「うるるう……」
ひざ掛けの肌触りが良いのか、ウルウが気持ち良さそうに目を閉じて顔をすり寄せている。
「ウルウが寒いかなと思っただけだ」
「ウルウ、良かったね」
マモルもひざ掛けごしにウルウを撫でている。良かった、俺はまだ優しい兄ちゃんのままだ。
「見てごらん、これがお前の服だよ」
オオミが俺たちの絵が描かれた長いTシャツをウルウの前でひらひらさせた。
「うるうるうるっ」
体の周りに音符が飛び出して見えそうなくらいの明るい声を出して、ウルウがTシャツに見入っている。
「気に入ってくれて良かったよ」
アオチの言葉に、いや、お前の絵だけは気に入ってないかも知れないだろ、と言いかけた時だった。
静かに娯楽室のドアが開いて、水浸しの男が現れた。




