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終わりに向かう船2

「え?」

 今度は本気で驚いて、全員で大声を出してしまった。

「うる――――」

 ウルウも俺の腕にしがみついてきた。死んだように表情の無かった血まみれの女すらハッと顔を上げた。

「意外だったか? 本当は気がついていただろう? あんなに世界中から終わりの匂いがしていて気がつかないなんて無理だ。お前たちの直ぐそばでも、遠い国でもそこかしこでしていたはずだ」

 回収人の口調は淡々としているのに、その顔は同情に満ちていた。終わりの匂いーーか、言われてみれば最近そんなものを麻痺するくらい嗅いでいた気がする。

「正確にはいつ終わるんだ、世界は」

 オゼもショックを受けているのは間違えないが、口調だけはいつも通りで、質問を続けている。俺の腕をつかむウルウの手にぎゅっと力がこもる。

「明日の朝だな。今、大勢の船がお前らのような鈍い人間を乗せて進んでいるところだ」

「僕たちの町に向かっているって言ったじゃないですか」

 オオミがが静かに言った。

「向かっているさ。お前たちだけじゃない。今、世界中の誰もが故郷に向かっている」

「全員が?」

「みんな最後には故郷に帰るんだよ」

 それで地元の同じ俺たちが一緒にこの船に乗ったってわけか。偶然ではなかったのは理解できた。でもーー

「お前、みんなを救えるとは限らない、とも言ってなかったか?」

「そうだ。本当は全員を連れて行ってやりたいけれど、俺は選ばなけれならないんだ。誰を次の世界に連れて行くのか」


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